2026年7月16日木曜日

追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する ~第2話(一部レビュー)

<あらすじ>

【重騎士】――それは守り特化で敵の攻撃を引き付け、味方を守るクラスである。


しかし、攻撃性能が低すぎてレベルもまともに上げられない。

それゆえに、“不遇”を超えた“欠陥”クラスといわれていた。


しかし、その際に前世の記憶を取り戻し、エルマは知っていた。


重騎士こそが、最強のクラスであることを……!


生前の知識をフル活用し、この世界の効率的な攻略を始めるのだった。


<レビュー>

導入は、十五歳の〈加護の儀〉で「不遇職」判定をされ、家から追放される。

お約束の追放系です。


では、この作品の特色は何か。


それは、職業が一応戦闘系であることです。


鑑定士や村人、あるいは非戦闘寄りの職業ではなく、重騎士という、ゲームによっては普通に当たり職になりそうなクラスです。

それにもかかわらず、この世界ではその強さに気づかれていない。


そこが、この作品の特色だと思います。


印象的だったのが、エルマが重騎士と分かったあと、父親に「体力と防御力が高い」とアピールする場面です。


しかし、父親はそれをまったく聞き入れず、エルマを殴りつけます。


父親は剣聖の血筋らしいですが、防御力の重要性をあまり理解していないように見えました。


死ななければ負けない。

死ななければ経験を積める。


現代でも、多くの武術は防御や受け身から教えます。

それは怪我をしないためであり、練習を長く続けるためでもあります。


つまり、重騎士は大器晩成型です。


死ににくいという最大の利点を理解していない父親は、剣聖の血筋というより、攻撃性能や家格を重視する貴族的価値観の人物として描かれているように感じました。


テンプレの導入なので悪くはありません。


ただ、やや愚父としての記号が強すぎる気もしました。

これが父親が剣聖の血筋ではなく、商人や文官であれば分かるのですが、剣聖の血筋というのであれば、防御の重要性を理解したうえでの否定があってもよかった気がします。


シナリオは、防御を反転させたスキルでダメージを与えていくものです。


ただ反転させるだけではなく、相手の攻撃を受け止める必要があるため、緊張感もあります。


表情豊かな冒険者キャラも登場し、


「無理だ、逃げろ!」

「駄目だ、引き返せ!」

「お前、凄いな!」

「何者なんだ、お前は!」

「俺とパーティーを組まないか!」


と、主人公を持ち上げてくれます。


そのため、視聴者としても気分よく視聴することができます。


この部分が、追放系における最初のカタルシスになります。

そこをうまく描いているので、この後の展開も興味深く感じました。


最後に、これは良い悪いではないのですが、本作はCGを多用する作品で、かなり線が細かく、かつカメラもよく動きます。


一般的には、迫力や臨場感につながる演出です。

街並みなども一枚絵ではなく、カメラがズームして回り込み、主人公にフォーカスしていくので、位置関係も分かりやすいです。


ただ、カメラが本当によく動くため、3D酔いに近い感覚が出る可能性はあります。


よく動くアニメは、実は描写に強弱があります。


激しく動いているようで、背景は静止画のまま。

キャラクターの見せたい部分だけが動いている。

あるいは、激しく動いていても、布や髪の動きはある程度抑えられている。


アニメーションは、見せたい情報と、補完する情報を選択できます。


見せたい情報に集中することで、作画コストも下がり、視聴者が受け取る情報量も整理されます。


しかし、この作品は、髪の毛から服、背景、カメラワークまで、かなり細かく動かしています。


そのため、情報量は実写映画に近い印象です。


このギャップに気づかないと、視覚的な情報の多さに酔ってしまうのかもしれません。


本作はシナリオ自体は面白いです。

そのため、実写に近い情報量のある作画だと意識して視聴してみると、より楽しめるのではないかと思います。



2026年7月14日火曜日

【軽い日記的なもの】ナスナス大収穫!

こんばんは!


