2026年4月5日日曜日

ハイスクール!奇面組(終)

<あらすじ>
令和の時代にハイテンションなギャグアニメ放送決定!
個性的なキャラ達と共に疲れを笑い飛ばそう“奇面”を個性ととらえて、プラスに変えて引き伸ばしていく奇面組の5人。
さらに “色男組” “番組” “腕組” “御女組”などおなじみの個性豊かなキャラたちも登場
『ハイスクール!奇面組』で笑って、日々の疲れを吹き飛ばしていこう!

<レビュー>
あっという間に駆け抜けたリメイク版『ハイスクール!奇面組』を、全体を通してレビューしたいと思います。

まず作品の印象ですが、非常に分かりやすく、現在の40代~50代で原作をリアルタイムで読んでいた層に向けた色の強い作品でした。新規層を積極的に取り込むというよりは、原作の設定を丁寧に拾いつつ、時代に合わせたアニメオリジナル要素を加えていくスタイルです。

昭和のアニメ版と比べると話数が圧倒的に少ないため、ラブコメ要素は抑えめにし、ギャグを前面に押し出した構成になっています。そのため、旧アニメ版を基準に見るとやや物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

しかし、全12話という短い尺の中で、本作には多数の個性的なグループを登場させる必要があります。それぞれに見せ場を用意するとなると、昭和版のように長尺を使ったラブコメエピソードを入れる余地が少ないのは、ある意味で必然とも言えます。

特に本作は、主人公とヒロインだけでなく、主人公の親友とヒロインの親友など、複数のカップリングが存在します。そのため「ギャグに振るか」「ラブコメに振るか」という取捨選択は、かなり難しい判断だったと感じました。

原作者はもともとギャグを重視していたため、漫画版では主人公とヒロインのラブコメは描かれていませんでした。しかしアニメ版でアニオリとしてラブコメ要素を強くしたところ人気が出たため、原作も後半はアニメに寄せた印象があります。
今回のアニメ化は「本来やりたかった形」に近いものだったのではないでしょうか。
(ちなみに、同作者の次作ではギャグにかなり振っていますので、やはりラブコメよりもギャグが好きなのでしょう)

ただし、視聴環境を踏まえると、この“ギャグ特化”はやや厳しかったとも感じます。もし日曜朝の枠であれば子ども向けとして機能したと思いますが、本作は深夜枠です。原作のギャグは小学生層にも届く内容であるため、現在の40代~50代が深夜に視聴した場合、「爆笑」というよりも「懐かしさ」が先に来る可能性が高いと感じました。

もし懐かしさを軸に攻めるのであれば、ラブコメ要素を強めた方が広い層に刺さったかもしれません。ギャグは世代によって受け取り方が変わりますが、ラブコメは比較的年齢を問わず受け入れられるため、「懐かしい」だけで終わらず「今見ても面白い」と感じさせることができた可能性があります。

原作のギャグを活かしつつ、軸をラブコメに置いたリメイクという方向性も、一つの正解だったように思います。

とはいえ、この規制の厳しい時代において、かなり攻めた表現をしている点は評価できます。キャラクター性を損なわないよう、現代風にアレンジされた工夫が随所に見られました。

例えばタバコは棒状の別アイテムに置き換えられ、お酒も「魔法の水」として表現されるなど、規制に配慮しながらもキャラクターの個性を維持する工夫がなされています。こうした点からも、制作側の原作へのリスペクトが感じられました。

同様にスマートフォンなど、当時は存在しなかったアイテムや、AIといった現代的な要素も自然に取り込まれており、「単なる再現」ではなく「現代化されたリメイク」として完成度の高い仕上がりになっています。

さらに11話では新旧声優が共演するなど、ファン向けの遊び心も随所に盛り込まれており、リメイク作品としての魅力は十分に感じられました。

そして注目の最終回。

原作では賛否が大きく分かれ、後に修正も入ったほどの内容でした。

ネタバレになりますが、古い作品ですので説明すると「夢落ち」として終わりました。長い長い連載は全てヒロインの夢だったという終わり方です。

しかし、ずっと連載を追っていた当時の読者からの声を受けて、コミックス版では「夢落ち」から「正夢落ち(これから始まる)」に修正されています。

この部分、本作ではアニメオリジナルの形で、夢落ちなどではなく今後の展開も可能な構成へと変更されていました。

個人的には、次はラブコメ寄りのアプローチでのリメイクも見てみたいと思わせる作品でした。





2026年4月3日金曜日

【軽い日記的なもの】まことに申し訳ございません。

こんばんは!管理人の緑茶です。


申し訳ございません。申し開きもございません。

ただいま帰宅しました。本日掲載予定の原稿ですが、まだ推敲が終わっておりません。

深夜ですので、これからの作業も困難であるため本日は休載といたします。


本日予定の記事は5日(日曜日)に掲載します。


ー申し開きではない、つぶやきー

毎年ですが、うちの作業場だけ、まだ年度末が終わらないのです。

明日まで年度末扱いなのは不思議でなりません。年末のように休暇があれば区切りもいいのですが、平日なのでつい「延長」されてしまいますよね。


そうだ!4月1日はエイプリルフールとして国民の祝日にしてもらうのはどうでしょう。

そうすれば強制的に3月31日で年度が終わると思います。


……企業によって年度末違うし、無理ですね……



2026年3月31日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑫》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


