<あらすじ>(公式より抜粋)
すべてを捧げてきた祖国に裏切られたエリザベートは、強力な神器【七つの魔導書(グリモア・セブンス)】を手に亡命を決意! 祖国への凄烈な復讐心を胸に秘めながら――。“婚約破棄”ד投獄”された美しき天才令嬢が、最強の魔導書を手に“人脈・経済・武力”を操って裏切り者たちに報復する、爽快・大逆転の復讐ファンタジー、ここに開幕!
<レビュー>
婚約破棄と投獄を受け、祖国から逃れて亡命したヒロイン・エリザベートによる復讐の物語です。今回は最終回ということで、作品全体を通した分析と、最終回のネタバレを含む感想を掲載します。
さて、本作の序盤は、有能な令嬢がライバル令嬢に婚約者の座を奪われ、そのまま投獄されてしまうという、かなり王道に近い導入でした。登場人物も分かりやすく、ヒロインは「有能令嬢」、ライバルは王太子を奪った令嬢、そして王太子は自己中心的で無能。ライバル令嬢に心を奪われた王太子が、国の内政を支えていたヒロインを安易に投獄してしまいます。
そこからエリーは隣国へ亡命し、要人と接触しながら商売を始め、資金力、人脈、そして復讐のための基盤を整えていきます。「起承転結」で言えば、非常に分かりやすい「承」です。序盤からここまではかなり王道で、大ヒットを狙うというより、売れ線をうまく押さえた手堅い復讐ファンタジーという印象でした。
この印象が大きく変わったのが「転」です。
準備を終えて本格的な復讐が始まると、作品の様相が一変します。そこで視聴者は、これまでエリーの「表の顔」しか見ていなかったことに気づかされます。
王太子の命令を受け、他国へ侵攻したロベルトたちがエリー側へ投降する場面がありました。これまでの王道的な流れであれば、降伏を受け入れて味方を増やす。多くの視聴者も、そうなるのではないかと思っていたのではないでしょうか。
しかし、エリーは許しません。
ロベルトの部下は殺害。ロベルト本人には呪いをかけ、自らの家族を殺させたうえ、無関係な女性や子供を含む民衆まで殺して回るよう命じます。
ここは非常に衝撃的でした。シナリオだけではありません。首をはねる。剣で突き刺す。子供まで殺す。地上波で放送できる限界を攻めているのではないかと思うほど、映像も強烈でした。
ここで視聴者とエリーの距離が大きく変わります。
それまでは、「不当に追放された有能な令嬢が、自分を陥れた悪人へ報復する」という分かりやすい構図でした。しかし第8話では、その報復対象がエリーを直接傷つけた人物だけではなく、王国に暮らす無関係な民衆にまで広がります。
考えてみれば、エリーは最初から「悪人だけを懲らしめる」とは言っていません。
「祖国を潰す」
と言っています。
もしかすると、途中からエリーが別人のように冷酷になったのではなく、視聴者側が「復讐=悪人への爽快なざまぁ」と都合よく解釈していただけなのかもしれません。
そして最終回。
ターゲットは、王太子を見限って故郷へ戻ろうとするシルビアと、そのロックイート領です。すでにエリーの指示を受けた工作が進んでおり、物語上ではいよいよライバル令嬢への「ざまぁ回」となるはずでした。
ところが、ここで少し違和感がありました。
最終回の描写は、第8話のロベルト編と比べるとかなり抑えられています。
物語上のクライマックスは第12話です。しかし、映像として最も強烈だったのは第8話でした。
つまり、本作は「物語のピーク」と「映像の衝撃のピーク」が別々の話数に存在しています。
これが、最終回そのものは強い内容なのに、どこか映像面では物足りなく感じた理由だと思います。
第8話の残虐描写には賛否もありましたので、最終回を見ながら一瞬、「視聴者の反応を受けて残虐描写を抑えたのだろうか?」とも考えました。ただ、放送までの期間は短く、制作側からそのような発表もありません。ここから先は完全に私の想像です。
むしろ気になったのは、エリーの部下たちが彼女について語る場面でした。
本当は優しい人なのに、復讐によって壊れつつある。復讐を終えたあと、その罪悪感に耐えられず自ら命を絶ってしまうのではないか。
かなり直接的に、エリーの内面を補足します。
この説明は少し唐突にも感じました。しかし第8話で、視聴者がエリーへの共感を失いかねない一線を越えたことを考えると、「彼女は何の痛みもなく人を殺しているわけではない」という補助線を制作側が引いた、と考えれば納得できます。
最終回のCパートでも、エリー自身の葛藤はモノローグで語られます。
つまり最終回では、シルビアへの報復そのものだけではなく、「復讐を続けるエリー自身の葛藤を補強する」という内面の説明が前に出た印象でした。
ただ、映像のピーク配置という意味では、私は逆でもよかったと思います。
ロベルトは王太子の命令に従った人物ではありますが、最後には投降しています。その家族は良識的で、子供を含む民衆はエリーとは無関係です。ここを第8話で最も凄惨に描き、最終回のシルビア側を抑えると、どうしてもクライマックスの映像的な迫力が逆転して見えます。
もし残虐描写によって「エリーはここまでやる人物だ」と印象づけるのであれば、ある程度の大義名分が成立しやすいライバル令嬢側の最終回へ、映像上の最大ピークを持ってきてもよかった気がします。
最終回は、王太子の失脚やシルビアへの報復などシナリオそのものは強い。それなのに、作画や尺の配分はロベルト編より控えめ。その内容と映像のアンバランス感だけが、少し惜しく感じました。
物語自体は「俺たたエンド」です。エリーはまだ祖国そのものを潰し切っておらず、タイトル通り「報復は終わらない」。続編を意識した終わり方にも見えます。
とはいえ、作品全体を振り返れば、王道の婚約破棄ものから始まり、復讐準備を進め、途中で主人公への見方そのものを変えるほど苛烈な報復へ踏み込み、最後にはライバル令嬢へきっちり「ざまぁ」を返した。
かなり興味深いシナリオでした。
残虐表現が苦手でなければ、単純な爽快ざまぁとは少し違う、復讐する側の危うさまで描いた作品としておすすめです。