管理人の緑茶です。


さて、夏野菜本番の季節になりました。

春に植えた野菜が、どんどん実る時期ですね。


今年は作業場の花壇の一部にナスを植えており、これが大豊作を迎えています。


適度に雨が降り、気温が高いのが良いのでしょうか。

台風などのダメージが少ないように風よけを立てたのも、正解だったのかもしれません。


7月に入り、収穫が始まったナス。


毎日10本程度、すでに140本くらいの収穫になっています。


なり疲れしないように、主枝と側枝2本の三本仕立てにして、しかも枝1本に実1つという、株に優しい栽培にしています。


ただ、花壇なので株数がそれなりにあり、結果として毎日10本、日によってはそれ以上採れています。


ナスの良いところは、もらい手が多いことですね。


毎年この花壇ではゴーヤーなどを育てていますが、ゴーヤーは最初こそ喜ばれても、無限に採れるので、だんだんみんな飽きてきてしまいます。


保存食にもしにくいので、放っておくとすぐに黄色くなって熟してしまいます。


その点、ナスは焼いてもいいし、みそ汁などにも合います。

味噌漬けにしてもおいしいですし、糠漬けもいいですね。


けっこうレパートリーがあるので、いつまでももらい手がいます。


ナスは、水が不足したり肥料が切れたりすると、途端に失速します。


この点だけは気を付けています。


肥料は週1回。

水は朝と帰宅時の2回。


それでも日中は土の表面が乾いているので、ナスの水を吸う力はかなり強いのだと思います。


ナスに興味が湧いたのであれば、ホームセンターによっては、まだ苗が売っていることもあります。

いわゆる秋ナス向けの苗ですね。


これはこれでおいしいので、1株挑戦してみてはいかがでしょうか!


2026年7月12日日曜日

ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)! 第1話

 <あらすじ>

ここは乙女ゲーム『銀の聖女と五つの誓い』の中――。


やがて魔王が現れ、世界は滅亡の危機に瀕してしまう……。


そんな運命から世界を救うはずのヒロイン、そして聖女であるメロディは、なぜか能力をすべてメイド業務に捧げ、完全無欠のオールワークスメイドへと変貌を遂げていた!


無自覚に運命をぶち壊す、勘違いお仕事ファンタジー!


<レビュー>

聖女系作品の亜種。


それが第一印象でした。


転生して聖女になるというレッドオーシャンから軸足を変えて、転生して聖女になったけれどメイドを目指す。

そういう設定で勝負しようという意欲作です。


聖女ではありながら、メイドでもあるため、既視感のある聖女系の「お約束」はほとんど感じません。


特に第1話は、令嬢であるルシアナ・ルトルバーグ視点のエピソードになっています。

Aパートが終わるくらいまでは、ルシアナが主人公だと思って見てしまうほどです。


そこに、完璧なメイドとしてメロディが登場します。


主人公がモブのように入ってくる登場シーンは新鮮でした。


また、一般的な聖女作品ではないからこそ、説明を割愛しない部分も好印象でした。


特に、タイトルにもある「オールワークスメイド」がどんなメイド像なのか。

そもそもメイド文化に詳しくない日本人でも分かるように、段階を踏みながら丁寧に説明しています。


一般的ではない用語を出したときに、重要度に応じた密度で説明を挟む作品は、個人的に期待値が高いです。


理由は単純です。

作者が視聴者の目線や知識に立って、作品を作れている証拠だからです。


もちろん、情報過多になっても良くありません。


しかし、重要な単語が分からないままでは、没入感が失われてしまいます。

だからこそ、視聴者がまだ「見よう」という意志を持っている早い段階での説明が重要です。


それが第1話でできているのは、かなり強いと思います。


また、他作品との差別化を強みにする設定ではありますが、一方で「転生系」という一つ上のレイヤーでは王道を歩いています。


ここも良いところです。


こだわりの設定の上流までこだわりすぎると、面白さよりも分かりにくさが先に立ち、かなりニッチな作品になってしまいます。


この作品は、大枠では転生系という分かりやすい作品群の中にいます。

そのうえで、他作品との差別化もしっかり行っています。


この絶妙なポジショニングが、視聴者の知的好奇心を生み、併せて新鮮味も与えてくれます。


導入部分としてしっかり機能した第1話を終えると、すぐにこれまた王道の学園編が始まるようです。


他の転生者も登場するようなので、第2話以降も楽しみに見ていきたいと思います。




2026年7月9日木曜日

異世界のんびり農家2(終)

 <あらすじ>

かつて病弱な体で孤独に生きた青年・街尾火楽は、神の恩寵によって異世界に転生した。
畑を耕し、家畜を育て、仲間と笑い合う平穏な日々。
新たな作物、新たな仲間、そして新たな騒動が、火楽のスローライフを彩っていく。
のんびりほどほど賑やかに、楽しくドタバタ和やかに。
自分だけの理想の田舎暮らしは、まだまだ拡大中!

