管理人の緑茶です。
帰宅が遅くなり、本日の更新は休載となります。
次回、日曜日の更新まで少々お時間を頂戴します。
このブログは概ねテキストのみで構成され、管理人が見たアニメやニコ生、ゲームなどの 感想を残しているものです 毎週 火・木・日 更新ですが、不意にそれ以外の曜日に更新したりします。 ■リンクフリーではありません!!■(詳しくは本サイト内へのリンクやURL掲載についてをみてね)
この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
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篠原から送られた座標・射角はほぼ垂直に近い、前方の防雷とそれを取り巻くUFBのはるか頭上を飛び越えて、デスランドの頭上を狙う軌道だった。
ーーなるほど。艦砲射撃では不可能な軌道でも、クシャルボコスのミサイルなら…というわけか。
リークは軌道の軍事的価値をすぐに理解すると、指示を出した。
「両舷ミサイル、弾頭換装!焼夷弾に切り替えろ!自動信管をタイマー式に変更。カウント30だ!」
ーー灼熱の雨。R連隊が使った戦術を怪物の居城に使うとは。恐ろしいやつだ。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
その頃、防雷では足立・仲原・篠原が奮戦していた。
足立が迫りくるUFBの群れを凝視しつつ、指示を出す。
「主砲発射!目標UFB要塞!」
この命令を仲原が即座に分解する。
「主砲1番、2番、逐次射撃、目標UFB要塞。撃て!」
UFBの層の一番厚い部分に46cmの鉛球がめり込んでいく。衝撃で何体ものUFBが霧散するが、貫通には至らない。
しかし、2発、3発と同じ箇所を狙われると、デスランドを守るためにUFB側の陣形が崩れる。
「いいぞ!対空機関砲、弾幕を張れ!」
圧倒的な数量差。しかし、主砲による牽制と、機関砲による掃射を巧みに使い、UFBを一切防雷に寄せ付けない。
防雷の艦長も唸る。
「なんという豪胆で、繊細な戦い方だ。あいつらは陸自だろ。こんなに的確に操船するなんて・・・」
篠原が頷きながらそれに答える。
「対UFB戦は経験が重要なのですよ。足立さんはぁ何度も戦ってるからぁ無意識に相手の行動パターンを覚えつつあるのでしょうね!」
「クシャルボコス、換装を始めた模様!」
報告が割って入る。
「ほぉらぁ。あの大佐ぁシッカリ私の意図を読み取ったみたいですねぇ。戦える軍人さんはぁただの軍人さんですがぁ、行間をよめる軍人さんはぁ素晴らしい軍人さんですぅ!」
「隊長~っ。あと1分で空母が焼夷弾かクラスターを撃ちますよぉ、準備お願いしま~す」
仲原がこれに反応する。
「交戦中です!緊張感を持ってください!」
足立がいさめる。
「はいはい。主砲撃ち方やめ!クシャルボコスの面制圧兵器に合わせて換装し、一舷射撃準備!」
仲原が腑に落ちない表情のまま各所に指示を出す。
「主砲1番、3番。撃ち方やめ!2番、4番。30秒後に撃ち方やめ!一舷射撃準備!1番、3番はUFB特殊弾に換装」
10秒、20秒、対空機関砲が近づこうとするUFBを容赦なく霧散させていく。
足立の表情が曇る。
「早くしてくれよ!主砲抜きじゃ、さすがにキツイぞこれ!」
30秒…すべて主砲が沈黙する。
「クシャルボコス、両舷からミサイル発射。射角・座標共にこちらの依頼通りです!」
はるか頭上を越える二筋の雲。その雲に向けてデスランドから白い何かが飛び出した。
篠原が嬉しそうに叫ぶ。
「来ました!サーチちゃん!今ですよ!」
仲原が即座に指示を出す。
「撃て!!!」
この言葉をきっかけに、防雷の主砲が、デスランドから飛び出したサーチへ一斉に火を吹く。
大きな爆発音。見るまでもなく命中。しかし大きなダメージは見受けられない。
仲原は事前の作戦通り指示を続ける。
「2番、4番。撃て!」
