2026年2月3日火曜日

【軽い日記的なもの】休載のお知らせ

 本日は小説更新の日なのですが、小説の出来があまりよくなく休載という形に致します。


重いエピソードが続いたので、ちょっと日常回を書いてみたのですがビックリするほど虚無な文章になってしまいました。


筆が進まないとはまさにこれですね。本人が楽しく書いていないのと、そのエピソードの目的が日常というくくりでボヤ~っとしているのが原因だと分析しました。


どうにも足立×仲原のR連隊コンビの仲良しエピソードを書こうとすると、うまくいかないです。おそらくこの二人の未来を知っている(考えてある)ので、その間の日常を作者的に書きにくいというのもあると思います。


---


なぜに日常を書こうとしたかというと、本編の流れもありますが、Nサークルで「あいさん」と「もこもこさん」の妄想を聞いてゲームのシナリオを書いた影響があります。

ものすごい願望を良い意味で楽しそうにぶつけてくるので、こんなシチュエーションにして、こうして、ああして、あれもいい!みたいな漏れ出るアイディア(願望)の渦に物語に出来ないのが不思議でなりませんでした。


そしてとても私も楽しく執筆出来ました。この経験を日常回という形で活用しようとした結果、本当に何もない虚無な文章になってしまったわけす。

それでは次回は、木曜日にまたお会いしましょう。


2026年2月1日日曜日

聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました シーズン2(新)

 <あらすじ>

理不尽な理由で母国から追放され、隣国の国王に助けられた聖女リーシャ。

崩壊寸前だった隣国をリーシャは聖なる力で復興させ、国王ラオウハルトとも良い関係を築き上げていきます。

人気コミックをそのまま映像化させた、通称「アニコミ」のシーズン2です。


<レビュー>

漫画を動画として見せる形式のアニメで、低予算制作の突き詰めた形にも見える作品の第2期です。シナリオ自体は面白いので個人的にはうれしいのですが、この作風で地上波の第2期が成立していることには、少し複雑な気持ちもあります。


映像はかなり動きを付けていますが、基本は漫画のコマ割りをアップにし、目パチや口パク、髪の動きなどを足して見せる作りです。感触としては、かつてのFlashアニメに近い部分があります。


ただ第2期では、この「アニコミ」手法に磨きがかかった印象でした。漫画を加工して見せるという土台は変わりませんが、動きが自然になり、コマ枠を取り払う場面を挟むことで、アニメらしい空間の広がりも意識されているように感じます。


吹き出しのセリフも声優の演技に合わせて表示されるため、ネット上の縦読み漫画や、ただ少し動く漫画とは一線を画す作り込みになっています。見慣れてくると違和感も薄れ、シナリオの面白さも相まって想像以上に没入できました。


シナリオ面では、第1期で追放から新天地での成功までを描き切っているぶん、やや後日談の雰囲気もあります。とはいえ、聖女として元の国で冷遇されていた理由の掘り下げや、新天地で進む国王とのラブストーリーなど、追放系の骨格に要素が積み増され、面白さの層が厚くなっていると思います。


アニメ的な作画のリッチさではなく、漫画的な視覚効果と限定的な動き、そしてシナリオと声優の演技でエンターテインメントを追求する姿勢は、シナリオライター目線でも非常に興味深いです。




2026年1月29日木曜日

アンドロイドは経験人数に入りますか??(新)

<あらすじ>

『あたしの人生、終わりかも……』

大手電機メーカーで働く”津田あかね(28)”がうっかり酔った勢いで購入してしまったのは、

所持しているだけで重罪確定!?

違法製造された大人用ロマンスロイドの”撫子”だった!?

