<あらすじ>
【重騎士】――それは守り特化で敵の攻撃を引き付け、味方を守るクラスである。
しかし、攻撃性能が低すぎてレベルもまともに上げられない。
それゆえに、“不遇”を超えた“欠陥”クラスといわれていた。
しかし、その際に前世の記憶を取り戻し、エルマは知っていた。
重騎士こそが、最強のクラスであることを……!
生前の知識をフル活用し、この世界の効率的な攻略を始めるのだった。
<レビュー>
導入は、十五歳の〈加護の儀〉で「不遇職」判定をされ、家から追放される。
お約束の追放系です。
では、この作品の特色は何か。
それは、職業が一応戦闘系であることです。
鑑定士や村人、あるいは非戦闘寄りの職業ではなく、重騎士という、ゲームによっては普通に当たり職になりそうなクラスです。
それにもかかわらず、この世界ではその強さに気づかれていない。
そこが、この作品の特色だと思います。
印象的だったのが、エルマが重騎士と分かったあと、父親に「体力と防御力が高い」とアピールする場面です。
しかし、父親はそれをまったく聞き入れず、エルマを殴りつけます。
父親は剣聖の血筋らしいですが、防御力の重要性をあまり理解していないように見えました。
死ななければ負けない。
死ななければ経験を積める。
現代でも、多くの武術は防御や受け身から教えます。
それは怪我をしないためであり、練習を長く続けるためでもあります。
つまり、重騎士は大器晩成型です。
死ににくいという最大の利点を理解していない父親は、剣聖の血筋というより、攻撃性能や家格を重視する貴族的価値観の人物として描かれているように感じました。
テンプレの導入なので悪くはありません。
ただ、やや愚父としての記号が強すぎる気もしました。
これが父親が剣聖の血筋ではなく、商人や文官であれば分かるのですが、剣聖の血筋というのであれば、防御の重要性を理解したうえでの否定があってもよかった気がします。
シナリオは、防御を反転させたスキルでダメージを与えていくものです。
ただ反転させるだけではなく、相手の攻撃を受け止める必要があるため、緊張感もあります。
表情豊かな冒険者キャラも登場し、
「無理だ、逃げろ!」
「駄目だ、引き返せ!」
「お前、凄いな!」
「何者なんだ、お前は!」
「俺とパーティーを組まないか!」
と、主人公を持ち上げてくれます。
そのため、視聴者としても気分よく視聴することができます。
この部分が、追放系における最初のカタルシスになります。
そこをうまく描いているので、この後の展開も興味深く感じました。
最後に、これは良い悪いではないのですが、本作はCGを多用する作品で、かなり線が細かく、かつカメラもよく動きます。
一般的には、迫力や臨場感につながる演出です。
街並みなども一枚絵ではなく、カメラがズームして回り込み、主人公にフォーカスしていくので、位置関係も分かりやすいです。
ただ、カメラが本当によく動くため、3D酔いに近い感覚が出る可能性はあります。
よく動くアニメは、実は描写に強弱があります。
激しく動いているようで、背景は静止画のまま。
キャラクターの見せたい部分だけが動いている。
あるいは、激しく動いていても、布や髪の動きはある程度抑えられている。
アニメーションは、見せたい情報と、補完する情報を選択できます。
見せたい情報に集中することで、作画コストも下がり、視聴者が受け取る情報量も整理されます。
しかし、この作品は、髪の毛から服、背景、カメラワークまで、かなり細かく動かしています。
そのため、情報量は実写映画に近い印象です。
このギャップに気づかないと、視覚的な情報の多さに酔ってしまうのかもしれません。
本作はシナリオ自体は面白いです。
そのため、実写に近い情報量のある作画だと意識して視聴してみると、より楽しめるのではないかと思います。
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