2026年1月1日木曜日

2026年のご挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。


本年もよろしくお願いいたします。


 さて、2025年を振り返りますと、チャレンジの年となりました。
特に小説「人類アンチ種族神」の連載を開始し、約30エピソードを投稿いたしました。
たくさんの方に読んでいただきDMなどで感想も頂戴しまして
本当にありがとうございました。

 今年は午年ということで、勢いよく前進を心掛けたいと思います。
小説だけではなくゲームのシナリオやこのサイトのレビュー記事、日記記事なども楽しんでいただけるよう上手いこと波に乗っていきたいと思っております。
実直に発信を続けることで沢山の人に楽しんでいただけるサイトを目指し
着実に進んでいきたいと思います。

 それでは、今後とも当サイトをご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

2026年元旦 管理人緑茶

※明日(2日)・明後日(3日)は、「人類アンチ種族神」の振り返り(対決①②)を
掲載させていただきます。序章①②と同じく加筆修正をしつつ
数万文字の内容をギュッっと圧縮していますのでこの機会に
気軽に読んでいただけると幸いです。

2025年12月29日月曜日

【小説】外伝:駆け抜け!人類アンチ種族神 序章②

※この小説は、連載中の『人類アンチ種族神』のこれまでのあらすじをダイジェスト形式でまとめたものです。

※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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かつて人間として絶望の中で死んだ彼は、神として転生し、お台場の上空に居城を出現させた。


本来、この世界の神は異なる次元に存在し、姿を見せることなく干渉するものである。 だが、彼は違った。自らの存在を人間に誇示し、恐怖を刻み込むことに固執したのだ。


彼は空中の居城に立つと、世界への宣戦布告として最初の配下を生み出す。 指先から放たれた無数の黒いモヤは、瞬く間に濃縮され、翼を持った人型の怪物へと姿を変えた。


◆ ◆ ◆


その頃、高校生配信者のミナトは、秋葉原のメイド喫茶で看板娘コトハとコラボ配信を行っていた。


「あはは、今日はいい天気ですねー!」


あざとく笑うコトハの猫耳カチューシャ越しに映る青空。その一点に、黒い“シミ”のようなものがぽつりと湧いた。 コメント欄が『あれ何?』『合成?』とざわつき始める。 ミナトは「どうせゴミか何かだろ」と乾いた笑いを漏らした。――その楽観が凍りつくまで、三秒もかからなかった。


◆ ◆ ◆


同時刻、渋谷スクランブル交差点。


就活帰りの大学生・蒼井隆司は赤信号で立ち止まり、ハンカチで額の汗を拭った。


突如飛来した怪物は、交差点の中央で息を大きく吸うと、ゴゥッ! と高熱の炎を吐きだした。


「……マジかよ」


――紅蓮の炎が横断歩道を薙ぎ、観光バスが爆裂した。 焦げたタイヤの甘ったるいゴム臭と、肉の焼ける異臭がマスク越しに突き刺さり、隆司の肺が拒絶反応で痙攣する。 ガラス片と砕けたアスファルトが雨のように降り注ぐ中、隆司は反射的に走り出した。だが視界の端には、まだ“現実”を飲み込めずスマホを掲げたまま立ち尽くす人々がいた。


逃げ惑う阿鼻叫喚の群衆の中に、一組のカップルがいた。


女はヒールのまま走り、靴先でガラス片を弾くたびに足首が赤く染まっている。多くの破片が散乱する路面をヒールで走る彼女は、次第に彼氏から遅れていく。 『もっと! もっと速く!』 彼氏が叫ぶ。だが、スニーカーを履いた男と同じ速度で走れるはずがない。


彼氏は何度も彼女の腕を引き、振り返っては迫りくる黒い怪物との距離を測っていた。繋いだ手は冷や汗で滑り、指先が小刻みに震えている。『大丈夫だ、俺がいる!』と叫ぶ声は裏返り、優しさという仮面の下で、剥き出しの恐怖が脈打っているのが隆司にも見えた。 ──もう限界だ。


その時、逃げる群衆を無差別に襲っていた一体の怪物が、ふと二人のほうを向いた。 猛禽類が次の獲物を見つけた瞬間を思わせる、氷のように冷たい視線。


彼氏の喉がごくりと動き、その瞳に〈自分の末路〉が映ったように揺らいだ。 刹那、恐怖が理性を追い越した。


彼氏は繋いでいた手を、邪魔なものを排除するように強く振り払った。


「っ?!」 「悪いッ!」


その反動を利用し、彼氏は動物じみた加速で群衆の渦へ溶け込んでいく。それは謝罪とも拒絶ともつかない、生存本能だけの行動だった。


見捨てたのか──?! 隆司の胸に稲妻のような憤りが走る。同時に、助けへ踏み出そうともしない自分の足が恐怖で路面に縫い留められている事実が、避けがたい自己嫌悪を連れてきた。