再度、巨大な弾丸がサーチのシールドに激突する。
すると、炸裂した炎はまるで魔法のようにサーチのシールドを貫通し、巨大な爆発をシールド内で発生させる。
サーチのシールドが消え、明らかに意思を失い落下する彼女を、城から飛び出したベルガンが慌てて回収、デスランドへ連れ戻した。
その刹那、デスランドの上空で二つの美しい花が開く。それは化学反応で数千度に達する灼熱の炎の花。
花はゆっくりと高度を下げると、デスランドを防衛していたUFBを溶かしていく。
「クシャルボコス!2射目発射!」
唖然としていた防雷のクルーに再び緊張感が戻る。
通信機からリークの声が響く。
「キョーダイ。アニの テダスケは マダイルノカ?」
篠原がAIボイスに切り替えて応じる。
「兄上。転進されたし。護衛艦をつれて電子妨害外へ。貴艦が沈んでは国際問題だ」
暫くの沈黙、そしてリークの笑い声が聞こえる。
その間に二射目のミサイルが炸裂、一度焼かれたデスランドの上空を再度高温の花が咲く。
通信を切った篠原が予言する。
「メチャクチャに怒り狂った特攻ちゃんがきますよ。真っすぐ来ますぅ!防雷の対空機関砲で迎撃おねがしまぁす!」
足立の指揮が行動に変える。
「右舷対空機関砲は特殊個体に注意!直線で来るのなら当てられる!勢いを殺したら二度と加速させるな!」
予想通り、デスランドからひときわ大きい個体が防雷めがけて一直線に接近してくる。
対空機関砲が射程に入ると、一斉に迎撃を開始する。ベルガンは勢いを削がれ、左右に逃げようとする。だが、防雷の対空機関砲は一撃が重く、すぐに動きが鈍る。
――仕留められる!
足立が確信した瞬間、かろうじて灼熱花から逃れていた残りのUFBが一斉に防雷に襲い掛かる。
ベルガンのみを捕らえていた対空機関砲も、これに対応を迫られた。そのわずか十数秒の隙だが、射線から離れることができたベルガンは左右に揺れながらデスランドへと消えていった。
篠原が上機嫌で告げる。
「できれば仕留めたいところでしたねぇ。でもこれでぇ敵の既存戦力は全滅ですぅ。ここからが本番ですよぉ。賢い子。軍師みたいな子が出てくるはずですぅ!敵の動きが一気に複雑になりますよぉ!」
「足立さん、埼玉から半分移動したあれぇ。使えますかぁ?」
足立は誇らしげに答える。
「ああ。2ヵ所とも準備万端だ! みんな、ここが踏ん張りどころだぞ!!」
言葉通り、時を開けずにデスランドから新たなUFBが現れる。
だが、それはただのUFBではなかった。
<あらすじ>
物語の舞台は漂流する宇宙船。
“人間に化けて人間を襲う未知の敵”――『グノーシア』が船内に紛れこんだことを受けて、
乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。
グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。
なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。
わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。
<レビュー>
本作は、一度セツのいない世界線でエンディングを迎えた後、延長戦のような形で物語が続く、かなり珍しい作りでした。率直な感想としては、とても面白い作品です。人狼ゲームの面白さをまだ十分に理解できていない私でも面白いと感じたので、人狼要素だけでなく、物語としての完成度も高いことが分かります。
一方で、残念だった点もあります。最後の最後に、宣伝色が強く出てしまい、少しだけ現実に引き戻されたように感じました。ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください。
物語上、主人公はセツのループを終わらせたことで消滅する、という解釈が成り立つ描写でした。ただし主人公は「僕にはまだ時間がある」と嘘をつき、バグユーリのように振る舞い続けます。なぜそうしたのか。延長戦のループでは主人公がグノーシア側にいる、という構図に落とし込むためだと私は受け取りました。
