2026年5月5日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑭_2/2_断罪》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

-----

「人間よ、お前はこの件で、多くの苦しい判断を迫られたのだろう。よかろう、ついて来い」


そういうと光が強くなり、場面は見たこともない城の玉座へ移る。大種族神から大仲に知識が流れてくる。


この玉座に座りうな垂れている男が「種族神」であることも即座に理解できた。


種族神はゆっくり顔をあげると、落ち着いた声で大仲に向かって声をかける。いや、正確には大仲の隣に立つ見慣れぬ大柄な老人「大種族神」に向けた言葉だ。


「大種族神様。用件は察しております。やはり、私はどうしてもこの醜い種族に加護を与える気にはなれません。ご自由に処分してください」


大仲から見た、種族神の表情、所作は永田町で何度見た引責辞任を決意した議員の姿に重なった。そのうえで「処分を任せる」という全面降伏は議員生命の進退を任せる硬い決意を感じざるを得なかった。


ーー神もまたルールに縛られる。ルールを逸脱してまで、何を成そうとしたのか


大仲の脳裏に、一つの疑問がよぎった。


大種族神は長髭を撫でながら一歩前にでる。


「そう焦るでない。まずは、眷属共を戻してやろう」


そういうと、髭を一本抜いて息を吹きかけた。髭は青白く強烈に発光し、すぐに消えてしまう。だが次の瞬間、そこには人型へ戻った三体のUFBが立っていた。


立ち上る粉塵。まとわりつく熱。焦げた匂い。

それらが、三体を戦場から強制的にこの場へ引き戻したことを物語っていた。


髭をたくわえた個体は無傷に近かった。不思議と知るはずのない名が浮かぶ。彼はヴァロンというらしい。

女性型の個体――サーチは無数の細かい怪我を負っていた。

そして何度もR連隊と交戦した筋肉質の個体――名はベルガン。片翼を大きく損傷し、よく見れば腕や足にも深い傷を負っている。


突然の転移、そして人型への強制変形の影響なのか、三体とも四肢の感覚を調整するようにぎこちなく体勢を立て直す。


数十秒かけてようやく動きを取り戻す。動くようになった首を左右に振って状況を確認する。まるで敵を捜すような殺気だった動作。


だが、そこが居城であると確認すると、三体のUFBはお互いを見つめ合い、自分の体を見回して暫く無言で立ち尽くしていた。


そして女性型の個体がベルガンの深い傷を見つけると、慌てて肩を貸し怪我を気遣うような表情を見せた。


やがて三体は、自然と種族神の元へ集まってゆく。


「ヴァロン、サーチ、ベルガン。すまなかった。人間時代の感情に流され、気がついたらここに座っていた。大種族神様の御前だ膝をつけ」


その言葉で初めて大種族神に気付く三体は慌てて膝をつき頭を下げる。

種族神が三体に手のひらを向けると、彼らの傷は瞬時に回復した。


三体に対して大種族神はこう話しかける。


「お前達から見た、この行動をどう見る?審判か?天罰か?それとも別の何かか?」


ヴァロンはサーチを見つめ、サーチとベルガンは互いを見つめ合い、すぐに答えは出さない。転移の際に連れてきた焦げた匂いが次第に弱まっていく。

大種族神は三体に視線を送るが、決して急かすような視線ではない。むしろ、いくらでも待つ。そういった面持ちだ。



大仲はこの時確信した。UFBは単純な怪物ではない。複雑な関係と、感情を持った生物なのだと。返答次第では創造主たる種族神の進退が決まる。

それを察して最適な返答をアイコンタクトで相談しているのだ。


口火を切ったのは意外にも種族神だった。彼はあきらめたように言う。



「この三体に、竜化中の明確な記憶はありません。私が竜化させる際に知性を奪ってしまいました。正気を失い、殺戮衝動に駆られただけです」


するとベルガンが咄嗟に声を上げた。


「ちがいます!確かに衝動はあった。抗えないほどに。しかし、神は俺たちのコアを汚していない。ですから、進言します。今回の件は人間が神の眷属であるサーチを傷つけたことによります。これは天罰であります」