<レビュー>

今期のいわゆる叡智枠です。この手の作品は、地上波版がいわばお試しで、実質的な本編は配信の規制緩和版に置かれていることが多い印象があります。地上波での表現制限を前提にシーンを組み立て、より踏み込んだ内容は配信へ、という流れが分かりやすいタイプです。


配信版にも「地上波準拠」と「規制緩和版」が用意されている場合がありますので、視聴前に公式サイトで、配信サイトごとの取り扱いを確認しておくと安心だと思います。


内容は、仕事で疲れ果てた主人公が、女性型のアンドロイドを買ってしまうところから始まります。違法品なので捨てるにも捨てられず、しかも用途が用途だけに他人にも相談もしにくい。見た目は妙にリアルで、距離感も近く、常に好意的な反応を返してくるため、主人公の方が徐々に情が移ってしまい、結果的に同居するような形になっていきます。


叡智枠という前提は置いておいても、この導入には妙な納得感がありました。アンドロイドは大枠では電化製品であるにもかかわらず、仕草や振る舞いを人間が好ましいと感じる形に寄せることで、もともと機械に抵抗感のある人でも、比較的受け入れやすくなる。そういう心理の入口を、分かりやすい形で見せているように感じます。


シナリオはご都合主義寄りで、作画も突出しているわけではありません。ただ、叡智枠として見るなら十分に水準を満たしていると思います。昔の叡智枠にあった、極端な低予算感だけで押し切るタイプとは違い、最近は通常アニメに近い見栄えを保ちつつ、見せ場にだけ妙に力が入る作品も増えてきました。本作も、その流れにある一本だと感じました。


一方で、題材的にどうしても視聴者を選ぶのは確かです。まずは地上波のお試し版で雰囲気を掴み、興味が湧いたら配信版を選ぶ、という入り方が一番安全だと思います。


叡智枠としての分かりやすさに加えて、アンドロイドが生活に入り込む心理の描き方が意外と面白い作品です。合う合わないは分かれますが、刺さる人にはきちんと刺さるタイプだと思います。



2026年1月27日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑤》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

-----

リーク大佐が太平洋上の空母『クシャルボコス』へ帰還した翌日、埼玉県内の地下会議室で「会食」が開かれた。


出席者は大仲大臣、津田議員をはじめとする各省庁の大臣と与野党の大物政治家。そしてR連隊の隊長足立、副隊長仲原、さらにリモート参加としてUFB研究所室長の篠原である。


リーク大佐を除く、タラメアの使節団が国会に滞在している。


そのため、本会議で議論できない「対タラメア外交」について話し合うためにセッティングされた会食であった。


冒頭、大仲大臣が料理も待たずに状況を説明する。


「みなさま、急な招集にご賛同いただき、ありがとうございます。舞岡議員や同盟国使節団の耳に入らないよう、情報漏洩のリスクを最低限に抑える必要がありました。」


「さて、重要な情報です。先日、タラメアの最新鋭戦車YA-24および装甲車DD-24が、池袋周辺でUFBと交戦いたしました。結果はタラメア兵器の完敗です。YA-24は自爆、DD-24は炎上。搭乗員全員が死亡しました」


僅か1分程度の情報共有だったが、議員たちのざわめきは低く不安の渦を巻いているようだった。その状況で一人の議員が挙手をして質問を投げかけた。


「なぜ、タラメアの最新鋭戦車や装甲車が我が国に?R連隊の車両ですか?」


大仲は想定通りといった面持ちで返す。


「いえ、これは民間。大荻山氏所有とみられる兵器です。真実を聞こうにも、大荻山氏もこの戦闘で命を落とされております」


ここまで黙っていた津田議員は大荻山というキーワードで大筋の因果関係を読み取ると、議論を混沌から対策へと導き始める。


「大仲大臣。だとすれば、これは明らかに我が国へのタラメア側の内政干渉ですな。いや、権力を持った一個人に兵器を供与した。これはテロのほう助と言ってもいいでしょう。このカードをどう扱うおつもりか」


津田の一言で、議論の方向はカードの有効な使い道へ流れ始める。議員が乱雑に我先にと案を出し始める。


「このカードでタラメアに食料品を提供させましょう!」

「そんな安いカードではない!YA-24にDD-24を5台ずつ、無償供与を受けるべきです!」

「R連隊をタラメアの兵器と混成するのは危険です!ここは、この災害で住まいや家族を失った人々への支援金を要求すべきです!」

「いやいや、タラメアに東京のUFBを排除させましょう!それくらいは当然だ!」


そんな中、津田議員は大仲に意見を求めた。その眼光は鋭く大仲の防衛大臣としての資質を問うような深い探求にみちた眼差しだった。


「防衛大臣の立場としては、何かを要求すればタラメア国内での説明責任が発生します。つまり不問にすることを前提に何かを要求すれば矛盾が発生するのです。ですから私は、使節団の退去。および舞岡議員のタラメア訪問を要求したいと思います」