セツは経験からSQをグノーシアだと断定しますが、世界線が無限にあり、場合によっては性別すら変わるほど条件が揺らぐ中で、同じ相手と同じ関係のループに入る確率は極めて低いはずです。ですがセツは主人公の入れ替わりに気がつかず、最後にグノーシアユーリが笑って終わります。
人間側勝利で一度締め、延長戦ではグノーシア側が勝つ。いわばバッドエンドですが、延長戦という位置づけであれば許容できます。ただ、その結末を明確に言い切らず、余韻のある締め方で終えた直後に、間髪入れず「舞台化」を告知する流れはさすがに早いと感じました。楽しく視聴していたぶん、そこで急に宣伝の現実に引き戻されてしまったのが惜しかったです。せめて一週間ほどでも発表を遅らせて、バッドエンドの余韻を味わいたかった。これが私の一番強い印象でした。
とはいえ、それ以外は非常に勉強になる作品でした。まず驚かされたのがキャラクター造形です。登場人物は15人ですが、人間側とグノーシア側で振る舞いが変わるため、15人分の「二つの顔」を扱うことになります。さらに、特定の組み合わせでのみ変化する要素まで含めると、実質的に扱う人格の数は膨大です。それを破綻なく描き分けているのは、すごいの一言に尽きます。
たとえるなら、学園物で1クラス全員を準主人公級の密度で描くようなものです。一人ひとりに性格があり、過去があり、それを矛盾なく回し続けるのは容易ではありません。書き手として考えると、二人なら比較的回せますが、三人になると一気に関係の線が増え、負荷が跳ね上がります。この作品はその難所を、さらに大人数で成立させています。
構成もダイナミックでした。まずはゲームに忠実なループ人狼編を1クールしっかり描き、人狼ファンが満足できる時間を確保します。次に人間勝利編で、視点をループから物語へ一気に移し、人狼編で積み上げたキャラの魅力をシナリオの中で開花させます。そして一度終えた後のエピローグ編では、ダイジェストで骨格だけを見せ、視聴者の想像に委ねる方向へ変わります。前段の積み上げがあるため、投げっぱなしにはならず、短い話数でも濃密に楽しめました。
最後に、説明の取捨選択も巧みでした。ループもの、人狼ものは説明しようと思えばいくらでも説明できます。例えば、ユーリの二重存在を否定するために別宇宙へ向かったセツの話も、突き詰めると「ではその世界のセツはどうなるのか」と疑問が残ります。作中にも、セツが軍人だと言って倉庫をこじ開ける場面があり、その世界にセツが存在していた痕跡が示されます。しかし、本作はそこを深追いしません。
何でもありの世界線だからこそ、説明を増やすほど蛇足になりやすい。必要な説明だけを必要なタイミングで提示し、視聴者の理解のメモリがパンクしないよう整理している点が見事でした。
前半で触れた不満はありますが、全体としては今期のベスト3に入るほど楽しい作品だったと思います。
人狼の枠を超えて、ループSFとしての物語に着地させた構成力が圧巻でした。余韻の扱いだけは惜しいものの、総合的には強く記憶に残る作品です。
<あらすじ>
8歳の時に授かった力は、その世界で“役立たず”とされている「生産系魔術」だった!
そのせいでヴァンは貴族に相応しくないと父親により失格の烙印を押され生家を追放。
名もなき辺境の村の領主として赴任することに。
小さく貧しい村は、徐々に様々な人が集まる巨大都市へと発展していき――!?
<レビュー>
生産系無双アニメで、ビルド要素も多彩な作品です。同ジャンルの「貴族転生」と比べると作風は大きく差別化されており、シリアス寄りの「貴族転生」に対して、こちらはライトでギャグ寄りの雰囲気になっています。
目的も明確で、僻地の村の住人を豊かにし、みんなで幸せに暮らすこと。そのささやかな目標とは裏腹に、万能級の人材が集まり、さらに主人公の生産系魔法も万能すぎる。このギャップが面白さの核になっています。