ヴァロンの勝利宣言から20分程前


防雷の司令塔では、ヴァロンの消耗戦に苦戦する篠原、足立、仲原が奮闘していた。


足立が篠原に助言する。


「上空を旋回しているUFBは明らかに、こちらの弾切れを狙ってるぞ!どうする篠原!」


篠原は数秒ほど思考すると


「船は頭上に弱い…。ここは続けるしかありません。できるだけ主砲と副砲で投石部隊を狙いましょう!」


仲原がすぐに命令に落とす。


「対空機関砲は旋回部隊に警戒!ただし、挑発に乗るな!無駄玉は減らして!」

「主砲・副砲は、投石部隊を狙え!大きい瓦礫を持っている分狙いやすい。外さないでね!」


これに防雷の艦長も助力する。


「主舵10!副砲の射角を確保しろ!陸からの距離を維持。投石部隊を疲弊させろ!」


篠原がしびれを切らす。


「隊長ーっ。例のあれは射撃準備できましたかー?そろそろ出番ですぅ!」


足立は時計を見ると、少し表情を曇らせる。まだ早い。


「埼玉側だけならー。神奈川はあと10分!」


その瞬間、防雷が大きく揺れる。傾く船体。小柄な篠原の体がふわりと浮いて、篠原が思わず声を上げる。


足立は冷静だ。


「どうした!」


通信兵からの返答も早い。


「左舷に大きな波です!直撃ではありません!」


仲原がすぐに分析する。


「数tの瓦礫が高高度から近海に落ちたのでしょう!」


足立はすぐに艦長に回避行動を依頼すると、篠原の元へ行く。


「大丈夫か?怪我は?」


いつもは余裕のある篠原だが、表情だけは取り繕っていた。だが、顔色は青ざめ、手足は震えている。


戦艦が至近弾などで大きく揺れる。それは不思議な事ではない。足立も仲原も、すでに次の命令を考えている。


だが、篠原だけは違った。知識でしか知らなかった“揺れる戦場”を、初めて自分の身体で知った。


「瓦礫が左舷に直撃!」


さらに、瓦礫が船体を叩いた瞬間、その衝撃は恐怖に変わった。


弾幕をすり抜けた瓦礫が、防雷の鋼鉄の船体で砕けて土煙を上げた。


篠原が溜まらず指示を出す。


「防雷が先に落ちてしまいます!挟撃開始です!」


仲原が口を挟む。


「まだ神奈川は撃てませんよ!」


すぐに篠原が返す。


「あれは、埼玉側が敵に察知された場合のプランCです。防雷の全主砲とレールガンの波状攻撃があれば、あの質量の浮遊要塞でも破壊可能です!」


その時、千葉県の海岸沿いにある木更津から発光弾が上がる。


足立がそれを見て奥歯をかむ。


「篠原!埼玉のレールガンが敵に発見された。攻撃される前に撃つしかない」


仲原が篠原を待たずに指示を出す。


「全主砲回頭。目標UFB要塞!できるだけ中央を狙え!着弾タイミングをレールガンに合わせる。一斉射撃態勢で指示を待て!」


瓦礫の破片を被った、砲塔がギギギと音を立てながらデスランドへ向く。


仲原が時計を見ながらカウントを始める。


「5,4,3,・・・」


それを足立が制止する。


「まて!様子がおかしい!射線上で黒煙が既に上がっている!」


レールガンの射線上に立つ肉の壁がデスランドへの直撃を避ける。やがて、再び木更津から発光弾が上がる。


「篠原、埼玉のレールガンが攻撃を受けている。これ以上は不可能だ!」


篠原はすぐに切り替える。


「神奈川は?あと3分ですか!」


足立が声を張る。


「持ちこたえるぞ!!」


だが、この不測の事態を察するかのように、いままで旋回していた部隊が防雷の前方、後方から一気に襲い掛かる。


艦長も負けていない。大きな船体を狭い東京湾の中で大きく旋回させる。


「旋回!対空機関砲の射線を確保しろ!!」


旋回していても、1m前後の瓦礫の破片が何度も船体にあたる。むろんダメージはない。だが、質量の高い物質が鋼鉄を叩く低い音が、死神の声のように響く。


至近距離に落ちる落下物は大きなしぶきを上げ、防雷に降り注いだ。


艦長が足立に目線を送る。足立が頷くと、艦長が答える。


「取りつかれるぞ!ブリッジ遮蔽!」


足立も続く。


「主砲を防衛に戻せ!押し返せ!」


さらに仲原も答える。


「1番2番3番は前面のUFB,4番5番は後方のUFB、副砲は撃ち漏らしを狙え!警備兵はライフルを持って持ち場へ!侵入させるな!」


強化ガラスの前に、鋼鉄のシャッターが、降りる。