「がはははは」


場にそぐわない大きな笑い声の主は意外にも津田議員本人だった。


「使節団の退去。まぁそれが筋。というかこのカードの最良の使い方でしょう。私も同意見です。だが扱いが難しい「内通者」になっている舞岡議員を訪問という言葉で、国外に追放してしまうなんて、これは予想外だ。大仲大臣も人が悪い。がははは」


他の議員が恐る恐る質問をした。


「しかし、舞岡議員がタラメアで国家機密を売ったりしませんかね?」


その質問には大仲が答える。


「すでにタラメアを埼玉の臨時内閣本部に武装したまま滞在させています。彼が知る情報は全てタラメアに知られているとみていいでしょう。それに彼は例のマスコミへの情報流出以来、機密情報にはアクセスできません。彼の脳の価値はゼロだと見積もっています」


ご機嫌の津田が補足する。


「そうそう。今の舞岡議員の価値は我が国の内情を引き出すパイプ役。追放されてしまえばその機能も失うだろう。役にも立たない、成功実績もない、そんな議員を来賓として国費でもてなすタラメアのにがり顔が目に浮かぶようだ!がははは!」


騒然とした食事会だったが、料理が運ばれてくると次第に和やかになってくる。議員たちは大仲の考案した「使節団退去」と「舞岡追放」の話題で盛り上がった。この国は得はしないが、損もしない。だがタラメアは内通者を失い、無期限で内通者を自国で保護しなければならない。この皮肉が、緊張続きで疲弊していた議員の胸を撃ち抜いたのだ。


数分の間、会食の名にふさわしい楽し気な時間が流れた。


だが、その空気を断ち切ったのは、意外にもR連隊の隊長足立だった。


「議員の皆様、これはそういう問題ではないと思います。意見をよろしいでしょうか」


そう切り出すと、彼は自衛官としての視点から持論を語りだした。その内容は、自国の最新鋭兵器が他国で破壊された。これは戦略的にもっとも憂慮すべき事態であり。タラメアとしては残骸が自衛隊に回収されることを恐れるはず。といった内容だった。


だが議員たちには、真意は伝わらず軽くあしらわれてしまう。


「では、使節団の退去、舞岡の追放に加えて、怪物に破壊された自国の廃品回収もお願いしますかなぁ」


こんな具合で、議論にも発展しない。そこへ壁に投影されたプロジェクタから突然AI篠原が現れた。


マイクのハウリング音が「キィィィン」と鳴り響き、楽観ムードに水を差された議員の視線がAI篠原に集まる。


「篠原です。こちらの表をご覧ください。これは自衛隊の兵器の情報です」


そういうと、「耐衝撃性」「耐熱性」「耐貫通性」「重量」「薬剤耐性」など30項目もの詳細な情報が提示された。議員たちは突然細かい文字の羅列を提示され頭の数項目だけ読むと、面倒そうに篠原に意味を問う。


「これは自衛隊の戦車に使われている装甲「5cm角」の破片から導き出せる情報です。最新鋭機「2台分」の残骸となれば情報量は百倍を超えるでしょう」


この言葉に、津田が反論する。


「だが篠原君。外交とは信頼の積み重ねだ。リスクがあるからと言って対話を閉ざせば、それこそ戦端の口実を与えることになる。我々が誠意を見せれば、タラメアも引かざるを得ない。それが国際社会のルールではないかね?」


政治家として歴戦の猛者である津田の言葉に、数人の議員が無言でうなずき同意する。


「その理論には条件があります。それは自国に大きな損害がでなければ、という前提です。今回は違います。最新鋭機2台分の情報と国際社会のルールを天秤にかけているのです」


