<あらすじ>(公式より抜粋)
長きにわたり旅をし、魔王ゼルギスを討ち果たしたロメリアと婚約者のアンリ王子。しかし、アンリ王子は無慈悲にもロメリアへ告げる。
「婚約を破棄する」と。
これは、魔王討伐の『その後』を描く、「一人の少女」と「彼女を支える騎士たち」の再起の物語。
<レビュー>
魔王討伐を果たしたロメリアが、婚約破棄とパーティー追放という二重の切り離しを受けるところから始まる物語です。
辺境へたどり着いたロメリアは、砦で持て余されていた新兵たちを自分の部隊としてまとめ、周辺の村を救うために魔物や魔王軍の残党との戦いを始めます。
追放ものではありますが、追放されたロメリアは、自分を捨てた相手へ復讐する方向には進みません。
それどころか、追放された後も人々を救うため、自分で兵を集めて戦い続けます。
この流れを見て、夏アニメの『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。』とは真逆のタイプだと思いました。
あちらも「有能な主人公が理不尽に切り捨てられる」という入口は同じです。しかし、そこから過去の相手へ振り返り、資金、人脈、武力を集めて報復する方向へ進みました。
一方のロメリアは、過去へ振り返らず、新しい場所で新しい人材を集め、その人たちと未来を作っていきます。
どちらも「追放した側より主人公のほうが有能だった」という気持ちよさはあります。
ただし、『ブチ切れ令嬢』が復讐によってその差を証明する作品だとすれば、『ロメリア戦記』は追放後に作った未来によってその差を証明する作品です。
同じ追放系でも、主人公の格上感を見せる方向がだいぶ違います。
第1話では、魔王討伐、報奨、婚約破棄、実家への帰還、商人との交渉、そして辺境への出発と、一気に舞台を移動して物語を進めました。
第2話以降は、その進め方が変わります。
ロメリアが持て余されていた新兵たちをまとめ、訓練し、実戦へ出す。戦いの中で兵士たちが成長し、信頼関係が生まれ、少しずつ部隊になっていく。
第1話は「場所を移動すること」で物語を進め、第2話以降は「組織が成長すること」で物語を進めています。
物語を前へ動かす方法は変わったのに、展開の速さ自体はほとんど落ちていません。
第2話ではまだロメリアを信用していなかった新兵たちが、第3話では初めて本格的な魔物討伐を経験します。第4話では魔法適性を調べ、レイには風、アルには炎の才能があることが判明。士気も上がり、部隊としての連携も形になってきます。
ただし、才能が見つかればそのまま強くなるわけでもありません。
期待と焦りを抱いたレイは、戦果を挙げようとして無謀な行動へ走ります。
「新しい力を手に入れたから強くなった」ではなく、その力を持つ人間の未熟さまで描く。
ここまで来ると、単純なレベルアップではなく、兵士が実戦を通して軍人へ成長していく物語にも見えてきます。
そして第4話後半。
ついに魔族との戦いへ突入します。
第5話では圧倒的な戦力差を前に、ロメ隊は負傷者を抱えながら撤退。生き残るために地形を使った迎撃作戦を立てますが、当然すべてが予定通りには進みません。
まだ第5話です。
しかも本作は分割2クールで、第Iクールは全12話。第IIクールは2027年4月から始まります。
第Iクールの半分にも到達していないのに、すでに複数の魔族を相手にした本格的な戦闘へ入っています。
この速度で、第12話までどこまで描くつもりなのか。
とても興味深いです。
そして第5話まで視聴して、改めて本作の大きな魅力に気づきました。
ロメリアには非常に強い行動力があります。
しかし、万能ではありません。
少なくとも第5話時点で視聴者に見えている範囲では、ロメリア本人が圧倒的な剣技や魔法で敵をなぎ倒す主人公ではありません。
追放系といえば、追放された主人公が実は桁違いに強く、元仲間が後悔する展開も定番です。
しかし本作でロメリアが見せている強さは、そこではありません。
人を見る。
役割を与える。
訓練する。
働きを正当に評価する。
士気を上げる。
作戦を立てる。
そして、危険な状況でも「誰一人切り捨てない」と宣言する。
ロメリアの強さは、行動力と組織を動かす力です。
そして、この設定が「戦記」というジャンルと非常に相性が良い。
もしロメリア本人が剣でも魔法でも無敵なら、兵士たちは必要ありません。
どれだけ多くのキャラクターが登場しても、「ロメリア様、すごい!」と驚く役。
戦況を説明する役。
敵の強さを見せるための噛ませ犬。
そんな存在になりかねません。
しかし、ロメリア一人では勝てない。
だから、アルが必要になる。
レイが必要になる。
名も目立たない一般兵にも役割が生まれる。
第5話では、ロメリアの作戦に従って兵士たちが連携し、圧倒的に強い魔王軍へ対抗しようとします。
ロメリア自身が戦果を独占しないから、部隊全体が主人公として機能するのです。
実際、兵士一人ひとりにも少しずつ個性が見えてきました。
真面目だからこそ戦果を挙げられないことに焦り、無謀な行動へ走る者がいる。
一見すると背景のモブ兵士に見える人物も、いざ戦闘になれば周囲と連携して一人の戦力として機能する。
ロメリアが万能ではないことによって、彼らが「ロメリアを囲む背景」ではなく、「ロメリアと一緒に戦う兵士」として見えてきます。
考えてみれば、第1話を見た時点で公式サイトに大勢のキャラクターが掲載されていることが気になり、
「個人の冒険ではなく、大きな組織や軍を作る物語になるのでは?」
と予想していました。
第5話まで見て、その理由が少し分かった気がします。
ロメリア個人の成長だけではなく、ロメ隊そのものが一人のキャラクターのように成長していく。
まさに『ロメリア戦記』というタイトルらしい作品になってきました。
この先、この部隊がどこまで大きく、そして強くなっていくのか。
そして追放もののお約束とも言える、アンリたちへの「ぎゃふん」は本当にあるのか。
第Iクールがどこへ着地するのかも含めて、非常に楽しみな作品です!