サーチとヴァロンが続いた。


「私のコアに残った記録を共有いたします。私は鉛の船と戦いました。しかし、仲間を思う人間の強い意志に私のコアは共感し、行動を変えました。これが証拠です」


「大種族神様。軍師ヴァロンと申します。種族神のルールでは虐殺は大罪。今回の騒動は虐殺。これは事実かもしれません。ですが、神は人間時代に同族から受けた深い傷を再び刺激されたのです。それゆえの激昂です。まだ誕生して間もない神の失態。これこそが次なる成功への体験であると確信しています」


ーーかばっている。まるでR連隊の連中が記者や野党議員からの追及から私を守ってくれた時のようだ。


ーー筋肉質の男、あれは足立だな。感情的でありながら、論点をずらすことで救う。よく似ている。

ーー女型、あれがサーチか。防雷が九死に一生を得たのは事実。都合の悪い部分はあえて言わないところは、仲原そっくりだな。

ーー軍師ヴァロン。あれは津田さんに近い。すべてを見込んだうえで、それを反転させる話題の誘導力。正論だが答えを決めた上手い言い回しだ。


それぞれの意見が出揃ったところで、大種族神は審議を始める。


大仲の横にいた大種族神が語る。


「虐殺。守護すべき種族への行為としては最悪です。解任すべき」


すると、全く同じ姿の大種族神がベルガンの横にフワリ現れた。大仲の横にいる大種族神は消えていない。


ベルガンの横に現れた大種族神はこう語る。


「だが、人は神の眷属を傷つけた。これは種族神に対する冒とく。天罰としてとらえるべきであろう」


続いてサーチの後ろにも大種族神が現れる。


「ふむ。人から見れば虐殺。だが、見逃した例もある。神が悪に落ちたとは早計ではないか?」


そしてヴァロンの前に現れた大種族神も続く


「虐殺は事実。天罰としても殺しすぎである。だが、この種族神のコアには大きな傷がある。どうみるか?」


最後に種族神の後ろに大種族神が現れた。


「まだ若い神だ。過ちも犯すだろう。だが虐殺は許されぬ。コアの傷がある限りまた繰り返すであろう」


大仲の横にいた大種族神がそれぞれの意見をまとめ、髭を撫でる。

何人もの大種族神の分身はそれぞれに主張を展開し、その議論での役割を終えると消えていく。


一つ、また一つ、大種族神の分身は消え、最後に本体が残った。


「結論が出た」


「消滅だ。多角的に考慮をしても虐殺は相殺しきれぬ。ゆえにルールに則り種族神は消滅とする。」


その時、大仲の隣にもう一人の大種族神が現れた。


「待て、その権力の執行に対して是正の意図が明確であるか。」


大仲の心の代弁者である。大仲は感じていた。この事件で死んだ人々の犠牲。これは活かされなければならない。

種族神が消えてしまえば、犠牲は種族神を交代させるための数字になってしまう。


「結論が出てから、もう一人の私が出てくることは珍しい。強い思い……再考に値しよう」


すると二人の大種族神は少し離れたところで議論を交わすと、一人が消え、残った一人が種族神の前に立った。


「下す。二百年の眠りにつけ。執行は7日後。二百年眠れ。さすればコアは癒え、再発もあるまい。異論はあるか?」


神はうつむいたまま、絞り出す声で訴えた。


「二百年、承知しました。ですが、その間、種族神が不在になってしまいます。代行者を立ててもよろしいでしょうか」


「好きにせい」


そういうと、裁きのために顕現していた大種族神そのものが、ゆらりと光へ溶けた。

その瞬間に張りつめていた空気が弛緩した。


「神様!!」


飛びついたのはサーチだった。ベルガンが慌ててサーチを抑止する。ヴァロンは穏やかな表情でやり取りを見つめていた。


大仲は複雑だった。今の政治家でこれほどのカリスマ性をもつ人物がいただろうか。腹を探り合い、損得を計算し、そのうえで感情で衝突する。