<レビュー>

万能農具という、武器にも農具にもなる万能アイテムを神からもらい、転生した男のスローライフ物語の第2期です。

第1期では、開拓から始まり、ヒロインとの出会い、子供の誕生など、スローライフではありましたが、人間的なイベントは多めな印象でした。

さて、第2期です。

今回は発展とイベントが中心に描かれ、村長としての村運営が主題になっています。
作品の特徴として、日常系のわりに登場人物が非常に多いことがあります。
私の感覚では、日常系作品の主要人物は、一度きりのゲストを除けば5人前後という印象です。

しかし、この作品は村が大きくなるという発展要素があるため、新しく村に加わった人々、あるいは種族の長や実力者が、登場人物にどんどん加わっていきます。
その数は、公式HPに載っているだけでもかなり多く、体感としては建国系アニメである転スラにも迫るほどです。

では、視聴者が混乱しないのか。

この点は、かなりうまく回避しています。
まず、種族を明確に分けている点です。
人間、魔族、天使、獣人、神、竜族、エルフ、吸血鬼……。
人物の前に種族を置くことで、見た目が変わります。

そのため視聴者としては、たとえば「ガルガルド」という固有名詞を覚えていなくても、見た目の角などから「魔族の人だ」と脳内で分類できます。
すると、次は「魔族のガルガルド」という形になります。
この時点で、情報量が一段増えます。

魔族と分かれば、該当する人物はある程度限定されます。
さらに、その言動や振る舞いから「魔族の魔王、ガルガルド」という認識ができるようになります。

つまり、無理に全員の名前を覚える必要がありません。

主人公のヒラクと、ヒロイン格のルールーシー=ルーを覚えておけば、あとは作中でそれとなく説明してくれる構成です。
見た目も、人間に近い種族から、明らかに一目で分かる種族まで描き分けてあります。
そのため、ぼんやりとでも種族単位で認識できれば、登場人物の多さは比較的気になりません。
むしろ、多くの登場人物がいることで、その配下や関係者も含めて、村全体のにぎやかさが描かれます。

その結果、日常系でありながら、新鮮で、建国系アニメに近い高揚感も楽しめる作品になっています。

内容的にはスローライフなので、冬ごもりをしたり、温泉を探しに行ったり、武道会を開いたりと、2〜3話のエピソードの積み重ねです。
大きな危機や転機があるわけではありません。

その点でも、建国系アニメの側面を持ちながら、殺伐としていない。
そこが、この作品の個性になっていると思います。

全体を通して見ても楽しめますし、気楽に2〜3話のエピソードをピックアップして見ても楽しめる作品でした。

疲れた日常の癒し枠として、良い作品だったと思います。


2026年7月7日火曜日

人類アンチ種族神 【エピローグ】 1-1 足立のコレクション

※本エピソードは本編「人類アンチ種族神のV章⑮」以降のエピローグになります。

 本編とは違い、サブキャラクターに視点を合わせて不定期で掲載します。

ーーー

篠原涼音が代行者になってから、二十日が過ぎた。足立はデスランドの会議室で、篠原の警護に当たっていた。とはいえ、気は抜けきっていた。


対ドラゴン戦で損耗したR連隊は再編され、タラメアからの戦力も一部補充されたことで、二国同盟軍と改称された。


足立は、その同盟軍で「篠原代行者 特別護衛部 直属陸将」という仰々しい肩書をもらっていた。


だからこそ、ぼやかずにはいられない。


「ふぁぁ。なーにが陸将だよ。結局、篠原の護衛じゃねーか。大体、代行者様に護衛なんているのかねぇ」


冷めた視線の先では、篠原がヴァロンと何やら計画を練っていた。


そこへ、ベルガンがやってきた。


「足立。暇なら計画を共に考えたらどうだ?」


「むりむり。あの二人の会話を理解できるのは、未来のスパコンくらいだよ。お前も暇そうじゃないか、ベルガン」


「まぁな。査定の再開は五年後だというし、デスランドにいる代行者を警護しろと言われてもなぁ」


「そうそう。世界中のどのシェルターよりも安全な場所に、何の脅威が来るんだろうねえ」


足立とベルガンは、事実上無意味なポジションに溜め息をつくしかなかった。


サーチは違うらしい。報告では、篠原の指示で、代行者に否定的な勢力の粛清を行っているという。自慢の索敵能力と代行者の視界をリンクさせて目標を捕捉し、あえて民衆の前で殺害し、次のターゲットへ向かう。その繰り返しだと聞いている。