そういった、前提付きの政治交渉は数多く経験してきた。津田は慣れた表情で反論を重ねる。


「言いたいことは分かる。残骸は情報。タラメアに正しく返さなければ交渉は成立しない。そういいたいのだろう」


「違います。正しくも返してはなりません。兵器の価値は二つに分かれます。一つは純粋な性能。もう一つは秘匿性です。特に最新鋭兵器は「性能が分からない」ことにとても意味があるのです。1つの兵器が10の力なのか1000の力なのか曖昧にすることで、他国へのけん制になるのです」


「だから、正しく返せば秘匿性は守られる。よかろう?」


「いえ、秘匿性は守られません。正確には守られたことを証明できません。渡した残骸は本当に全部なのか?渡す前に解析したのでは?とタラメアに疑問を持たれた時点で秘匿性は下がり、兵器の価値が下がります。これは、タラメアの国家防衛にかかわる事態なのです。まだ分かりませんか?もし、正直に残骸を全て解析せずに渡したとしても、タラメアは信じない。秘匿性を守るために、関係した人物、施設は全て破壊してもおかしくはないのです。そこに例外はなく議員の皆様も標的になり得るのです」


この発言に言葉を返す議員は誰も居なかった。大仲だけは自身が自衛官出身でありながら永田町の思想に染まっていたことを認識し奥歯に力がこもる、そして即座に対抗策を考え始めていた。


だが、篠原の冷静な言葉は思考に大きな打撃を与えた。


「皆さん。99%タラメア軍が来ます。おそらく一週間以内でしょう」


凍り付いた空気が、事態の深刻さを物語っていた。

2026年1月25日日曜日

グノーシア #15(2期)(新)

 <あらすじ>

物語の舞台は漂流する宇宙船。

“人間に化けて人間を襲う未知の敵”――『グノーシア』が船内に紛れこんだことを受けて、

乗員たちは疑心暗鬼の中、毎日1人ずつ疑わしい者を投票で選び、コールドスリープさせることを決める。

グノーシアを全てコールドスリープさせることができれば人間の勝利。

なんと主人公・ユーリは、どのような選択をしても、最初の1日目にループする事態に。

わずかな時間を繰りかえす、一瞬にして永遠のような物語が、いま、幕を開ける。

<レビュー>

1期に続く形で2期が始まりました。基本的には人狼ゲームをベースとした会話主体のアニメ作品です。1期では世界観やゲームのルール、そして推理の導入部分が丁寧に描かれており、グノーシアの正体を巡る騙し合いの土台が築かれていました。


本作では、前期で培った視聴者の理解を前提に、より複雑なルールや人数を加えた本格的な人狼ゲームが展開されています。グノーシア側の戦略も高度化し、最大15人で行われる騙し合いは、推理ゲームとしてかなりの見応えがあります。


例えば、Aがグノーシアに見える。しかしBとCはAを人間だと主張し、A自身はBがグノーシアだと反論する――このように、表面上の情報だけでは真偽が判断できず、1日目からの発言内容や投票先、行動の流れを複合的に分析する必要があります。


それでも、グノーシア側は巧みに盤面を操作し、主人公の発言を「虚言」に見せかけようと流れをつくってきます。この駆け引きの緊張感がたまらず、視聴者も思わず一緒に頭を悩ませてしまいます。


会話中心で派手な演出こそ少ないですが、1期で情報が整理されているため、2期では知的興奮に満ちた頭脳戦を存分に楽しむことができます。



2026年1月22日木曜日

貴族転生 ~恵まれた生まれから最強の力を得る~ (新)

<あらすじ>

平凡な村人がある日、帝国の十三親王「ノア・アララート」へと転生した。

従えた他人の能力を自分の能力にプラスできるチートスキルをもったノアは、 

兄から魔剣レヴィアタンを譲り受けそれを従えたことにより更に強力となっていく。

<レビュー>

特別な力を持ち、さらに帝国の十三親王に転生した男の物語です。

転生ものですが、前世の記憶は所作や思考には反映されつつも、人格としては完全に「ノア・アララート」に統合されており、前世の恨みを晴らすようなタイプの物語ではありません。


そのため、主人公が“強くてニューゲーム”状態で立身出世していく王道的な構成となっています。転生前は「平凡な村人」とされていますが、明らかに博識で先見の明があり、立ち振る舞いも村人とは思えない知性と品格を持っています。この点から、単なる村人ではなく“元王族や官僚が貴族に転生した”ような印象を受けました。