永田町はそういう場所だった。どちらが良いか悪いか大仲にも分からない。だが、この光景をみて羨ましいと思う気持ちは本物であった。


その気持ちを反すうしていると、少しずつ思考が鈍くなるのを感じた。


自分の手足がさらに薄くなり、意識も鮮明さを失っていく。


ーーこれが本当の死なのか。

ーー思い残すことは沢山あるが、あとは託して休ませてもらおう。なんだかとても疲れた……。


大仲は眠るように瞳を閉じると体は完全に消え、その魂は天界へと昇って行った。

2026年5月3日日曜日

休載のお知らせ

本日(5/3)の更新ですが、サークル活動の強化合宿のため、休載となります。
楽しみにしていた皆様、誠に申し訳ございません。



2026年4月30日木曜日

ポーション、わが身を助ける(終)

<あらすじ>
普通の女子高生・カエデは、見覚えのない路地裏で目を覚ました。
そこは獣人やエルフ、ドラゴンのいる不思議な異世界。
カエデは持っていたリュックサックに見覚えのない本があることに気がつく。
それは「生成」と唱えるだけでポーションが出来てしまう不思議な本だった!

<レビュー>
低予算ながら独自の味がある異世界ファンタジーアニメです。
特徴は、主人公カエデの能力が生産系である点と、画風に反して異世界のダークな一面も描いている点です。

見知らぬ異世界に転移した主人公が、ポーション生成というレアスキルを持ち、そのスキルを使いながら、元の世界への帰還を希望として生きていく物語です。

生産系無双作品もだいぶ増えており、何もない状態から生成できる作品や、素材などを必要とする作品、等価交換の作品などさまざまですが、本作は素材が必要な作品に分類されます。

素材自体は冒険者であれば簡単に手に入るレベルのものですが、主人公は普通の女子高生なので、入手には冒険者の協力が必要です。
一番簡単なポーションであれば町の中で生産できるため、そこから少しずつ行動範囲を広げていくことになります。

この設定のおかげで、視聴者も情報過多にならず、主人公目線で異世界の文化や文明、生活様式を体験できます。非常に入りやすく、視聴ハードルの低い作品です。

一方で、作画はかなり低予算です。
アニコミ、つまり漫画ベースに目パチや口パクを付加したものよりは動きますが、それでもよくできたフラッシュアニメのような作風です。止め絵や不自然なアップ、動きのあるシーンの省略などが随所に目立ち、戦闘シーンの迫力不足などは残念ながら目立ちます。

しかし、この作品は生産がメインです。
戦闘シーンといっても、ポーションの売り上げを狙った強盗に襲われたり、ポーションの素材採取中に魔物に襲われて冒険者に守ってもらったりする程度なので、この作画スタイルが作品の面白さを大きく損なってはいません。

難点があるとすれば、初見で安っぽく見えてしまう点くらいです。
少し視聴を続けていれば、長所である視聴ハードルの低さが効果的に働き、気にならなくなると思います。

最終回まで視聴した感想としては、主人公の能力も、人脈も、住まう場所も段階的に良くなっていくので、成長の流れが感じられました。

要所に挟まるアクションシーンもよく、かなり日常系に近い作風ながら、夜道で強盗に襲われたり、幼い見た目で商人に舐められてカモにされそうになったりと、明るい部分だけではなく、暗い部分も描かれています。
そのため、異世界のリアルな肌感を感じられる良作だと感じました。

配信などで視聴できますので、興味がありましたら、ぜひどうぞ。

【編集後記】

2025年秋アニメです。
執筆しておきながら、年末や春アニメの記事に埋もれていました。原稿整理で偶然発見したので、風化してしまわないうちにと、少し遅くなりましたが掲載させていただきました。