篠原が思わず止める。


「まって!目を閉じてしまえば戦況が見えない!!観察できなくなっちゃう!」


その時、足立はゆっくりと閉まるシャッターの向こうに、神奈川方面の上空に白い筋を見つける。レールガンである。


「くそ!主砲を動かした瞬間にこれか!戻せるか仲原!」


「無理です!砂塵の影響か回頭速度が低下しています」


その言葉が終わる前にデスランドの上空に灼熱の花が咲いた。


篠原は赤色に染まった司令塔を飛び出ると、らせん階段を駆け上がり第2艦橋へ向かう。

揺れる船体で何度も体を壁に打ち付けながら、彼女が見たものは、UFBに取りつかれ、火力を失っていく防雷の姿だった。


「神奈川のレールガンは?!」


数発飛んでいた神奈川のレールガンも、その後の動きはない。


ふと神奈川側の海側、三崎口付近で発光弾が上がる。


「え?神奈川も・・?速い。対応速度が速すぎる。宇宙から監視されてるとでも言いたいの?」


そこへ足立が追ってきた。


「何やってんだ!死にたいのか!!隔壁が閉鎖されるぞ!」


足立は篠原を軽々と抱きかかえると、らせん階段を下りる。


「規格外すぎて忘れていたが、この子も初陣か。もう少し気を配るべきだったか……」


独り言を挟みつつもすぐに司令塔に戻る。確認した仲原はすぐに隔壁を閉鎖。すると、おもむろに席を立ち座り込む篠原の前に座る。


「パシッ」


突然篠原に平手打ちをする仲原。


「違うんです!私は観察をー」


震える体を無理やり押し込めて、篠原が反論しようとする。だが新兵の心境など何度も見てきた仲原にごまかしは通用しない。


「怯えるな!あなたの仕事は何だ?指揮系統の人間が戦闘中に司令塔を出る意味が分かってますか!」


この言葉に、篠原は返す言葉もない。


まぁまぁと二人の間に体をねじ込んで、仲裁に入る足立。すると足立には仲原の拳が飛ぶ。


「あなたも指揮系統の人間でしょう!!」


しかし反射的に避ける足立。これでもかと、裏拳による追撃も軽く手で押さえると、落ち着けと訴えた。そして艦長を呼び寄せると小声で話し出す。


「どうする艦長。あんまり状況は良くないよなぁ。防雷の主砲は前方を向いたまま回頭不能。対空機関砲も取りついたUFBに破壊され70%が使用不能だぜ」


艦長が絞るような声で発言する。


「これはもう艦を放棄するしかないのか。脱出艇も出せないが。エンジンが生きているうちに太平洋のど真ん中でUFBを乗せたままガス欠。これが最善ですかね」


太平洋。この言葉が篠原に刺さる。恐怖でいっぱいだった思考に、ほほの痛みとは別の何かが見える。


ーー神奈川が失敗した場合のプラン。


その思考が走ると篠原の目に力が戻る。


「そうです。太平洋ぉ!そうですぅ!そうですぅ!勝てます!勝てますよぉぉ!」


突然いつもの篠原にもどり驚く一同。


篠原は急いで通信機を取る。これはクシャルボコスとつながっているものだ。


「聞こえますか兄弟」


篠原の呼びかけに応じたのは、撤退したはずのリークだった。


「オソイデスネー マチクタビレマシター ジュンビデキテマス カウント60 ソノゴ 30 オッケー?」


篠原は「ありがとう」と一礼すると、艦長に依頼する。


「60秒以内に防雷をデスランドに向けてください」


瀕死の防雷は一度後退すると、大きく舵を切り、船体をデスランドへ向ける。60秒後、防雷の上に灼熱の花が咲く。


クシャルボコスの焼夷弾だ。花は防雷に取りついてたUFBを次々に溶かしていく。


篠原はいつもの調子で足立に頼む。


「足立たいちょー!30秒後にぃ。可能限りデスランドへ主砲をおねがいしまぁす!」


急な出来事に驚く足立。


「主砲?おいおい立ち直りが速すぎだろ」


無駄口を聞き流し仲原がすぐに動く。自席に戻ると指示を出す。


「使用可能な主砲は射角をUFBの要塞へ向け!20秒後に一斉連射。弾がなくなるまで撃ちまくれ!」


20秒後、クシャルボコスの護衛艦の艦砲射撃がデスランドを揺らす。それに合わせるように防雷の主砲が火を吹いた。


守るもののいないデスランドは瞬く間に砲弾の雨を受ける。いたるところで着弾による爆発が発生し、燃え上がる。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