物語の魅力は、常識を超えた主人公が異母兄弟たちや王族、貴族、商人などを圧倒的な頭脳と戦闘力でねじ伏せていくところにあります。


たとえば、6歳という年齢でありながら宰相のような思慮深さを持ち、かつ子どもらしい無垢さも残しているというギャップが主人公の個性をより際立たせています。

また、魔剣から過去の記憶を得たことで剣術の達人を技で打ち倒すシーンもあり、知恵だけでなく戦闘面でもチート級の実力を発揮しています。


本来、技術は体と共に身につくもので、6歳の少年が剣の達人に勝てる道理はありませんが、魔剣の力によって“記憶”ごと戦闘技能を継承し、それを実戦で使いこなすというロジックはファンタジーとして非常に納得感があります。


一方で、内政面でもその有能ぶりを発揮します。

洪水による土地の買い叩きの動きを察知し、即座に先手を打って周囲を驚かせます。これらの行動力と判断力は前世の記憶を活かしつつも、「ノア・アララート」自身の資質として描かれており、非常に説得力があります。


あまりの有能ぶりに、3話では早くも暗殺されかけてしまいます。今後も兄弟間での嫉妬や陰謀が絶えない展開が予想され、目が離せません。


また、登場人物の多くが「御意」「恐悦至極にございます」といった時代がかった言葉づかいをしており、日本人にとっては非常に親しみやすく、世界観にもよく馴染んでいます。


王道のチート転生作品が好きな方にはぜひおすすめしたい一本です。




2026年1月20日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント④》

 この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

-----

自衛隊のUFB研究所を飛び出し、太平洋上の空母『クシャルボコス』へ高速ヘリで帰還したリーク大佐。


ヘリのローター音が止むのも待たず、彼は甲板を蹴った。向かうはCIC(戦闘指揮所)。その形相は鬼気迫り、通路ですれ違う兵たちが恐怖に道を空けるほどだった。


「状況はどうなっている! 我が国の最新鋭、YA-24が破損したとはどういうことだ!」


厚いCICのドアが開くと同時に、リークの怒号が薄暗い指揮所に響き渡る。張り詰めた空気の中、一人のオペレーターが弾かれたように起立した。その顔面は蒼白だ。


「はッ! 大荻山に売却したYA-24からの信号を確認! 戦闘ログを受信した直後、管理者権限による『自爆命令』が実行されました!」


リークの足が止まる。


「自爆だと? 馬鹿を言うな。大荻山に売却したYA-24とDD-24は電子妨害で通信ロスト中のはずだぞ!」


「そ、それが……数時間前に通信が回復し、軍事衛星とのリンクが再開しました。我々が座標を特定しログを受信していた最中に、自爆を……!」


リークは大股で歩み寄ると、オペレーターの胸倉を締め上げた。


「ログの解析はどうなってる? 最新鋭の戦車を自爆させなきゃならんほどの『何か』があったと言うのか!」


「か、怪物です……! たった二体の怪物と交戦し、随伴していたDD-24と共に……DD-24はハッチの異常開閉アラートを最後に沈黙しました!」


リークの手から力が抜ける。オペレーターが咳き込みながら崩れ落ちた。


「YA-24に加えて、DD-24までも……だと?」


リークは信じられないモノを見る目で虚空を睨む。片方だけでも国家機密の塊。さらにDD-24はYA-24とリンクすることで、AIが瞬時に最適な戦術を計算するタラメア技術の最高峰である。


彼は実戦配備前のDD-24およびYA-24と、模擬戦を行ったことがある。リーク側は500名の特殊工作兵。対するDD-24とYA-24側は、24時間の操作訓練を受けただけの新兵3名と開発スタッフ3名、そして指揮官の陸軍少佐1名の計7名だった。