2026年4月28日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑭_1/2_境界線》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

-----


「……ここは?」


大仲が目を覚ますと、そこは不思議な光に包まれた、暖かく、どこか満たされた空間だった。

遠くから初めて聞くメロディなのに、なぜか懐かしいクラシックが聞こえてくる。


「竜は?R連隊の状態は?国民の退避状態は?」


我に返ると、多くの想いが心の中から湧き上がる。


しかし、それは声にする必要がない。とても不思議な現象で思考がそのまま空間に放たれるのだ。

この時初めて大仲は、自分の肉体の変化に気が付いた。


「なんだこれは、透けている?怪我も治っているし、体も軽い、まるで二十代の頃のような――」


その時、老人と思われる声がどこからともなく、聞こえてくる。


「…お前は死んだのだ」


「私が?ここはどこですか?」


大仲は内心察していた。TNTを体に巻いて竜へ飛び込んだ。それで生きているはずもない。


「ふむ。ここは人間界と神の世界の境界線。お前に分かりやすく例えると三途の川というらしいな」


「それで、竜はどうなりましたか?国民の避難は?」


光の空間に渦のような鏡が現れ、片翼を負傷し、重い足取りで埼玉へ戻る赤い竜の姿。そして津田が陣頭に立ち避難民の指示を

警察・自衛隊・ボランティアなど彼が使える人脈を活用して必死に行う姿が映し出される。


「被害は最小限に。篠原はやはり天才だった。竜の首は取り損ねたか、だが、私の命は届いたようだ…うん」


大仲はやっと腰を下ろし、声の主に問う。


「私は死んだのだろう。あなたはエンマ大王か何かだろうか。地獄行は覚悟の上だ。手早く願いたい」


すると、声の主は軽く笑うと語り掛ける。


「ほっほっほ。天国や地獄という概念は人間が作り上げたもの、この先にあるのは天界のみだ。そこでの過ごしかた次第でどちらにもなり得る世界だよ」


「それよりも、ひとつ尋ねたい」


「この未曽有の事件。この事件を起こしたのは、人間の種族神だ。そして私は彼の上位の存在である大種族神。すべての種族神を束ねるものだ」


大仲の理解を待たず、大種族神は続ける。


「お前から見た、この事件を"神が起こしたもの"とした場合、お前はこれをどう見る?審判か?天罰か?それとも別の何かか?」


15秒ほどの沈黙。


この間、大仲はどこか懐かしさを感じていた。自衛隊から転身し若手議員の頃、同じような場面があった。


面識もないが、権威だけは感じ取れる上層部からの突発的な質問。


意図も、正解も、相手の思考もわからない。だが、間違えば大きな代償を負う。


大仲は、こういう場面での立ち振る舞いは決めていた。


ーー正確に、そして冷静に、要点だけではなく自分の考えを素直に答える。


その経験から、大仲の答えは意外と早く出た。



「これは虐殺です。私は政治に生きた人間です。人間基準になりますが、全体としてこの事象は2つに分けて考えられます」


「1、これは竜が出現する前です。都外は安全という暗黙のルールがあり、許される行動ではありませんが、神による事象ということを勘案しますと、腐敗した人間政治に対する問い、もしくは試練とも取れます」


「2、竜が出たあとです。私から見た竜の行動は無差別に人類を殺すことを目的とした殺戮行為です。問いや試練といった領域は逸脱しており、一言で言えば虐殺。これが私の結論です」


ここまで淡々と話していた大仲だが、最後に少し語気を強める。


「政治に生きた人間として、私はこの一点で判断しました。権力の執行に、是正の意図があるか。竜の行動には殺戮以外の意図がない」


声の主は納得したような声で続けた。


「そうか。私は大種族神として本件で死んだ全ての人物に同じ質問をしてきた。竜が出る前は人間側の社会に対する不満もあった。だが、竜に殺された人々は多くが虐殺・理不尽と嘆く。分かった。もういいだろう。仕方がない介入を行うか」