--僅か1分前のデスランド



ヴァロンが勝ったと油断した瞬間、鉛の船は「まだやれる」と言わんがごとく旋回できなく主砲を船体ごと回すことでデスランドへ再び砲塔を向ける。


落ち着いてヴァロンは取りついた兵に砲身の破壊を命じる。


その時、あの灼熱の花が、デスランドではなく鉛の船の上空で花開いた。灼熱の花びらが取りついた兵を霧散させていく。


これで1500をほぼ失ったヴァロンは、不敵な笑みを漏らす。


そして、少し離れた位置にいる兵を動員しようとしたとき、強い衝撃がデスランドを襲う。


ーー何事だ!


即座に索敵を開始する。すると、鉛の船の4km後方にタラメアのフリゲート艦を発見する。


「空母の護衛艦か!」


盤外から現れた伏兵に、思考を傾ける。だが、その思考は結果を出さなかった。


防雷の主砲がヴァロンのいる執務室を直撃した。激しい衝撃で廊下に吹き飛ぶヴァロン。すると眼前には、激しい砲撃損傷する城が目に入る。


俯瞰で物を見ていたヴァロンの手の届く範囲は、すでに破壊されていたのだ。


ヴァロンは急いでサーチとベルガンの回収へ向かう。2人とも意識はない。直撃すれば消えてしまう。


硝煙の匂いがデスランドが標的となっていることをヴァロンに告げる。


神の元へ急ぐヴァロン。だが、その後ろに防雷の弾丸が迫る。


一瞬世界が輝いた。サーチのシールドとは異次元の薄く美しいシールドがヴァロン、サーチ、ベルガンを守った。神である。


神は砲撃でヴァロンが傷ついたことを知り駆けつけたのだ。


シールドの中は、驚くほど静寂に満ちていた。何度も砲弾の雨がシールドに触れる。だが砲弾はシールドに触れた瞬間に高熱に達し、赤く染まりドロリと溶け落ちる。シールド内に匂いも煙も入ってこない。衝突した音も衝撃もすべてがかき消され、まるで無音の映画をみているような錯覚に落ちる。


しかし、助けに来る道中で何度か被弾したのだろう。神自身に傷も何もないが、服には黒く焦げたあとが見える。


ヴァロンは神の姿を確認すると、翼の力が抜け、そのまま二人を抱えて仰向けに倒れた。


神のはじっとその様子を見ていた。不思議な感覚だった。この三体は特殊個体。手間をかけたことは事実。だが、それ以上の情はない。ハズだった。


だが、傷ついた3体を見ていると神の中の何かが、次第に熱を帯びていく。


ーーこんな傷は一瞬で治せる。熱くなるなよ俺…


そう言い聞かせる。だが、先ほどまで無駄話をしていた臣下が、地面に伏している状況を見ていると、その熱は冷めることはなく、次第に融点まで登っていく。


神の中にある人の記憶、その中でも自分の大切な何かを壊された記憶が、冷静になろうとする神の精神を強制的に怒りへといざなっていく。


ーーそうだった。人間達は常にそうだ。俺から大切なものを奪う。

ーー大丈夫。今回は失わない。俺は神。もう無力ではない。

ーーだが失わなければいいのか?人間はいつも理不尽に大切なもの傷つける。


神と人の思考が交錯し、神の意識が人間の感情に押し負けていく。

神の周囲で圧縮されたエーテルがパチパチと音を立ててはじけ、一瞬だけ激しく発光する。

やがて発光の感覚が短くなり、数が増える。


「うあああああああああああああああ!!!!!」


ついに人間の感情が神を完全に飲み込み、神は怒りに満たされる。


眼下に横たわる3体の体を宙に浮かせる。瞬く間に再生させる。だがそれでは終わらない。


神から生成され大量のエーテルが洪水のように3体のコアに流れ込む。


ヴァロンが察した。


「神よ!静まり給え!!神よ!あなたは人間の種族神です!!神よ!!」


それにベルガンも続く


「これはダメです!神よ!俺はこんな方法で強くなりたいわけじゃない!神よ!」


サーチは言葉は発しない。しかしサーチの感覚共有が強い悲しみと恐怖を伝播した。


やがて三体は黒・赤・白のエーテルの巨大な球体に包まれた。


それは、大神災の始まりを意味していた。

2026年3月29日日曜日

貴族転生 ~恵まれた生まれから最強の力を得る~(終)