異種族や王族など幅広い登場人物が主人公の村を見て「なんだこれはー!」と驚く。そんなお約束の展開を武器に、毎回さまざまな建築物やアイテムを生産しては、視聴者と登場人物の両方を驚かせてくれます。
都合よく飛んでくるドラゴンを、バリスタや仲間たちが軽快に倒してしまう場面もあり、危機的な展開ですら全体のトーンは軽めです。深刻になりすぎず、気軽に楽しめるのが本作の強みだと思います。
終盤も近いですが、気になった方はこの機会に視聴してみてはいかがでしょうか。
この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
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怒りに我を忘れたリークは短距離ミサイルの弾頭を核へと変え、池袋を射程に収めるために東京湾へ向かっていた。
東京湾の手前まで来ると、電子妨害はレーダーを殺し、目視警戒を余儀なくされるほどだったが、すでに上陸作戦で経験済みのリークは動じることなく東京湾へと船を進める。
「護衛艦はここで待て!あの篠原のことだ。核は読んでいるだろう。核を撃つ前に沈める‥‥合理的だが、指揮官として作戦が浅い」
護衛艦はギリギリ最低限の電子機器が機能する地点で停泊し、東京湾へ近づく船舶があれば、無条件に破壊するミッションに入る。
単身東京湾へ進む空母クシャルボコス。操舵手が不安そうにリークの様子をうかがう。
「クシャルボコスとはいえ、単身で敵陣へ入って大丈夫でしょうか…」
「この電子妨害下での脅威は、怪物だけだ。総員機銃を取れ。有効なのは確認済みだ。対空砲は手動モードで散弾弾頭を使え」
この言葉と同時に電子戦オペレーターが、紙に書かれた池袋への射角と起爆タイマーの時間を持ってくる。
リークはその情報を眺めつつ、低い声でうなる。
「精密機器が使えないなら、使えるところで結果を出し、持ち込めばいい。簡単なことだ」
時間と共に表面的な怒りは消えつつあったが、リークの瞳の奥にはなお怒りに滾る炎が宿っていた。
20分後、湾内に入る。
すると靄の中に艦影のようなものが見え始めた。靄の中の艦影からクシャルボコスへ1機のグライダーが射出される。
リークは双眼鏡を手に取ると、グライダーを確認する。グライダーには日本とタラメアの国旗が両翼に書かれ、その後ろに光ケーブルらしいものが光って見える。
ーー罠か?いや、この状況で罠を張る意味は薄い。日本の先制攻撃と見るべきか?
リークが思案していると、艦影からモールス信号が送られる「ツ・ウ・シ・ン・キ・ヲ・ウ・ケ・ト・レ」
ゆっくりと近づいてくるグライダー。双眼鏡を覗くリークはその奥に僅かに見える黒い点を発見する。
ーー怪物だ。即座に理解したリークは応戦命令を優先する。
「怪物が来るぞ!前方の艦影が囮になるはずだ!抜けてきたヤツらを叩き落とせ!」
驚くほどの速さで、前方の艦影に近づく怪物。しかし、リークはさらに驚愕することになる。艦影が怪物に対して迎撃を始めるとその風圧で靄がブワッと晴れ、その姿が鮮明になる。
その姿はまるで旧世界大戦時を思わせる、巨大な鉄の塊。46cm砲と思われる巨大な砲塔を前後に備え、両舷には無数の対空機関砲。普段なら鉄くずともいえる旧式の戦艦であった。だがリークは即座に理解する。このエリアに限定すれば、この巨艦は最適解であると。
4km離れたクシャルボコスにも戦闘音が伝わってくる。響く重低音と、機械的な機関砲の音が空母内まで届いた。
クシャルボコスの高官たちはリークの顔を見る。高官たちの顔色だけで、答えは十分だった。
戦況に気を取られていると、グライダーはもう、空母の数百メートル目前まで迫っていた。リークは腹をくくりグライダーを回収する。すると、グライダーは想像以上にシンプルで、機体のほとんどは格納スペースだった。格納スペースには黒い通信機と思われる丸い機器が入っていた。そして案の定、光ケーブルが内部から伸び、巨艦とつながっているようだった。