「ベルガンは粛清に行かないのか?」


「フン! 俺様が行くと恐怖を煽りすぎると、ヴァロンに止められた」


「お互い、上には逆らえないか。暇だねぇ」


「うるせえよ。でも、意外だな。もっと粛清に反対するのかと思ってたぜ」


足立は天井を見上げながら、うつろに答える。


「最初は反対したけどなぁ。でもリストを見てみれば……」


足立は言葉を切り、一瞬だけベルガンに視線を移す。


ーーまぁ、リストの内容は知ってるか。


思考を挟むと言葉をつづけた。


「自分の宗教を守るために教徒へ自爆テロを命じようとしていたり、対立を煽る武器商人だったり。普通に危険人物なんだよなぁ」


これを聞いたベルガンも例を並べる。


「それに、他国の工作員だったり、領土を侵略しようとする軍隊だったり……人間共の強欲さは筋金入りだ!お前も大変だな!」


足立は視線を戻さないまま、力なく締めくくった。


「結局、サーチちゃんが頭を粛清しているおかげで、被害が減ってるんだよなぁ」


「フハハ!」


こうして足立の一日は過ぎ、彼は埼玉にある宿舎へ帰った。宿舎と言っても、幹部クラスが使う堅牢なマンションである。


部屋に入ると、買い置きしていたカップラーメンを食べ、酒を飲んで寝る。それが足立のルーティンだった。入居して十五日。しかし、未開封の段ボールとゴミの山が、足立の私生活を物語っていた。


組み立てられていないベッドのマットレスに散らばったゴミを無造作にかき分け、天井を見つめていると、段々と意識が薄れていく。


「暇だと思っていても、やっぱり敵の居城にいるのは疲れるのかねぇ……」


「反抗勢力の危険人物や工作員を使った見せしめか。大仲さんが聞いたらブチ切れそうだなぁ……」


一言ぼやくと、足立は眠りについた。


翌日。


「ピンポン」


早朝に呼び鈴が鳴った。


「なんだぁ、もう。交代まで三時間もあるじゃないか……寝かせてくれぇ」


足立は、もぞもぞとマットレスに戻ろうとした。


「ピンポン」


「うるさいなぁ。そういや、この宿舎は簡単には入れないはずだが……」


足立はハッと起き上がると、枕もとの銃を取った。


ゆっくりとドアへ近づき、物陰から声を返す。


「誰だ?」


すると、意外な声が返ってきた。


「隊長……いえ、陸将殿。私です、仲原です!」


仲原は、「篠原代行者 特別護衛部 行動監視室」に異動になったはずだ。


チェーンをかけたまま、ゆっくりとドアを開けると、笑みを浮かべた仲原が立っていた。


「お久しぶりです! 隊長!」


「お、おう。ちょっと散らかってるんで、重要な用件なら会議室で聞くよ」


「いえ、お気遣いには及びません! 入れていただけますか?」


そう言うと、仲原は一枚の紙を差し出してきた。


「ん? なんだこれ。津田防衛大臣からの指示書? いや、手紙か……」


「拝啓 足立君。新職務ご苦労。噂で、君の私生活が荒れていると聞いた。多忙なのは分かるが、一応、君は陸将だ。周囲の視線も気にしてほしい。そこで、週三回、仲原一佐を君の世話係として向かわせる。旧知の仲だろう。宿舎の管理だけではなく、愚痴なども聞いてもらうといい」


手紙を読んで、足立は理解した。


つまり、部屋を片付けろ。まともな生活をしろ。そして、篠原の状況を仲原と共有しろ、ということだ。本命は最後の共有だろうな。そうなると、会議室も使えない。入れるしかないか。


