<あらすじ>(公式より抜粋)
【重騎士】――それは守り特化で敵の攻撃を引き付け、味方を守るクラスである。攻撃性能が低すぎてレベルもまともに上げられない。それゆえに――“不遇”を超えた“欠陥”クラスといわれていた。しかし、エルマは知っていた。重騎士こそが、最強のクラスであることを……!
<レビュー>
視聴者がこの作品に何を求めるかで、評価が大きく分かれる作品だと思います。
まず、3DCGによる映像を楽しみたい人にはかなり刺さると思います。髪の毛の揺れ、ダイナミックなカメラワーク、細かな戦闘描写など、CGならではの滑らかで情報量の多い映像を体験できます。
街の日常を映したシーンですら、多くの人々がそれぞれ目的を持って動いています。ただ人混みが記号的に描かれるのではなく、ある者はパーティーの仲間と話し合い、ある者は商人と交渉し、急いで街を駆け抜ける人もいれば、井戸端会議をしている人もいる。背景に人が多いというだけではなく、「街で人々が生活している」という密度があります。
一般的な3DCG制作では、一度作ったリグやモーションを再利用・調整できる利点があります。本作の群衆表現も、そうしたCGの特性と非常に相性が良いように見えます。さらに背景の会話も、主役のセリフを邪魔しない程度に聞き取れるよう調整されているため、画面から受け取る情報量はかなり多いです。
このような映像や情報量を楽しむ視聴者には強く刺さる一方で、物語の進行を重視する視聴者には、少し長く感じる場面もあるかもしれません。
前回のレビューでも触れましたが、本作は場面転換一つにもかなり尺を使います。街の一室へ移動するだけでも、カメラが街の外から入り、街並みを回り込みながら対象の建物へズームしていくことがあります。映像としては、その建物が街のどのあたりにあるのかまで分かり、世界を立体的に感じられる素晴らしい演出です。
しかし、その位置関係が後のシナリオで重要になるかと言えば、必ずしもそうではありません。
ヒロインが壁を蹴りながら疾走する場面も同様です。走る、壁を蹴る、ジャンプする、カメラを横切る、再び走る、壁を蹴る、そしてアップになる。これでもかというほど、こだわりのカメラワークで描かれます。時間にすれば10秒ほどです。
物語上の情報だけを文章にすれば、「ヒロインは壁を蹴り、床を駆け、主人公へ近づいた」で済みます。しかし映像では、その10秒を使って身体能力、速度感、ダンジョンの構造、移動距離、キャラクターの勢いまで同時に伝えています。
ここが、本作の面白いところであり、同時に視聴者によって評価が分かれるところだと思います。
映像を楽しむ人にとっては、その10秒自体がご褒美です。一方で、物語の続きを待っている視聴者にとっては、「早く次の展開が見たい」と感じる10秒にもなります。
つまり、本作の強みである高密度な映像表現が、見る人によってはそのままテンポの遅さとして感じられてしまう。視聴者が作品に何を求めるかによって、同じ長所が短所にも反転する。それが本作の特徴ではないでしょうか。
最後に気になったのが、カットの使い回しと顔のアップです。各話の冒頭やAパートで前回のおさらいとして映像を再利用することがあり、モノローグでは顔のアップも多用される印象があります。
非常に情報量の高いCGカットと、こうした比較的静かなカットとの差が大きいため、視聴している側からは制作リソースのバランスを取っているようにも見えます。ただし、実際に制作上どのような意図で行われているのかは分かりません。
よくある映像の緩急とも言えますが、本作の場合は動く場面のクオリティと情報量が非常に高いため、その差が余計に目につくのかもしれません。
もちろん映像だけの作品ではなく、エルマがゲーム知識と工夫、仲間との連携を使って格上の敵を攻略していくシナリオ自体も面白いです。
まとめると、本作は3DCGアニメの表現を観察する教材として、かなり優れた作品だと思います。キャラクターだけでなく、背景、群衆、カメラ、空間までどう動かすのか。その視点だけでも、一度見てみる価値はある作品です。
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