「爆弾では?」
一人のクルーが呟くと、甲板がパニックになりかける。だがリークの一言ですぐに収束する。
「あの巨艦の主砲であれば、姑息な手を使う必要ない。つまりこれは間違いなく通信機だ」
スイッチを捜すリークを見ていたかのように、球体からAI篠原の声がする。
「聞こえますか。篠原です」
無線もろくに使えず、レーダーも効かないような状況で、肉声のようにクリアな通信に、リークは思わず応じてしまう。
「なぜ精密機器が使える」
AI篠原は予想通りの答えに即答する。
「私はこの現象をずっと観察して気づいたのです。この電子妨害は我々もまた利用できると。そんなことより、あなたに知らせがある」
球体を囲む船員とリークは顔を見合わせて、電子妨害を利用できることよりも大きな知らせに興味が移る。
リークはハンドサインで工兵に球体を船室に運ばせると、話を続けた。
「一体何の知らせだ?いまさら退避勧告でもないだろ。俺はお前にもムカついてるんだ。こんな球は海に投げ捨ててもいいんだぜ」
篠原は全く動じない。
「その割にはご丁寧に船室に引き込んでもらったようで。丁重な扱いに感謝します」
別にカメラやセンサーが付いているわけではなかった。ただ声の反射が変わったことで篠原は状況をすぐに分析してしまったのだ。
そして本題に入る。
「私怨は後で聞きましょう。私も兄弟を自称する大佐が研究室に無断で侵入した。
これについては、意図を聞きたいと思っていたところです」
リークの顔が濁る。単独侵入はごく限られた士官しか知らない極秘行動である。それを暴かれた動揺が、わずかに顔に出た。
篠原はたたみかけるように続ける。
「あなたの目的は既に破綻しました。あなたのミッションは秘匿兵器の残骸の処理。ですが、残念ながら我々が既に解析し、自衛隊のDBに登録してしまいました。
AIを用いた相互リンクシステム。二台の車両を役割特化させることで強みを倍増させる。その新世代兵器としての発想は素晴らしい。
しかし、部品の組み合わせは良くない。政治的な関与でしょう。最善を選べないのはつらいですね。兄弟」
突然の秘匿情報の解析結果に、士官たちのざわめきはさらに強まっていく。
「本当か?ブラフじゃないのか?」
「いや、もし本当だとしたら、もう攻撃する意味は…」
「残骸を回収したのか?衛星写真ではそんな様子はないが‥‥」
リークだけは確信していた。手段はわからない。だが確実に解析されている。
「転進。本国へ帰投する」
先ほどまでとはまるで別種の、力の抜けた命令だった。核使用という重圧が去ったのだと、タラメア兵たちにもすぐに伝わる。艦内の空気はわずかに日常を取り戻した。
だが、篠原の通信は終わっていない。
「大佐。手ぶらで転進ですか。ずいぶん丸くなられた。東京湾への侵攻は明らかに領海侵犯です。軍事裁判が待っていますが」
リークは無言で拳を握る。
「大佐、あなたは我が国の兄弟として我々を支援するために、東京湾に侵攻したのです。我々の任務はお台場に浮くUFBの居城デスランドの破壊」
「この戦艦『防雷』は電子機器を使っていません。射角、射撃統制は私の観察と暗算。そして指揮は足立隊長の経験です。情報をリンクします。そちらも手動で照準を合わせてください。ともに撃ちましょう兄弟」
すぐさま、球体の側面に文字が浮かぶ。
それは、現在の空母の位置から、正確にデスランドを攻撃するための座標情報であった。
「防雷の火器でUFBの大半を引き付けます。そのすきにその射角で直上から通常ミサイルを叩きこんでください。電子制御は全てオフ。大丈夫です。当たります」
この会話の最中もずっとUFBの波状攻撃を受けている防雷。しかし、武骨な鉄の塊は皮肉にもUFBに対してこれ以上のない強さを誇っていた。
ーー勝てる。そしてあの高官の死に花を添えられる。
リークの決断は誰よりも早い。
こんばんは!