開始から30分間はDD-24がリンクをしていない状態だったため、リークは彼らを盆地の不利な地形に誘導し、すでに愉悦に浸っていた。


ーー道具が最新でも、使用者がポンコツだとかわいいものだ。


しかし、DD-24がYA-24とリンクした瞬間、戦況は反転した。 追い込んでいたつもりの部隊が背後からドローンに襲撃され、陣形が一気に崩れる。立て直そうとプランを変えれば、AIに先を読まれ先手を取られる。 どこへ逃げても、攻め込んでも、守りを固めても、奇策を打っても、必ずそこにはワナがあるかYA-24の砲身が向いていた。近づくことも離れることも許されず、リーク大佐の部隊は砂の城が崩れるように、なす術もなく壊滅したのだ。


あの圧倒的な戦術が怪物に負けた。信じがたい現実が彼のプライドを深く刺す。


「やはり大荻山ごときに売るべきではなかったのだ! 最新鋭の兵器を政治の道具にするから真価を発揮できない! 政治家はいつもこうだ!」


激情を露わにするリークに対し、あえて冷静さを保った低い声が響く。


「大佐。怒鳴っても戦車は戻りません」


座席から立ち上がったのは、長い顎髭を蓄えた参謀の高官だった。彼は周囲に聞こえぬよう、リークにだけ耳打ちする。


「YA-24は自爆により機密保持されたでしょう。問題はDD-24です。ご報告があるので、奥の作戦室へ」


その冷静な指摘に、リークの瞳に理性の光が戻る。彼は先ほどまで対峙していた、日本の防衛大臣と、あの食えない研究者の顔を思い浮かべた。


そのときリークは、ポケットからある物を取り出した。UFB研究所から持ち帰った、デジタルカメラだ。


「そうだ。すぐにこのSDカードを解析班へ! 最優先だ!」


リークは勝ち誇った笑みを浮かべ、まるで王の首級でも取ったかのようにカメラを高官に押し付けた。


「自衛隊が隠し持っていたUFBの生データだ。ついでに奴らの最新鋭兵器の交戦記録も入っている。奴ら、私が少し揺さぶったらマヌケにも撮影させてくれたよ」


「このデータさえあれば、我々は怪物の弱点を丸裸にできる。ついでに自衛隊の性能もな! そのSDカードはあと1時間程度で消えるらしい。バックアップを取って解析を急げ!」


リークは上機嫌で指示を飛ばすと、高官と共に別室の作戦室へと入った。扉が閉まり、二人きりになると、リークの声から熱が消える。


「結論から言おう。YA-24の残骸回収は必達任務だ。そしてDD-24の所在もすぐに割り出せ。大荻山が生きていれば確保して吐かせろ」


リークの命令に、高官は首を横に振った。


「先ほどは部下の前ゆえ控えましたが……沈黙したDD-24も恐らく大破。大荻山氏の生存も絶望的でしょう」


高官は胸ポケットから一枚の衛星写真を出し、机に広げた。


「不鮮明ですが、この黒い焦げ跡。これが自爆したYA-24です。そして、そのすぐ先にある別の黒い染み……位置的にDD-24のロスト座標と一致します」


写真を見たリークの眉間が、深海のように深く沈む。


「……おい。では何か? 最強の矛と盾がリンクした状態で、たった数匹の怪物に力負けした。そう言いたいのか?」


「認めがたい事実ですが。そうなります」


張り詰めた沈黙が、タラメアの最新兵器が敗北したという事実を、重く、冷たく告げていた。


高官は続けた。


「DD-24のAIは回収可能な状態で残置されていると推測されます。自爆したYA-24に比べて破損が少ない。これが問題です」


リークの顔に再び焦りの表情が浮かぶ。


「それはダメだ!あのDD-24は独立型のAIが搭載されている。自衛隊に回収される前に絶対に回収する。できなければ破壊する」


高官がため息をついて同意する。


「はい。他国への輸出でしたのでAIをタラメアのネットワークから切り離したのが仇になりましたな。ネットワーク型なら汎用AIと大差ありませんでしたが・・・」


リーク大佐は高官に不敵な笑みを向けると、恐ろしい一言を放つ。


「一部の政治家が『トーキョー・スタビライゼーション』とかいう、核攻撃を議論していたな。政治家の不始末だ。政治にケツを拭いてもらうのもいいだろう」


こうして、核を搭載した潜水艦が東京に迫り、空母『クシャルボコス』には急遽招集された上陸部隊を乗せた輸送艦が合流したのであった。