<あらすじ>
救国の英雄・ディアスは、戦の報奨として王より与えられた領地へと向かう。
しかし、そこは何もない広大な草原だった。
途方に暮れていた時、目の前に一角の少女・アルナーが現れる。
「お前は敵か、味方か」という突然の少女からの問いにディアスが答えた瞬間、彼女の角が煌々と青く光り輝きはじめる……。
<レビュー>
追放系に近い、辺境開拓アニメです。
主人公が驚異的な善人であり、圧倒的な強さも持っているため、辺境の地にいながら、さまざまな人が領民として集まってくる作品です。
骨格は『異世界のんびり農家』にかなり近いです。
この作品が好きな人には刺さると思います。
独自色としては、主人公を辺境へ送った王都側の介入が頻繁に発生する点です。
王都側の事情や王位継承争いも絡んでおり、主人公を戦力として戻したい。
そのような背景があるようです。
王都側の都合で、辺境へ送ったり呼び戻そうとしたりすることで、主人公の「重要性」が強調されています。
少し深読みすると、善人で強すぎる主人公は、人望もあるため、「平和」であれば危険因子。
しかし「戦争」や「政争」となれば、必要な戦力でもある。
そうした支配層の思惑も想像しやすいのが良いですね。
さて、肝心のシナリオですが、短編の数珠つなぎのような構成です。
小さいエピソードが1話の中でいくつも描かれ、それが程よく接続していく作風です。
漫画で言うと、メインシナリオを持つ4コマ漫画。
そのアニメ版。
作風の理解は、それでよいと思います。
利点は明確です。
途中から見ても分かりやすく、作品の世界に入りやすい間口の広さがあります。
シナリオの長い作品は、途中からでは前後関係や全体の構成が分からず、視聴の第一歩が重くなりがちです。
しかしこの作品は、少し待てば次のエピソードが始まります。
関係性なども軽くセリフで匂わせてくれるので、抵抗なく入り込むことができます。
弱点も明確です。
一本の重いシナリオが作りにくいことです。
作品の緊張感を一気に上げて盛り上げるようなエピソードは、尺も話数も必要になります。
そういった大きな流れを、この構成ではやりにくいのです。
そのため、なんとなく日常系の作品に似た浮遊感が、作品全体に乗っています。
アニメの場合は、第9話〜第12話くらいでクライマックスに突入することが多いです。
もしかすると、この構成は第1話〜第6話の前半部分だけで、第7話からはメインシナリオを前に出したハイブリッド構成として考えられているのかもしれません。
4コマ風のまま最後まで突き進むのか。
アニメの定番に合わせて、柔軟に構成を変えてくるのか。
作品の核である開拓部分とは別に、制作側の作戦も個人的に気になっている作品です。