「待って! お願い、置いていかないで!」


ヒールで踏みしめる硬質音と、か細い悲鳴。 直後に響く骨の砕ける音、肉の焦げる臭気。 隆司は耳を塞いでも鼓膜の奥でその音が反響し続け、喉の奥から胃液が逆流した。


◆ ◆ ◆


この神が生み出した怪物の正式な名前は誰も知らない。 それでもSNSのハッシュタグで、誰かがその名をつけた。


『ガーゴイル』


それが、この黒い怪物の名だ。 この日――大都市東京は、紅の奈落へと落ちた。


◆ ◆ ◆


東京を瓦礫に変えた神は、さらに3体の特別なガーゴイルを生み出した。


近接戦闘特化の個体、ベルガン。 索敵支援特化の個体、サーチ。 そして、全軍の指揮を執る参謀個体、ヴァロン。


彼らに与えられた最初のミッションは、妻を殺したトラックの運転手を捜すこと。そして、事実を捻じ曲げた弁護士を捜し出すことだった。 神の能力をもってすれば、特定の個人を発見するのは容易い。これは復讐であると同時に、産み落とした怪物たちの『狩り』の初陣でもあった。


数日後、サーチがあのトラックの運転手を発見した。


神はベルガンとサーチに冷徹な指示を出す。 「あの人間は、トラックで潰して殺せ」


神は神でありながら、人間として生きた怨念を忘れてはいなかった。単純には殺さない。意趣返しを込めた死を与えることで、内なる怒りを昇華させようとしたのだ。


ベルガンとサーチは、運転手を望みどおりの形――鉄塊による圧死――で葬り去った。能力としては優秀と言ってよい。 だが神は満たされてはいなかった。


ーー簡単すぎた。もっと、苦しみを。私が味わった地獄と同じだけの絶望を与えねばならない。


やがて弁護士も発見された。 神は前回の反省を踏まえ、彼にはより入念な意趣返しを用意する。


名付けて、「絶叫の法廷」。


神は、弁護士の家族を一人一人、被告として即席の法廷に立たせた。 弁護士にはその弁護を命じる。だが、彼が口を開こうとするたびに肉体的な苦痛を与え、決して弁護の言葉を紡がせない。 かつて神が人間だった頃、真実を封じられ、金と権力でねじ伏せられた理不尽な裁判の再現である。


「罪なき者を殺すのか、と問う眼だな」


神は弁護士の絶望的な視線を受け止め、冷たく言い放つ。


「私の妻も、罪などなかった。奪った者は、奪われる覚悟を持つべきだ」


神は彼のすべての家族を処刑すると、最後に弁護士へこう告げた。


「お前だけは殺さない。だが覚えておけ。お前に守るべきものが再びできたとき、この法廷は何度でも開かれる」


絶望に発狂する弁護士を置き去りにし、神と眷属たちはその場を去った。


復讐は完遂された。はずだった。 だが神の中には依然として黒い渦が感情を押し上げてくる。 一方で、種族神として「人間族を守ろう」とする本能が、神の完全な暴走をかろうじて押し留めていた。


神の生み出した怪物は東京都を焼き払った。だが、他県へは流れ込むことはなく、破壊と守護がせめぎ合う繊細なバランスのもと、新しい絶望の世界が幕を開けたのだ。


この未曽有の状況に、防衛大臣である真田は頭を抱えていた。 地下や建物に隠れて生き延びた人々。錯綜する情報。政府の官僚も多数が死傷し、機能不全に陥っている。


それでも「説明責任」という言葉で、安全圏にいる他の議員たちは真田を追い立てる。 ついに、運命の説明会見が開かれることとなった。

2025年12月28日日曜日

【小説】 外伝:駆け抜け!人類アンチ種族神 序章①

※この小説は、連載中の人類アンチ種族神のこれまでのあらすじを、ダイジェストにまとめつつ、描写や表現を加筆・修正したものです。

※この小説は、はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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これは、人間の種族神として誕生した若い神による、破壊と創生、そして審判と成長の記録である。