「人間よ、お前はこの件で、多くの苦しい判断を迫られたのだろう。よかろう、ついて来い」



2026年4月26日日曜日

転生したらスライムだった件 4期(新)

<あらすじ>
種族の壁を越え、手を取り合い、繁栄していく魔国連邦テンペスト。
しかし、その裏で魔王リムルの台頭を危険視する者たちがいた。
シルトロッゾ王国五大老の長である
元〝勇者〟グランベル・ロッゾとその孫娘、マリアベル・ロッゾ。
支配による人類守護を掲げるグランベルとマリアベルは策謀を巡らせ、リムルと激突する。

<レビュー>

人気異世界転生作品の4期目です。分割5クールらしいです。
さて、3話目まで視聴して気が付いた点を挙げると、主に以下の3つです。

・会議のシーンが大幅に短くなった
・静と動の切り替えが早くなった
・短期目標が明確になった

この3点です。

まずは、会議のシーンについて。
これは2期・3期でも課題になっていた部分です。テンペストが大きくなるにしたがって話し合う事項も増え、結果的に会議シーンが1話の大半を占めるようなエピソードもありました。しかも、それが2~3話連続する場合もありました。

会議の内容は、シリアスなものからおふざけ、伏線のようなものまで多彩です。興味のある視聴者には情報のご褒美のような側面があったのですが、一方で、そこまで熱量の高くない視聴者には、動きがなく刺激に欠けると受け取られてしまうリスクもありました。一部SNSでも指摘があったので、そう感じた視聴者も一定数いたのだと思います。

4期では、この点が大幅に改善されています。
会議シーンは主要な部分だけを映し、説明台詞は大幅にカットされています。ただし、この後の展開につながる説明については、日常会話やモノローグ、もしくは映像で見せる方法によって補われています。

それでも3話では、Bパートの冒頭5分を会議に使い、さらにその後も5分程度の個別対談という話し合いシーンが続きます。合計で約10分。アニメ作品としてはまだ長めですが、視聴者の反応が気になるところです。

次に、静と動の切り替えについてです。
これは3つ目の「短期目標の明確化」とも関連しています。

これまでは、話し合いなどの動きの少ない「静」のシーンを長く積み重ねた後、バトルなどの強い「動」のシーンでカタルシスを生むスタイルでした。しかし4期では、その長い「静」の部分に改善が入り、短い「静」の後に軽い「動」が入る構成になっています。

これにより、視覚的な刺激を小刻みに入れることができ、異世界ファンタジーの強みである剣と魔法のバトルシーンを前面に押し出すことに成功しています。これは大きな改変だと思いました。

これまでは主人公が強すぎることもあり、バトルに入るまでのお膳立てや、バトル中の心理描写など、「静」のシーンを長めに取る必要がありました。
しかし4期では、「短期目標の明確化」によってその課題を解決し、動きのあるシーンを自然に差し込める構成になっています。その結果、全体のテンポも上がっています。

最後は、短期目標の明確化についてです。

3期は特に、建国するという大きな流れがあり、その中で対症療法的なエピソードやバトルが展開されていました。これはこれでリアルタイム感があって面白いものの、主人公が何を目標にしているのかが、いまひとつぼんやりしていた印象があります。

作中では、魔王になったことやテンペストで建国祭を開くことなど、目的自体は説明されています。しかし、建国という目標が大きすぎるため、短期的な目標が分かりにくかったのだと思います。

しかし4期では、ダンジョンを造る、そこに人を集めるために最下層に豪華な賞品を用意する、強い冒険者がやって来る、賞品を奪われないように防衛する、という形で行動が次の行動につながっています。
つまり、短期目標を達成していく流れが連続しているのです。