<あらすじ>

平凡な村人がある日、帝国の十三親王「ノア・アララート」へと転生します。

従えた他人の能力を自分の能力にプラスできるチートスキルを持ったノアは、兄から魔剣レヴィアタンを譲り受け、それを従えたことでさらに強力になっていきます。


<レビュー>

最初に素晴らしい点を挙げます。本作は着地がとても良い作品でした。1クールの異世界作品、とくに「少年・少女が無双する系」の作品は、「起承転結」の結が弱くなりがちですが、本作は綺麗に結まで書き切っています。最終話で3年後まで時間を進め、少年時代編をきちんと終わらせたうえで、青年編へのフックを残して締める。この構成は見事だったと思います。


未回収の伏線もあり、2期への期待も自然に生まれます。終幕としての満足感と、続編があればぜひ見たいという期待感の両立が絶妙でした。第12話のBパートでヒロイン格をチョイ見せする手法など、作りとしても勉強になります。


本作のもう一つの特徴は、男性と女性の使い分けが上手いことにあります。作中で明確に説明されるわけではありませんが、主人公の日常パートでは女性モブが多めに配置され、画面に柔らかさと彩りを与えている印象でした。一方で戦闘や行商といった武骨な場面では男性モブが中心になり、豪快さと力強さが強調されます。


それぞれが抱きやすい印象を上手く利用して、その場面の空気感を一段引き上げ、行間を視覚的に補っているように感じました。さらにそのうえで、主人公の護衛騎士は女性にし、密告する人物は男性・女性を両方配置するなど、単純な固定化に見えないよう調整されています。偏りを避けるためのブレンドの感覚も良かったと思います。


次に物語の骨格ですが、セリフ回しや「親王」という設定、皇帝を頂点とした支配体制など、異世界ファンタジーでありながら、時代劇に近い安定感があります。時代劇の骨格にファンタジー要素を重ね、現代の視聴者にも分かりやすくすることで、時代劇が持つ安心感と、ファンタジーが持つ親しみやすさが両立していると感じました。


作者がどこまで意識してこれらを駆使したのかは分かりませんが、無意識に作られたのだとしたら才能ですし、計算して作られたのなら卓越した構成力の持ち主だと思います。


気になる点としては、多少ご都合主義に見える展開もありました。ただ、全12話という尺を考えれば、テンポを優先した判断として納得できます。


私自身も物語を書いていることもあり、本作のように強い骨格を持ちつつ、気持ちよく終わらせる作品には敬意を抱かずにはいられませんでした。


少年編を綺麗に締め、次の章への期待も残した最終回でした。無双系でありながら、構成と画面作りで一段上の満足感を出した良作だと思います。



2026年3月26日木曜日

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~

<あらすじ>

35歳独身彼女なしのサラリーマン・山田健一。

ヌルゲーを嫌い、10年以上やりこめるゲームを探していた彼は、最高難易度「ヘルモード」で異世界の農奴の少年・アレンに転生してしまう。


<レビュー>

転生系の無双作品ですが、いきなり最強になるタイプではなく、成長過程を丁寧に積み上げていく作風です。ヘルモードという設定のためレベルアップは極端に遅いものの、主人公が召喚士として多彩な召喚獣を扱えるようになることで、努力と工夫で強くなっていく流れが描かれます。


特に良かったのは幼少期の農奴編です。両親は農業だけでなく魔物退治にも駆り出され、生活水準も低く、蔑まれながら暮らしています。それでも家族として幸せに過ごす様子が、多彩な場面で具体的に描かれており、解像度が高く没入感がありました。魔物退治も単なる戦闘ではなく、作戦を立て、人々が役割を持ち、連携していく過程が丁寧に描かれるため、納得感があります。


また、そんな環境でレベルアップやスキルアップに没頭していく主人公が、転生前の「廃ゲーマー」としての視点から、徐々に両親へ情を持つ「アレン」へ変わっていく描写も良かったです。主人公のモノローグで分かりやすく示されているため、視聴者が置いていかれにくく、作品の間口の広さにつながっていると感じました。


無双系でありながら、農奴編の主人公はまだ強くありません。「剣聖」の才能を持つ幼馴染に剣術で負けてしまう場面などもあり、世界の平和な日常を丁寧に見せることで、作品世界を堪能できました。