足立は諦めてチェーンを外した。


玄関に入った仲原が、一瞬、動きを止め、思わず声が漏れる。


「隊長。こ、この臭いは? いえ、それより廊下の半分がゴミと段ボールで通れませんが?」


「言ったろ! ちょっと散らかってるって……」


仲原が少し怖い目つきで足立を睨みつける。


「この緩んだ空気の正体が分かりました!まずは掃除、洗濯、ゴミ出し。今から着手させていただきます!」


「マジかよ!」


足立は急いで、読み散らかした雑誌を回収しに部屋へ戻った。


「隊長!どうしたのですか!」


足立は追ってくる仲原をかわし、自室の奥に積まれた秘蔵コレクションを即座に隠すのであった。

2026年7月5日日曜日

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2(終)

<あらすじ>

マンションが偶然隣同士だったことから交流が始まった藤宮周と椎名真昼は、高校2年の体育祭後、晴れて付き合うことに。


新婚のような雰囲気だが、二人は未だにドキドキしっぱなし。


恋の物語は続く――。


<レビュー>

今期の癒し枠です。


いやらしい意味ではなく、真の癒し枠。


第1期は、二人が付き合うまでを描いていたので、シナリオの線がはっきりしていました。

二人の距離感や想いが徐々に強くなっていく過程を楽しむ作品だったと思います。


その第2期は、付き合った時点をスタートにしています。


自分でも小説を書いているので、この時点から物語を続ける難しさは理解できます。

学生なので、結婚というゴールはまだ遠い。しかも、現実的ではありません。

かといって、体の関係をゴールにしてしまえば、第1期の純愛を壊してしまう。


私は第2期第1話から、この作品がどこをゴールにするのかに興味を持って視聴していました。


無難な読み筋なら、最終回にキスで終わり。

これが妥当だろうと予想しながら、少々特殊な楽しみ方をしていたと思います。


しかし、この作品は違いました。


無理にゴールは作らない。


二人の恋の積み重ねを丁寧に描き、感情が深くなっていく様子を全12話にわたって駆け抜けていきました。


もちろん、キスなど、恋人らしい進展もあります。


しかし、大きなシナリオラインで引っ張るのではなく、ひたすらエピソードを積んでいく。

毎週毎週、二人の仲睦まじいイチャラブを見せつけられる。


良い意味で、究極の見せつけ作品になっていました。


これはすごいです。


視聴者は、主人公たちだけではなく、恋愛そのものに興味が湧くような、ある種の渇きを覚える作品でした。


後半、少し面白くなってしまったのが、エピソードを重ね続けた結果、二人が抱く相手への想いが、学生とは思えないほど重くなっていく部分です。


作中の交際期間は、5月から9月までの約4か月です。


しかし8月、つまり交際3か月ほどの時点で、主人公は婚約指輪を買うためにバイトを始めます。


ここには、連載作品ならではの体感時間のズレもあると思います。


原作5巻は2021年、アニメ第2期の終盤にあたる原作8巻は2023年に刊行されています。

読者や作者側の体感では、二人の関係は1年半から2年ほどかけて深まっているわけです。


しかしアニメになると、その感覚が少し変わります。


視聴者は、リアル時間では約3か月で、作中の約4か月を見ています。

つまり、かなり作中時間と同期した感覚で視聴することになります。


その感覚で見るので、二人の関係が深まる速さに少し戸惑ってしまうのです。


特に私のように、少し斜めから作品を楽しんでいると、


「ええ!? 早くない?」


と正直思ってしまいます。


これが、後半少し面白くなってしまった部分です。


ただ、それが作品の悪い部分だとは思いません。

むしろ良いと思います。


まったく進展しない日常を4か月分切り取って見せられるよりも、回を重ねるごとに重い想いを寄せていく二人を、テンポよく見ていたほうが楽しいからです。


特にこの作品の第2期は、大きなシナリオラインがありません。


線の代わりに、厚みが増していく構成です。

そこが分かりにくいと、退屈に思えてしまう可能性もあります。


もう一つ、実際の学生の時間感覚もあります。


大人の時間はゆっくり流れていますが、学生時代の時間は日々猛スピードで流れていたと思います。


次々に訪れる学校のイベント。

テスト。

友人との関係。


一日の密度が、圧倒的に違います。


その点を考慮すれば、多感な時期の恋愛が猛スピードで進んでも、おかしくはありません。


さすがに作中後半のように夫婦のようにはならないかもしれません。

それでも、日々進展するくらいのスピード感はあってもいいと思います。


ということで、私のように少し斜めから見なければ、普通に楽しめる癒し作品だと思います。


かなり愛が重めなので、女性にも刺さりやすい作品かもしれません。

もちろん男性も楽しめますので、おすすめです。


第3期があるとしたら、二人がどうなっていくのか、とても楽しみです。



2026年7月2日木曜日

レプリカだって、恋をする。(終)