この表現は良いですね。
小さな成功体験をテンポよく見せてくれるので、分かりやすい面白さがあります。

このように、3期のテンポ感で離脱してしまった人でも、4期は楽しみやすい構成になっています。ぜひ、もう一度本作を視聴してみてはいかがでしょうか。




2026年4月23日木曜日

オタクに優しいギャルはいない!?(新)

<あらすじ>

陰キャで目立たないオタクな男子高校生・瀬尾卓也 は、

ひょんなことからクラスメイトのギャル・天音 慶 と 伊地知琴子 に話しかけられる。


クールだがどこか抜けていて同じオタクの匂いがする 天音 と、

座席に加えて距離感も近い陽気な 伊地知。

<レビュー>

オタクとギャルの関係性を描いたイチャラブコメディ作品です。

自分の趣味を隠しつつも濃いオタク気質を持つ天音と、天真爛漫で距離感の近い伊地知。この二人が、主人公に自然と好意を寄せていく構図になっています。


主人公は無意識のうちに二人を惹きつけていきますが、特別な努力をしているわけではありません。あくまで「趣味を共有できる友人」として接している点が特徴です。


この設定は非常にエンタメ性が高く、構造的には異世界転生作品に多い「無自覚無双主人公」と近いものがあります。努力に対して過剰なリターンが得られる、いわば“特別報酬”的な面白さが魅力です。


本作はその基本構造を踏襲しつつ、二人のギャルを丁寧に描き分けることで、ダブルヒロインとしての魅力を強化しています。この描写の細やかさにより、新しいエピソードを見るたびにキャラクターの新たな一面が見えてくるという、知的好奇心を刺激する要素も備えています。


ハーレム系の作品ではありますが、過度にエロに寄ることなく、キャラクターの内面やシナリオの面白さで成立している点も好印象です。単なる無自覚ハーレムではなく、しっかりと工夫が感じられる作品に仕上がっています。


一見するとテンプレ的な設定に見えるため敬遠されがちですが、1~2話を視聴すると印象が変わるタイプの作品です。まずは1話、気軽に視聴してみてはいかがでしょうか。



2026年4月21日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑬_3/3_大仲晴彦》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
-----
3分後、大仲が戻ってみると。

11名のR連隊隊員が、輸送機に乗り深々と敬礼していた。
大仲は彼らの元へ駆け寄ると、事前に準備していた指示書を渡す。

「本R連隊分隊は、防衛大臣の任において避難民の安全確保任務を命ずる。後方にて任務にあたり、以後の指示は津田防衛大臣臨時代行に従うこと」

これを読み上げると、一人一人と目をしっかりと見て握手し輸送機を見送った。


残った290名の表情は総じて厳しいものだった。


最初の作戦は、埼玉の内陸に進みつつある赤い竜を、埼玉の第2駐屯基地へ誘導する事だった。この基地は、荒川が近く、あとは荒川を下ることで、自然と舞浜方面へ誘引できる。

作戦は思いのほか順調に進んだ、赤い竜が光るもの、反撃するものに惹かれやすい性質が簡単に看破でき、この習性を利用したのだ。

大仲は違和感を覚える。

ーーこの竜はなんだ?確実に人口密集地を狙う知性はある。だが、なぜか挑発には簡単に乗ってくる。
ーーその割に、監視ドローンなど一見無害な兵器にも対応を怠らない。ドローンを知っているのか?

R連隊は後退しつつ、ドローン、迫撃砲、機動軽戦車これらを巧みに使い竜を舞浜へと引き寄せる。当然、多数の犠牲者を伴う過酷な作戦である。

ドローンで注意を引きつつ、部隊は後退し高火力兵器で注意を反らす。その隙にドローンは退避し次の地点へ誘導する。
マニュアル通りの熟練した連携だが、地上部隊もドローンも視線にとらえてしまいえば、ブレスで焼き払われる。