そして一転、グランヴェル家の令嬢・セシルの従僕となり、貴族の屋敷で生活する従僕編に入ると、登場人物も総入れ替えになります。ある程度強くなった主人公は、従僕として務めつつ魔物狩りを重ね、レベルアップの速度を上げていきます。やがて自分が前に出て戦うのではなく、召喚獣で編成したパーティーを回して稼ぐようになり、自動周回のような感覚に近づいていくのが面白いところでした。


ここまで成長と努力を積み上げてきた本作ですが、マンネリ化を避けるためか、次第に貴族同士の争いへ巻き込まれていきます。物語の軸を大きく動かす構成は離脱リスクもありますが、本作は無双の気持ちよさを土台にしつつ、少しずつ貴族色を強めていくため、切り替えが比較的自然に感じられました。


そして最終的には、騎士団でも討伐できないモンスターを倒すことで、無双要素と貴族シナリオを融合させることに成功しています。


前半で強く描かれた家族愛が、後半ではやや薄くなりがちな印象もあります。ただ、視聴者が気になるタイミングで実家の村の様子を挟み、記憶をつなぎとめるように描いているため、違和感はうまく緩和されていると思いました。


大きな一本筋の事件で押し切るというより、中規模のシナリオをつなぎ合わせて進む作風なので、途中からでも比較的入りやすい作品です。ご興味があれば配信でも見られますので、視聴してみてはいかがでしょうか。



2026年3月24日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑪》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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リークと篠原の共闘作戦によって、デスランド周辺のUFBを一掃した戦艦「防雷」だったが、篠原はデスランドから次の部隊が現れると予測する。


その予測は的中した。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


2時間前 デスランド大広間。


ベルガン、サーチ、ヴァロンが神と相談をしている。もちろん議題は「防雷」の対応である。


神は上機嫌だった。


「みたかヴァロン。特殊個体を投入しなくても一般兵だけでタラメアの陸軍は敗走。余裕じゃないか」


ヴァロンはため息交じりに応じる。


「神よ。必然の結果です。あまり遊び過ぎないよう。やりすぎると大種族神様の目に触れてしまいます」


"大種族神"その名を出されて神は気分を損ねる。


「大丈夫だ。ルールの範囲で痛めつけているだけさ。それより次は……ほら、タラメアと日本の海戦が始まりそうだぞ!」


防雷の姿を神の力で映し出す。


すぐにベルガンがくらいつく。


「これは大きい。全身鋼の船。私が沈めてきましょう!今沈めてきましょう!」


勢いよく飛び出そうとするベルガンをサーチが引き留めようとした。だがその行動よりも先に神の声が響く。


「駄目だ!ベルガン!お前は今から始まる人間同士の醜い戦いを見学しろ!俺の楽しみを理解しろ!」


一段と深いため息。ヴァロンだ。


「それが人間の種族神のお言葉ですか…。ですがベルガンやめておけ。あの船はお前とは相性が悪い」


神がその言葉にさらに重ねる。


「エーテルの範囲内で、一般兵で対応する。それが今回のルールだ。何度も言わせるな!」


相性が悪いと言われ感情的になるものの、神から制止され立ち尽くすベルガンにサーチが目で膝をつけと合図する。


渋々膝をつき、神が投影した防雷を俯瞰で見るベルガン。タラメアの空母と防雷が戦えばベルガンが見てもタラメアは負ける。弾の撃てない機関銃など、原始的な斧にも劣る。


ベルガンはタラメアが負け、残った鋼の船を神の兵が倒す際には指揮官として名乗り出ようと考えていた。


停泊する防雷に気付かぬ空母は徐々に距離を詰め、ついには防雷の射程に入ってようやく減速した。


防雷から1機のグライダーが空母に向かって飛んでいく。


神から声が漏れる。


「さぁ始まるぞ!何としても機密を守りたいタラメアと、主権をかけて反撃する日本の海戦だ!!」


だが、見つめる先では一向に戦う気配はない。神は苛立ちながら考える。


ーーそうか。鋼の船を見て劣勢を察したのか。なかなかタラメアも優秀じゃないか。


神はデスランドの周辺を飛行していた一般兵に指示を出す。鋼の船を攻撃しろと。


ーー手助けしてやろう。さぁ戦え!!