 <あらすじ>

愛川素直の身代わりとして、目立たないように日常をやり過ごす『レプリカ』のナオ。


素直が行きたくないときは代わりに学校に行き、勉強や運動を頑張るのも、すべてはオリジナルである素直を助けるため……。


それなのに――ある日、恋に落ちてしまう。


<レビュー>

ついに完結しました。


第一印象は、1クールに綺麗に収めた作品です。

かなりネタバレを含むのでご注意ください。


最終局面で、レプリカ同士であるナオとアキは、オリジナルが死んだことで消えたレプリカ、森すずみ先輩の住んでいた家を訪れます。


一方、オリジナルたちは修学旅行へ。


素直は秋也や佐藤、吉井と一緒に観光名所を回るうち、少しずつ彼らと打ち解けていきます。


そして、佐藤にもレプリカが「かつていた」という話を聞きます。


佐藤のレプリカは、もういない。

そこから物語が動きます。


ここで、視聴者には、レプリカには2つの消滅パターンが存在することが分かります。


① オリジナルが死ぬ = 森すずみ先輩のパターン

② 自然と消える = 佐藤のパターン


ただし、この②に関しては、この時点で詳しくは語られません。

共通しているのは、「いつか消えるかもしれない」というレプリカの宿命です。


第1話からずっと感じていた、ナオの消滅。


このあたりから、その不安がより色濃く感じられるようになってきます。

その反面、アキとの恋も深まり、この絆がナオを守るのではないか、という期待も同居します。


この不安と期待の答えを出さないまま、最後の瞬間まで視聴者を引きつける手法は、とても勉強になりました。


そして最終話。


レプリカの定義が明らかになります。


レプリカは、オリジナルが誰かに観測されていると、他者からは見えない。

レプリカ同士なら問題なく見えるが、人間はオリジナルとレプリカを同時に認識することはない。


これではっきりとします。


服を着たり、物に触れたりできるので、物理的には存在しているレプリカ。

しかし、その正体はやはり、オリジナルが生んだ不安定な存在でした。


オリジナルが精神的に追い詰められたときに、切り離された感情の一部が形を成したもの。


ナオの場合は、素直のやさしい気持ちです。


切り離したものは、いつか統合しなければ欠けたままになってしまう。

この時点で、ナオが素直と一体化するルートが濃厚になります。


アキは引き留めます。

しかし、ナオは素直との一体化を選択します。


原作では、ここで1か月の猶予があり、気持ちの整理をする場面もあります。

しかし、アニメ版ではそこを割愛しています。


その代わりに、アニメ版は一つの解釈を提示します。


レプリカは人間とは違う次元に存在する。

その設定をもとに、ナオが素直に、アキが秋也と一体化してオリジナルに戻ったあとも、ふたりらしき男女が海辺で楽しく過ごしているシーンを、1カットだけ挿入します。


セリフはありません。

説明もありません。


過去の回想シーンのようにも見えます。

あるいは、二人がレプリカの次元で存在し続けているようにも見えます。


どちらにも取れるからこそ、救いの余韻が残るラストカットでした。


冒頭に書いた「1クールに綺麗に収めた作品」という根拠は、この終わり方です。


原作5巻以降の内容を大きく整理し、そのぶん別れのシーンに尺を使い、救いを残して作品を閉じる。


原作では、ナオが消えた後の素直の時間や、その先の物語も描かれます。

しかし、アニメ版ではそこをあえて曖昧にすることで、想像の余地を残しています。


1クールアニメに収めるための、素晴らしい決断だったと思います。

そして同時に、作品への愛を感じました。


第1話から不穏な作品ではありましたが、1クール通して視聴して、とても満足感のある作品でした。