空中で被弾したドローンが焼かれ火球となって連隊を襲う。仲間をかばうために瓦礫を飛び出して対戦車ロケットランチャーを放った兵は、赤い竜の尾に一蹴されると、まるでブリキの人形のように二つに割れた。

血と硝煙の匂い、ブレスで融けた瓦礫の数々がR連隊のたどった後退の軌跡を、一筋の線のように見せていた。

橋一つ、区画1つを進むたびに、多くの兵器と犠牲が払われた。

それでも、大仲はあきらめない。一人の命を必ず何かの結果と結び付ける。

やがて部隊は大仲の搭乗する指揮装甲車と、機動装甲車1台まで損耗しながら、舞浜付近に後退することができた。かつてリゾート地として有名な場所だ。

しかし、既に飛び去った黒い竜がこの地を瓦礫と炎に包まれた地獄に変えていた。

あまりの惨状に一人の隊員がボソリとつぶやく
「陸地側から海側に向けて焼かれている。誰一人逃げることはできなかっただろうな・・・」
だが、無人だからこそ、赤い竜を引き付けるのにはちょうど良い。

大仲は衛星無線を取ると津田へ繋ぐ。

「津田さん。舞浜への誘導は成功です。部隊は90%を失いましたが……」

津田が何かを言おうとするが大仲は構わず続ける。

「国民を、避難した人々を、そしてこの作戦で失われた多くの自衛隊の家族をよろしくお願いします」

ーーこれでいい、あとは全力を尽くすのみだ。

無線を切って一呼吸すると大仲は残ったR連隊に最後の指示を出す。

「これより、指揮装甲車に積んだTNTを使い、赤い竜の機動力を奪う」

傷だらけの兵士が問う

「どうやって接近するおつもりですか?ブレスで焼き払われればTNTが引火してしまいます!」

大仲は案を持っていた。

「目だ!目を狙って全火器で挑発する。これまでの戦闘でヤツは必ず目で捕捉してからブレスを放っている」
「煙や障害物で捕捉できない相手には物理攻撃を優先している。その習性を利用する!」

傷だらけの兵士は軽く笑うと

「もう、避難も進んでいるでしょう。機動力は冥途の土産みたいなもんですかね!」

とうなずいた。

装甲車が舞浜の海岸沿いに停車すると、すぐに上空から赤い竜が追ってきた。

2台は持てる火器を全て投入し、竜の目を狙う。左右にかわし勢いが落ちる竜。

激しい攻撃でついに地面に足を付けると、翼を盾にして体当たりの姿勢に入る。

「よし!来るぞ!!」

大仲は手に持ったTNTの起爆ボタンを握りしめる。背後にはTNT爆薬の入った箱。TNT特有の甘い匂いが大仲に”死”を直感させる。

だが、次の瞬間、信じられないことが起きる。

「大臣!竜が停止。いえ!大きく後退しました!」

ーーあり得ない。TNTを察知した?こいつはTNTの威力を知っている??