管理人の緑茶です。3月になり、1月開始アニメが終盤に入ってきました。
毎回思うのですが、最終回まで待つべきか、それとも一度書いておくべきか迷う時期なので、どうしても日記系の記事が多くなります。
さて、今回の話題は執筆中の「人類アンチ種族神」についてです。少し内輪寄りの話にはなりますが、本作は全100話構成で、50話付近で第1部完となります。
長らく続けている火曜日の小説更新も、そこでひとまず一区切りとなります。
時期的には4月に入るので、その後は4月アニメを多めに取り扱う方向で更新枠を埋めていこうと思っています。ただ、小説の閲覧数も伸びているので、間が空いても何かしらはアップしたいと考えています。
短編ギャグや、ずっと続きを書いていないラブコメ、ボツになったホラーなど、「人類アンチ種族神」では書かなかったようなジャンルをお披露目できれば嬉しいです。
まずは目先の「人類アンチ種族神」第1部完に向けて、スパートをかけています。
「ターニングポイント」というサブタイトルを全力で回収しにいく部分でもありますので、丁寧に、そしてテンポよく、楽しんでいただける内容にできるよう精進します。
さて、本日はアニメレビューの閑散期ということで、日記記事となりました。
あわせてお知らせですが、次回、3月8日(日)は休載となります。
前日にNサークルの新作「一発逆転!からくりクレーンゲーム」のリリースが、おそらく夜にあるため、バグ修正待機のためのお休みです。
からくりクレーンゲームでは、いくつかの筐体設定を担当しました。こまごまとしたギミックのある台も作りましたので、お楽しみいただければ幸いです。
このゲームは、実際のクレーンゲームと同じように、アームの角度、開き具合、パワー、センサーの感度といった部分を細かく調整できます。そのため、各メンバーが1台ごとの設定にかなり時間をかけています。
それだけに、不具合が出ないか今から戦々恐々としています。
この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
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密集した車列から1組のYA-24とDD-24が、急加速で離脱したのである。緩やかに後退していた車列から飛び出した2台、まるで群れから離れた子ヤギのように怪物の的になる。
リークが無線で怒鳴る
「どこの馬鹿だ!撤退だといっただろう!前進してどうする!戻れ死にたいのか!」
返事を返したのは、あの髭の高官だった。
「大佐、このままではどのみち全滅です。全滅すれば、ここにもまたタラメアの国家機密が残ってしまう」
「こちらで敵を引き付けているうちに残存部隊を連れて空母へ。我々は180秒後に自爆します」
リークは喉元まででた否定の言葉を飲み込むと一言、全兵士が凍り付くような恐ろしい声で無線を取った。
「エンジン全開。索敵ドローンは離散命令を出して放棄。全力で撤退する。急げ!」
怪物を迎撃しながら緩やかに後退していた車列だったが、YA-24は射撃を止めDD-24の牽引コネクタとの接続を優先する。
ガチャン、と重々しい音を立てて牽引コネクタが噛み合う。
戦闘で埃をかぶった鋼鉄のパーツ同士が、土煙を上げて強制的に連結された。これは本来、自陣内でDD-24を高速輸送するための機構であり、実戦で使われることはない。DD-24側の操縦系を完全に奪ってしまうからだ。
だが、DD-24の馬力不足を補うという点では、これ以上にない方式である。
結合が終わった車両から順に次々と急加速で戦闘地域を離れるタラメア軍。悪路もYA-24の馬力があれば速度が落ちることはない。
リークが指示を出す。
「DD-24は追撃してくる怪物を落とせ!同胞の犠牲によって、包囲網は崩れた。後方に専念しろ!」
その無線を切った直後、ひときわ明るい閃光が車列を後方から包み込む。
そして波のような衝撃波の直後、轟雷のような炸裂音が響く。高官のYA-24とDD-24が自爆したのだ。
YA-24の自爆は弾薬室の誘爆を誘う設計だ。DD-24も端末AIの下にある自爆専用の特殊燃料によって超高温で燃え上がる。
誘爆による衝撃で高温の特殊燃料が飛散し火球のような状態になり、怪物の大半は瞬時に灰と化し霧散した。
その光景は、まるでリークに「行け」と告げているのかの様であった。
その火球を逃れ追ってきた数体も、YA-24に牽引されたDD-24の機銃で迎撃し、リークは九死に一生を得た。
舞浜に接舷していた揚陸艦に戻れたのは、6台。失ったのは高官の率いた部隊2台と、撤退中に破損し動けなくなった車両を放棄して自爆させた2台。
あの状況からの撤退行動での帰還率としては100点に近い。
