<あらすじ>(公式より引用)
ミーシアン継承戦争を経て、自分が持つ技術の使い方に悩んでいたシンに対して、アルスは領主としての責任を説く。
一方、カナレでは姿が見えない盗賊団による被害が多発していた。そんな中、アルスとリーツは街中で容疑をかけられていた3人組と出会う。
別大陸・ヨウ国で失脚した王族・フジミヤ家である彼らがカナレにたどり着いた事情を聞き、協力することを決めたアルスだったが、盗賊団による襲撃に遭ってしまい……。
<レビュー>
ミーシアン継承戦争は、アルスが与するクラン・サレマキア側の勝利で終結しました。
戦争の過酷さを実感したアルスは、それでも戦争を繰り返すしか平和を維持する方法はないのかと悩みます。
その結果、仲間たちと共に恒久的な平和を実現するため、最終的には皇帝を目指すという、これまでとは比較にならないほど大きな目標へ踏み出しました。
そんなアルスの前へ、今度は別大陸・ヨウ国を追われた元王族、フジミヤ家の3人が現れます。
第29話で長かった継承戦争が終わり、第30話からは「フジミヤ家編」と呼ばれる新章へ突入しました。
アルスの鑑定スキルはもともと人材発掘に優れた能力です。
今後、本当に皇帝を目指すのであれば、アルス自身が一人で強くなるよりも、これまで以上に優れた人材を集め、その力を適切な場所で発揮させることが重要になりそうです。
実際、フジミヤ家の3人もそれぞれ異なる才能を持っています。
今後も新しい仲間たちがどう活躍していくのか、期待が高まります。
一方、第30話ではこれまで万能戦闘員のような安心感があったリーツでも対応しづらい相手が登場します。
盗賊団です。
この盗賊団が厄介なのは、単純に戦闘能力が高いからではありません。
「姿を消す魔道具」を使います。
相手が見えなければ、どれだけリーツの剣が強くても簡単には戦えません。
リーツだけではなく、アルスに集う歴戦の猛者にも同様に戦いづらくなる道具です。
強くなりすぎた主人公側へ、さらに強い敵をぶつけてインフレさせるのではなく、既存の強みが通用しにくい能力を追加する。
戦闘上の新しい脅威としては、とても面白いです。
ただ、この魔道具。
設定次第では非常に危険なアイテムだと思います。
というのも、透明化は戦闘だけに使える能力ではありません。
敵の視界を無視して近づけるのであれば、
暗殺し放題。
潜入し放題。
偵察し放題。
極端な話、敵の作戦会議へ侵入したり、重要人物を暗殺したり、城内へ忍び込んで兵站を破壊したりすることまで考えられます。
本作にはロセルのような軍師役や、ファムのように情報面で活躍する人物もいます。
しかし「透明になって敵陣へ入ればいい」が簡単に成立してしまうと、作戦や警備、諜報といった既存キャラクターの活躍する余地まで奪いかねません。
正直、第30話を見ながら「そんな便利なものがあるなら、継承戦争で使えば圧倒的に有利だったのでは?」とも思いました。
もちろん、これは第30話時点ではまだ判断できません。
この魔道具がどれほど希少なのか。
どこで作られたものなのか。
使用時間や回数に制限があるのか。
透明化していても見破る方法があるのか。
そして盗賊団が、そもそもどうやって入手したのか。
そうした条件は、まだ十分に分かっていません。
ですから「これからどのような制約を付けるのかが非常に気になるアイテム」という印象です。
透明化といえば、『機動戦士ガンダムSEED』に登場したブリッツガンダムの「ミラージュコロイド」を思い出しました。
真偽は不明ですが、物語上便利すぎるのか強奪された機体では1番最初に破壊されました。
脱線しましたが、メタ的視点でも透明化は非常に強力な能力です。
だからこそ、長く物語の中で使うのであれば、何らかの制限や対抗手段を用意しないと、それまで成立していた戦術や防衛そのものを弱くしてしまいます。
今回の魔道具も同じです。
しかも、少なくとも盗賊団が実戦で運用できています。
「特殊な敵が一度だけ使った秘宝」で終わるのか、それとも今後この世界で一般的な技術として残るのか。
後者なら、世界の軍事バランスそのものへ影響するほどの品だと思います。
ただ
「それなら、なぜ今まで使わなかったのか?」
「なぜ暗殺に使わないのか?」
「どうやって城を守るのか?」
という疑問も生みます。
強い設定を一つ追加すると、作品側はその設定を今後どう扱うのかという説明責任を背負ってしまいます。
この魔道具を今後どう処理するのか、個人的には気になっています。
そして第30話の最後では、アルス自身が盗賊団にさらわれてしまいました。
ここで楽しみなのが、妻のリシア・ローベントです。
リシアは戦闘能力で前に出るタイプではありませんが、政治や知略、交渉などに優れた人物です。
そのリシアが、アルスをさらわれた状況で見せた不敵な表情。
「ああ、これは何か考えているな」
と思わず期待してしまいました。
透明化という、これまでの武力では対処しづらい相手。
そこへ知略や計略を得意とする人物をぶつけるのであれば、面白い展開になりそうです。
この魔道具が単なる今回限りの攻略ギミックなのか。
そしてアルスを救うため、リシアたちがどんな策を見せるのか。
第31話がかなり楽しみです!

