<あらすじ>(公式より抜粋)
湖に住む魔女ロゼは、密かに想いを寄せていた騎士ハリージュから、その一言を告げられる。彼が想っているのは、自分ではない誰か――その現実に、ロゼは失恋する。
一方、他国の国王との婚姻を控えたビッラウラ。彼女を幼い頃から知るハリージュは、歳が離れた相手との外交のための婚姻に複雑な気持ちを抱いていた。ある日、ハリージュが湖を訪れると、ロゼの庵には先客のティエンがいた。
※原作を読まずアニメのみで考察しています。ご了承ください。
<レビュー>
第4話まで視聴して、作品の骨格がかなり見えてきました。
惚れ薬を依頼した人物はビッラウラ。そして婚姻までの期限は、あと2か月。
ハリージュは幼い頃からビッラウラを知っており、外交のためにかなり年上の他国国王へ嫁ぐ彼女に対して複雑な感情を持っています。そのため、何としてもビッラウラの願いをかなえようとしているようです。
一方、魔女であるロゼにはハリージュへの恋心があります。
そして第4話まで来ると、ハリージュ側にもロゼを強く意識している描写が増え、視聴者には二人がほとんど両想いに見えてきます。
しかし本人たちは、そのことを知らない。
視聴者だけが二人の気持ちを少し先に理解しながら、その絶妙な距離を楽しむラブコメになってきました。
ただ、ここで新しい謎が出てきます。
ビッラウラは、その惚れ薬を誰に使うのでしょうか。
最初の数話では、「ハリージュは誰のために惚れ薬を求めているのか」が大きな謎でした。
その答えはビッラウラだった。
「では、ビッラウラは何のために惚れ薬を欲しがっているのか?」
という、さらに一段深い疑問へそのまま接続しています。
そこで一つ考えられるのが、ビッラウラ自身が惚れ薬を飲む可能性です。
国のために結婚することは受け入れている。しかし愛のない相手と生きていくことには耐えられない。
だから自分自身の感情を薬で変え、相手を愛せるようにする。
もしそうなら、これは強い自己犠牲です。
普通なら「好きな人を自分へ振り向かせる」ために使われる惚れ薬を、「自分の心を国家の都合へ合わせる」ために使うことになります。
ただ、もう一つ気になる可能性があります。
ビッラウラが、ハリージュなど自分に近しい人物へ惚れ薬を使おうとしている可能性です。
愛のない政略結婚を受け入れられず、誰かに自分を好きになってもらい、この状況から連れ出してほしいと願っているのではないか。
第4話では、国のために自分の役割を果たそうとするビッラウラの姿が丁寧に描かれていたため、個人的には前者の可能性が高そうに感じます。
しかし、ハリージュと二人で話すときのビッラウラの表情や仕草には、独特の間や視線があります。
セリフやモノローグでは何も語られていない。
それでも、何か別の感情があるようにも見えてしまう。
国のためなのか。
自分のためなのか。
惚れ薬の依頼人は判明しましたが、そのことで謎が減るどころか、むしろ考える材料が増えてきました。
この情報の出し方はとても面白いです。
一方、ロゼとハリージュの恋愛も少しずつ動き始めています。
特にハリージュ視点の描写が増えたことで、これまでロゼ側からしか見えていなかった関係が、少しずつ両側から見えるようになってきました。
ハリージュは感情を表情へ大きく出すタイプではありません。
しかし、ロゼの庵にティエンがいることへの反応など、セリフでは説明しない嫉妬や戸惑いが描かれています。
ロゼはロゼで、ハリージュが好きなのに簡単には本音を言えません。
そして、ここで「魔女は嘘をつけない」という設定が非常にうまく作用しています。
嘘をつけない。
でも、すべてを話す必要はない。
だからロゼは、恋心を隠すために嘘をつくのではなく、黙ります。
二人とも不器用で、言えないだけ。
見ている側にも嫌な焦れったさが少なく、ピュアなラブコメとして楽しめます。
この作品では、会話が止まっている時間にも恋愛の情報が詰まっています。
引き続き、二人の恋の行方と、ビッラウラが惚れ薬を何のために使おうとしているのか。
その両方に注目して楽しみたい作品です。