だが、リークの表情は極めて厳しいものだった。兵士はみな一言も発することはない。視線も合わせない。人の皮を被った猛獣のような黒い怒りに包まれたリークはクシャルボコスへ帰還すると、さらに衝撃を受けることになる。
今回の戦闘データを解析していた中枢AIが、自衛隊から渡された「偽のデータ」を判別していたのだ。この偽のデータがAIの判断に僅かな遅延を生んでいた。
違和感の正体に気が付いたリークの脳裏に、AI篠原の顔が浮かぶ。
ーー島国の小国が私を欺いた?篠原に喰わされたのか?いや、今思えば不自然な点があった。私の質問に答えた大仲の表情は明らかに動揺していた。
この私が見逃した?いや、秘匿施設の強襲を読まれていた。想定されていなければこれほど巧妙な偽のデータは作れない。
「う、うああああ!」
限界を迎えた感情のリミッターが弾け飛び、リークは硬い船体を拳で何度も叩きつけた。だが、小国に出し抜かれたという屈辱も、失った同胞の痛みも、そんなことで紛れるはずがない。理性で抑え込んでいたはずのド黒い殺意が、獣のような唸り声となって彼の喉から溢れ出した。
「これよりクシャルボコスは東京湾に入り、短距離ミサイルで池袋を更地に戻す。核弾頭に換装しろ!」
太平洋に停泊していたクシャルボコスは護衛のフリゲート艦「エルズワン」「アルイントス」を引き連れて、東京湾へ錨を上げた。
これは、髭の高官がリスクが高すぎると否定した案に、核を上乗せした最悪の決断だ。しかし、憎悪に燃えたリークは高官の死を作戦失敗の一コマにするのではなく作戦成功の功労者にする。そのことしか頭にはなかった。
移動を始めて僅か3分で日本側からのホットラインが入る。
「告ぐ。クシャルボコスの領海侵犯は認めない。転身されたし」
この声にリークは聞き覚えがあった。そう、防衛大臣の大仲の声だ。リークは自分を欺いた大仲に低い声で返す。
「大仲。楽には死ねんぞ」
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
1時間前、R連隊作戦司令部
大仲、津田、といった大物政治家と
足立、仲原、とその上官、自衛隊の制服組。
そして、モニター越しにUFB研究室長の篠原が参加した話し合いが行われていた。
タラメアの敗走を受け、篠原が核が来ると予想したためだ。
「本当に勧告なしに核を撃つのか?」
津田が半信半疑で篠原に問う。
「撃ちます。撃たざるを得ません。タラメアは既に同盟国である我が国の極秘施設に侵入。情報の強奪。強制的な上陸作戦と国際的な一線を何度も越えています
国際的批判という対価を払って、負けました、では済みません。威信にかけて絶対に作戦を成功させる必要があります」
大仲が話を割るように聞き返す。
「だが、撃ったところでクラスターの時のように作動しないのではないか?」
これに対し篠原はやや溜め息交じりに返す。
「クシャルボコスの間接射撃の射程は30kmです。時限式信管にしておけば軌道は弾道軌道。爆発は時限タイマー式。場合によっては成功します。
タイマーの方式次第ではありますが」
それを聞いた足立は驚いた。席から立ちあがるとAI篠原を指さしてこう聞いた。
「お前、それはつまり、クシャルボコスが東京湾に入るってことだぞ!」
足立のこの反応に喜ぶ篠原は饒舌になる。
「その通りですぅ。電子妨害を回避しつつ、池袋の付近に核弾頭を落とそうとすると、結構射程がギリギリなんですぅ。上空の風向きも考慮するとぉ完全に湾内にはいる感じになりますねー」
足立はそれを聞いてさらに興奮が収まらない。
「大仲さん、核を積んだ空母を東京湾にいれることは容認できません!内政干渉の域を超えて、もう侵略行為ですよ!」
その時、自衛隊の緊急連絡が入る。
「空母クシャルボコス、護衛艦エルズワン・アルイントスを連れ東京湾へ接近中!」
大仲は執務室に戻るとホットラインを手に取った。
「告ぐ。クシャルボコスの領海侵犯は認めない。転身されたし」
だが、リークの声は以前の「キョウダーイ」とふざけていたトーンとはまるで違った。低く、声だけでも強い怒りと憎悪を感じる恐ろしい声だった。
「大仲。楽には死ねんぞ」
その声に、篠原の予言の信ぴょう性の高さを感じ取った大仲は、R連隊作戦司令部に戻ると状況を説明した。
そして宣言する。
「海上自衛隊の予備兵器だった263番で対応する。用意はできているか仲原三佐」
仲原はここぞとばかりに声を張って答えた。
「263番は物理兵装に換装を終え、現在は客船に偽装し茨城沖に停泊中です。また、正式配属に伴い艦名を改めました。防雷(ボウライ)とお呼びください」
この決断は、すでに篠原に促されていた。
ーー討たれる前に撃つ。
大仲は宣言する。
「防雷抜錨。目標空母クシャルボコス。狂人の船から主権と本土を守れ!……電子妨害のエリア内で撃沈せよ!」