<あらすじ>
愛川素直の身代わりとして、目立たないように日常をやり過ごす『レプリカ』のナオ。
素直が行きたくないときは代わりに学校に行き、勉強や運動を頑張るのも、すべてはオリジナルである素直を助けるため……。
それなのに――ある日、恋に落ちてしまう。
<レビュー>
ついに完結しました。
第一印象は、1クールに綺麗に収めた作品です。
かなりネタバレを含むのでご注意ください。
最終局面で、レプリカ同士であるナオとアキは、オリジナルが死んだことで消えたレプリカ、森すずみ先輩の住んでいた家を訪れます。
一方、オリジナルたちは修学旅行へ。
素直は秋也や佐藤、吉井と一緒に観光名所を回るうち、少しずつ彼らと打ち解けていきます。
そして、佐藤にもレプリカが「かつていた」という話を聞きます。
佐藤のレプリカは、もういない。
そこから物語が動きます。
ここで、視聴者には、レプリカには2つの消滅パターンが存在することが分かります。
① オリジナルが死ぬ = 森すずみ先輩のパターン
② 自然と消える = 佐藤のパターン
ただし、この②に関しては、この時点で詳しくは語られません。
共通しているのは、「いつか消えるかもしれない」というレプリカの宿命です。
第1話からずっと感じていた、ナオの消滅。
このあたりから、その不安がより色濃く感じられるようになってきます。
その反面、アキとの恋も深まり、この絆がナオを守るのではないか、という期待も同居します。
この不安と期待の答えを出さないまま、最後の瞬間まで視聴者を引きつける手法は、とても勉強になりました。
そして最終話。
レプリカの定義が明らかになります。
レプリカは、オリジナルが誰かに観測されていると、他者からは見えない。
レプリカ同士なら問題なく見えるが、人間はオリジナルとレプリカを同時に認識することはない。
これではっきりとします。
服を着たり、物に触れたりできるので、物理的には存在しているレプリカ。
しかし、その正体はやはり、オリジナルが生んだ不安定な存在でした。
オリジナルが精神的に追い詰められたときに、切り離された感情の一部が形を成したもの。
ナオの場合は、素直のやさしい気持ちです。
切り離したものは、いつか統合しなければ欠けたままになってしまう。
この時点で、ナオが素直と一体化するルートが濃厚になります。
アキは引き留めます。
しかし、ナオは素直との一体化を選択します。
原作では、ここで1か月の猶予があり、気持ちの整理をする場面もあります。
しかし、アニメ版ではそこを割愛しています。
その代わりに、アニメ版は一つの解釈を提示します。
レプリカは人間とは違う次元に存在する。
その設定をもとに、ナオが素直に、アキが秋也と一体化してオリジナルに戻ったあとも、ふたりらしき男女が海辺で楽しく過ごしているシーンを、1カットだけ挿入します。
セリフはありません。
説明もありません。
過去の回想シーンのようにも見えます。
あるいは、二人がレプリカの次元で存在し続けているようにも見えます。
どちらにも取れるからこそ、救いの余韻が残るラストカットでした。
冒頭に書いた「1クールに綺麗に収めた作品」という根拠は、この終わり方です。
原作5巻以降の内容を大きく整理し、そのぶん別れのシーンに尺を使い、救いを残して作品を閉じる。
原作では、ナオが消えた後の素直の時間や、その先の物語も描かれます。
しかし、アニメ版ではそこをあえて曖昧にすることで、想像の余地を残しています。
1クールアニメに収めるための、素晴らしい決断だったと思います。
そして同時に、作品への愛を感じました。
第1話から不穏な作品ではありましたが、1クール通して視聴して、とても満足感のある作品でした。
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