<あらすじ>
ギレーヌと共に剣の聖地にたどり着いたエリスは、打倒・龍神オルステッドを宣言し、剣神ガル・ファリオンのもとで修業する。
そこには剣聖として、同じく修行に励む少女・ニナの姿もあった。
エリスが剣の聖地に来てから2年が経過。
エリスからルーデウスの名を聞いたニナは、その実在を確かめようと街に向かう。
一方、剣の聖地には水神レイダと弟子のイゾルテが来訪。
エリス、ニナ、イゾルテの3人は合同で稽古を行うことになる。
<レビュー>
単独完結型のエリス修行編です。
第一印象は、やはり「無職転生」は文句なしに面白い、でした。
では、解説します。
この作品の面白さが、この2話に凝縮されています。
まず、この話はヒロインの一人、エリスの物語です。
エリスは主人公であるルーデウスに恋を抱き、同じくらい強くなりたいと思う場面から始まります。
ですが、この時点でもエリスはかなり強いのです。
周囲が強すぎるので霞みますが、少なくとも魔大陸を死なずに旅ができる程度の強さはあります。
それでも、努力します。
毎日、剣を振ります。
これを誰も「凄い」とは言いません。
ただ、見物人が増える。
素振りの威力が少しずつ上がっていく。
説明ではなく、描写で成長を見せます。
ここがポイントです。
視聴者もまた、見物人なのです。
毎日剣を振るエリスを見て、
「意味があるのか?」
「飽きないのか?」
と疑問を感じながら見ています。
そして説明がなくとも、成長を感じる。
これがすごくリアルな没入感になっています。
文章で「攻撃力が上がった!」と受け身で知るのではなく、描写から感じ取り、強くなったことを積極的に理解する。
情報は受けるより、勝ち取ったほうが強く印象に残ります。
この表現方法一つでも、かなり勉強になります。
それだけではありません。
エリスの人格も、映像で理解を促します。
不意打ちをする。
剣術の試合で体術をメインに使う。
倒れた相手に馬乗りになって殴り続ける。
ヒロインとは思えません。
まさに狂犬です。
ですが、作中の人物が「狂犬だな」と言うだけでは伝わりません。
「狂犬だな」は感想です。
その狂犬たる部分を映像で見せることで、こちらも文章による情報より前に、映像による理解が先になります。
そしてもう一つ、『無職転生』のテーマでもある成長も、この2話に凝縮されています。
これは、エリスが強くなるだけではありません。
ニナやイゾルテといった仲間たちも、精神的に、そして肉体的に強くなっていきます。
そこに3人の絆も加わることで、このエリス修行編は、エリスが生涯の仲間を得る物語としても成立しています。
単体としても、きちんと起承転結ができています。
作品によっては1クールかけて描きそうな情報量を、2話に凝縮している。
それなのに、シナリオ構成の上手さと、アニメ化による描写の巧みさが効果を発揮して、2話なのに1クール分を見たような満足感があります。
ここが『無職転生』の凄いところだと思います。
作中の人物がただ成長するだけではありません。
その人物の周囲にいる人たちの時間まで、丁寧に描ける。
そういう作品は、かなり少ないのではないでしょうか。
ここから始まる第3期は、楽しみで仕方がありません。