不規則に飛行していたガーゴイル(一般兵)は、吸い寄せられるように一斉に防雷に向く。そして攻撃を始めた。すると防雷の対空機関砲も一斉に命がともり、迎撃を始めた。


ヴァロンが一言漏らす。


「対応が速すぎる」


これに神も同意する。


「ああ、あの船、我々が攻撃することを予測していたな。海上は割と手薄にしてやったはずだが勘のいい指揮官でもいるのか?」


だが神に焦りはない。千を越える一般兵の群れが黒い渦になり防雷へ波状攻撃を仕掛ける。この状態でタラメアに討たれれば貧弱な彼らの通常兵器でもラインを超える。神は板挟みになっている鋼の船に興味を惹かれる。


ーーさあどうする。沈むか?逃げるのか?いや、勘の良い指揮官だ。相打ちが最善だと気がつくかもしれないな。


同様にヴァロンもこの盤面の行く末に意識を奪われる。ベルガンに至っては目を輝かせ、強靭な火力で一般兵に対抗する防雷に見入っている。


サーチだけは、やや冷ややかに思考していた。


ーーどうしてこうも、争いごとが好きなのか……。あんな鋼の船は私とベルガンで連携すればすぐに沈むのに……


だが、その日常は、一瞬で壊れることになる。


タラメアの放ったミサイルは鋼の船の頭上を越え、神の居城デスランドの上空を目指したのだ。サーチはすぐに感じ取る。何か危険なものが降ってくる。


サーチはいち早く大広間を飛び出すと、シールドを展開しながら城を飛び出した。眼前には2本のミサイルが白い線を引いて飛来していた。高度が高い。


一気に加速上昇し上空にシールドの傘を開こうとした瞬間、側面に大きな衝撃が走る。


ーー撃たれた?


これを見たベルガンも我に返り広間を飛び出す。ヴァロンも神も止める間もなかった。


撃たれたサーチだが、エーテル濃度の濃いデスランド上空では無意識の方位であろうと、サーチのシールドは貫通しない。

だが、強い刺激臭がサーチを包み込む。さらに鋼の船から追撃の発砲音が響く。避ければ上空のミサイルが炸裂してしまう。サーチはシールドを全開にして迎え撃つ。


ーーこざかしい!人間!


防御に集中したサーチのシールドは固い。衝撃を受けることすらなく追撃の弾丸はシールドに弾かれる。


だが、その火花がまるで導火線のようにシールドをすり抜け、内部に侵入してきた。


ーーこれは可燃性のガス!


気づいた瞬間に爆発が起こる。固く閉じたシールドの内部で発生したガスの爆発は超高圧の高熱の刃となってサーチの肉体に制御不能なダメージを与えた。


サーチは全身を焼かれ、五感が失われていくのをスローモーションのように感じていた。聞き覚えのある声が聞こえるような気がした。


その声はベルガンのものだった。


ベルガンは重力に負けて落下するサーチを限界まで優しく受け止めると、すぐにデスランドへ引き返す。そして城の中に戻るとソファに寝かせ、僅かに残るサーチの息を確認する。


城の上空ではミサイルが炸裂し、灼熱の花が守備兵を溶かしていた。


ーー俺はなぜ。なぜいつもサーチを守れない!!!!!


ベルガンの心も烈火のごとく怒りに燃えた。


弓で引かれた一筋の弓矢のごとく、すさまじい速度で城を出ると鋼の船へ一直線に怒りの矛先を向ける。


神の咎めも問わない。自分の未熟さを全てこの船に叩きこみ、罰でも何でも受け止める。強い意志を持った特攻だった。


その特攻に防雷の対空機関砲は即座に反応する。


ヴァロンも我に返る。


「駄目だベルガン!読まれている!」


思わず神も声が出る。


「上昇しろ!!直撃するぞ!!」


神やヴァロンの声は聞こえていた。だが軌道は変わらない。ベルガンは直撃してもかまわない。サーチの痛みを少しでも分かりたい。そんな気持ちに支配され軌道を変えることなく速度を上げる。


視線の先には転進し後退する空母の姿。


ーー逃がすか!


視線を外した瞬間に防雷の対空機関砲が一斉に火を吹いた。重い衝撃が一気にベルガンの体力と速度を削る。まだブレスの範囲には遠い。むしろガードを崩す隙すら無い重い連撃に、ベルガンが回避を試みる。


無数の弾丸はベルガンの再加速を許さない。一呼吸、一拍でも隙があればこの程度の弾幕なら回避ができる。隙を待とうにもすさまじい速度でベルガンの体力は削られていく。


ーーうおおおお!!!