大仲の思考はすぐに切り替わる。

「駄目だ!距離を取られると目を狙えない!作戦中止!!散開!!」

車両は二手に分かれ距離を取る、瓦礫の陰には歩兵が潜み、竜を呼び込もうと挑発する。

先ほどの兵士が大仲に呼びかけた

「あの竜、思ったよりも賢いですなぁ。本能的なものかも知れませんが…」

ーーそうだ、知性があるようには見えない。だが、なんだ、この竜は妙に我々人類と戦い慣れている。

そのとき、想定外の事態が起こる。対UFB用の耐熱装甲の装甲車に円状の穴が開き、直後に爆音と共に爆発する。

距離を取った竜から放たれたのは、面制圧のブレスではない。まるで高熱のレーザーのような一閃。障害物などを全て溶かし
貫通する熱線だった。

「こんな攻撃が、大臣!これはもう時間稼ぎも限界かもしれませんね。」

そういうと、兵士は指揮装甲車を飛び降りて少し離れた瓦礫に身を隠した。

ついに指揮装甲車には運転手、射撃手、大仲の3人となった。

大仲は、何かないかと車中を見渡す。すると、固定式の簡易マシンガンが目に入る。

ーーこれなら・・・

「私は簡易マシンガンを使って応戦する。瓦礫の陰で止めてくれ。設置は私が行う。すまないが準備をする間に、君らはマシンガンの荷下ろししてもらえるか?」

車体が隠れるくらいの瓦礫に隠れ停車すると、運転手と射撃手が二人がかりで固定式の簡易マシンガンを急いで下ろす。大仲は車中で何やら体に大量の物体を巻き付けて、急いで降車する。

射撃手が思わず、その防護服の下に忍ばせた物体に興味を持つ。しかし、大仲は二言。

「マシンガンの予備弾薬をできるだけ体に巻き付けた。多少重たいが、存分に撃ってやるさ」

「さぁ、あとは私が。できるだけ離れて、設置時間を稼いでくれ」

指揮装甲車は、指揮官大仲を残し速度を上げる。指揮装甲車は備え付けの機銃と、弾数の少ない対戦車ランチャーを併用し竜の注意を引き付ける。

竜は特にこの指揮装甲車を警戒しているようで、一定の距離を保ちつつ、貫通熱線を幾度も放つ。

悪路にもかかわらず、対戦車ランチャーの土煙で死角を作り出し、2度、3度と貫通熱線を紙一重でかわし竜を挑発する。

遮蔽物に隠れた兵士が、移動しながら時折攻撃することで的を絞らせない連携はR連隊がいかに訓練を積んだ部隊であるかを物語っていた。

だがそれも、長くは続かない、一人、また一人と熱線に撃たれていく。

そしてついに指揮装甲車も熱線の直撃を受けて一際大きく戦場に散っていった。

最後に残ったのは、大仲一人。SPも歩兵も装甲車も残っていない。

大仲は簡易マシンガンの横に堂々と立ち、竜へ向かって叫ぶ。

「おい。そこの赤いの!私が最後の一人だ。かかってこい!」

すぐに竜が熱線の発射態勢に入る。大仲は急いでくぼんだ地形に身を隠す。

光の一閃は頭上を照らす。激しい熱風、飛び散る溶けたコンクリートが大仲の皮膚を焼く、コンクリートの溶けた臭いが鼻を突く。
だが、大仲はその痛みを意識することすらなかった。

すぐさま、くぼみを飛び出るともう一度声をかける

「人間一人に、チマチマ遠距離攻撃なんて、随分臆病な竜だな!私の兵士の方が勇敢だった!」

この言葉に赤い竜は意外にも反応する。1mほどふわりと上昇すると、超低空飛行で大仲の眼前までやってきた。大仲は竜の腹に向けて
マシンガンを撃つが、簡易的なこの武器では硬い皮膚に弾かれて大きなダメージは与えられない。

赤い竜はその様子を一瞬眺めていたが、すぐに体をひねると尾でマシンガンごと大仲を薙ぎ払う。

だがこの行動は大仲に読まれていた。

大仲は、サブマシンガンを踏み台にすると竜の首元へ飛び込んだ。
そして一言。

「お前、やっぱり日本語を理解してたんだな・・・」

竜が顔を向けた瞬間、大仲は内ポケットにしまっていたTNT爆薬の起爆装置を押す。マシンガンを指揮装甲車から下ろしている間に、彼は
自分の体にマシンガンの弾薬ではなくTNT爆薬を巻き付けていた。

白い光と激しい爆風が竜を包む。そしてすぐに大きな爆発音が、R連隊の隊員の遺体を包み込む。
完全な至近距離でのTNT爆破は、赤い竜の右の翼を大きく損傷させた。大仲の決死の反撃も、寸前で竜に察知され、翼で防御されてしまったのだ。
だが、これで赤い竜は飛ぶことができなくなった。

宙に舞った大仲のドッグタグが反射し、キラリと輝いた。