声を上げることすら許されぬ状況が、皮肉にもベルガンの理性を引き戻す。


ヴァロンの指示がエーテルを伝って聞こえてくる。


「10秒後に残存戦力を鋼の船に総動員する。その隙に戻れ!!」


長い10秒がベルガンの体力を容赦なく削っていく。


ーー持たない。


ベルガンの体が弛緩しかけたとき、弾幕が一瞬途切れた。ベルガンに加速の機会が訪れた。大きく息を吸い消耗した羽根を無理やり展開し、180度回転すると、左右に揺れるように城へ戻った。結果的に回避行動になっていたが、傷んだ翼がもたらした偶然だった。


城に戻ると、最後の力を振り絞ってサーチの部屋に戻る。飛び出したときに開けっ放しになっていた扉の前でベルガンの意識は途切れてしまう。


ヴァロンはベルガンの帰還を確認すると、神に参戦の許可を乞おうと視線を移す。


その目に入ったものは、先ほどまでの神ではない。神自身も戸惑うほどの怒りを帯びていた。


ーー許可の是非もない。


確信したヴァロンは、デスランド内にいた兵に召集をかける。


「招集だ!神に牙をむいた天罰をくれてやる!」


デスランド内には1500の兵が残っていた。もっとも、都内全域ではまだ数十万の兵もいる。だがこの戦力を使うことはヴァロンのプライドが許さなかった。


城の背面から一斉に兵が下りていく。降りた兵は半数に分かれ、片方は鋼の船の上空を旋回し、弾を浪費させる。もう一方は地上に降りると瓦礫を抱え上昇し、鋼の船めがけて上空から投げつけた。コンクリート塊は、一瞬で粉々に砕かれ鋼の船の火力を物語る。


それでも投石攻撃は続く。ヴァロンはじっと待っている。大きな船だが弾は無限ではない。そしてじっくりと観察する。僅かな砂の破片が、船の細かい隙間に入り込み、ほんの僅かに動きが鈍くなる様子を。熱を帯び、連射速度が落ちてくる状況を冷静に、蜘蛛が獲物を弱らせるように、確実に追い詰めていく。


そして違和感に気付く。


ーー鋼の船の指揮官は優秀だ。

ーーこの持久戦を想定していないはずがない。

ーーなぜ主砲まで対空防衛に回している?


その先に、篠原の存在を感じ、思考が流れ込んだ。


「囮だ」


ヴァロンは索敵を開始する。サーチを失い範囲は狭い。だがポイントを絞ればそれなりの情報は一般兵の目で集められる。


候補地をいくつか潰し、荒川に沿って索敵していると一斉射撃態勢に入っているロングレンジレールガンを発見する。

デスランドは浮遊しているが移動はしていない。狙いはこれだ。


すぐに射線上に兵を飛ばす。直線で飛来するロングレンジレールガンの弾は、兵を肉の壁にすれば軌道がそれる。


兵の動きを察するようにロングレンジレールガンが火を放つ。だが、炸裂する前に肉の壁に阻まれる。20ほどの兵を割き、レールガンを潰しにかかる。この状態でもヴァロンは手駒1500から作戦を立て続ける。


プライド。それもあった。だがヴァロンの中に不謹慎だが高揚する何かがあった。


不意に鋼の船の主砲がデスランドを向く。


ヴァロンは対空機関砲を確認すると、確信した。


ーー鋼の船は限界だ。


「総攻撃!」


僅かな守備兵を残し、上空を旋回し疲弊を誘っていた部隊と投石部隊が挟み込むように鋼の船に迫る。


対空機関砲の死角を狙った前後からの攻撃には主砲を使うしかない。主砲の先端がデスランドから離れる。


投石が命中したのか、僅かに主砲の旋回速度も遅くなっていた。


主砲が火を吹き、ガーゴイルの群れの先端が被弾するが、その衝撃を避けた部隊が距離を詰める。


その時、デスランドの上空に再び灼熱の花が咲く。


神奈川県側からの攻撃だ。埼玉に集結させていたレールガンの一部を、神奈川に移動していたようだった。


僅かに残った守備兵が灼熱の花に飲まれ、霧散する。


ついにヴァロンは1500以外の兵を動かす。神奈川沿いにいた兵が一気にレールガンを強襲する。デスランドの上空に灼熱の花が何発か炸裂するが、もはや守る兵もおらず、城壁や園庭に熱波が降り注ぎ城の大地が紅蓮に染まる。



その間も、鋼の船に距離を詰める攻撃部隊。


ついに鋼の船はガーゴイルに取りつかれ、煙を上げていく。一つ、また一つと対空機関砲は無力化されていく。


主砲は再びデスランドを狙おうとするが、取りついた部隊がこれを阻止、鋼の船はもはや糸に絡めて取られた蝶だった。


--勝負あり。


ヴァロンは鋼の船の指揮官に敬意を示す。


だが、この一瞬の油断を見逃さない人物がいた。

2026年3月22日日曜日

【軽い日記的なもの】引っ越しシーズン到来!

こんばんは!管理人の緑茶です。

本日の記事は、引っ越しシーズン到来!ということで、引っ越しにまつわる小話を掲載します。