「ねえ!君はどんな神になるの?」


光に包まれた広大な空間で、丸い光の玉が、隣に浮かぶもう一つの玉に話しかけた。


「僕はねえ。地球という星の人間族の種族神だって!」


彼らは神の子。神になるべくして生まれた生命とは違う存在だ。


神の子は無数に存在する。次元、時間、場所、対象となる生物 と細かく割り振られる。


この神の子は、ある次元の地球の日本、人間の種族神となることが決められたのだ。


神の子は神になる前に、その種族に転生し生涯を経験しなければならない。掟に従い神の子は記憶を失い純粋な人の子として転生したのだった。


だが人の世は厳しいものだった。


二歳の春。――他人の不注意で信号無視の自転車が歩道に突っ込み、跳ね飛ばされた。

左半身は中程度の麻痺が残り、この傷が彼を生涯苦しめた。


中程度の麻痺は、外見にはほとんど傷が残らない。立つこともでる、ぎこちなくても歩ける。

だから大人たちは言った。


> 「努力が足りないだけさ」

> 「ほら、手を抜くな、怠けるな」

> 「泣くのは甘えだろ?」


左足が思うように上がらず、指先の感覚が半分しか戻らない、と訴えても

「できるはずだ」 と笑うだけ。健常な価値観で計った物差しは、彼の痛みを計測不能と切り捨てた。


十八で就職。体に負担の少ない軽作業を選んだ。それでも彼は人よりも頑張った。

脳裏に響く「手を抜くな、怠けるな」という大人の呪いが彼に休むことを許さないのだ。


だが、彼の上司は健常者だったが酷く怠け者であった。上司の怠け癖で度々止まってしまうライン。

ある時、経営者から大問題とされ、責任の追及を行った。


彼の上司は一番の働き者であった彼を「障害者だから」という理由で罪を擦り付け、彼は理不尽に職を失った。


二十二で再就職。次の職場は見下す視線と無言の圧が職場全体を湿らせていた。

「手が遅い」 「給料泥棒」――耳障りな陰口は、やがて彼は自分の心音と区別がつかなくなった。



そんな泥の底で、たった一輪の花が咲く。

家庭ができ、男の子と女の子が生まれた。


だが奇跡は長く続かない。


居眠り運転のトラックが妻をはね、死亡させてしまったのだ。


トラックの運転手も、自分の非を認めなかった。赤信号を妻が飛び出したと言い張った。


ーーそんなはずはない。


彼は何度も現場へ行って目撃者を捜した。そしてついに、現場近くの文具店から防犯カメラの映像を発見した。

青信号を渡る妻に、一切減速していないトラックが突っ込む瞬間を彼は深い悲しみを抑え何度も見返した。


だが、裁判でその証拠が使われることはなかった。


文具店の店主は、運送会社からの『謝礼』と、弁護士がちらつかせた『協力しない場合の不利益』に屈して、大切な証拠の映像を『誤って消去した』と証言したのだ。


裁判で彼はただ、妻への謝罪が欲しかった。すまなかったの一言でよかった。

だが会社も男も「保険が降りますので」と頭を下げただけで、その眼に感情はなかった。


正義は金で買われる。 その現実が胃の奥で錆びた鉄の味を広げ、胸を焼く憎悪に変わった。


妻を失った彼は、子供のために必死に働いた。寝食を忘れ妻の残したわが子のために身を粉にして働いた。


ある日、彼は朝から少し体が重かった。倉庫の奥で三十キロの段ボールを抱えていると、額を伝った汗が右目に入り視界が滲む。


そのときだ。胸のまん中を、赤く焼けたナイフでいきなり刺されたような痛みが走った。


「――っぐ……!」


荷が落ち、つぶれた箱からネジが散る。ひざが折れ、ほこりのにおいが鼻を突いた。


左手を伸ばすが、指先から力がすべて抜ける。心臓が一発ごとに強く打ち、そのたび視界のふちが暗くなる。


痛みは徐々に強くなり、彼は悟る。


――死ぬ? 今ここで?


恐ろしい。けれど同じくらい理不尽だった。


息が吸えず、口がぱくぱくと音もなく開くだけ。誰もいない倉庫に爪を立てても、助けは来ない。


ふざけるな……ふざけるな……!


胸を殴っても鼓動は弱まる一方で、世界の音が遠ざかる。ネジが転がるカラカラという音だけが、むなしく響いた。


涙は出なかった。かわりに熱い血が耳のうしろで波打ち、視界は真っ白に発光した。


「誰か――」

「子供たちの夕飯を……まだ作って……」


いや、せめて――最後に一目……!


心臓が、ひとつ、ぐしゃりと音を立てた気がした。次の鼓動は来なかった。


白い世界だけが残り、そして静けさがすべてを飲みこんだ。


(……おかえりなさい)


あの、丸い光の玉が再び彼に話しかけた。

次の瞬間、宇宙規模の記憶が洪水のように流れ込む。


彼は“神の子”であることを思い出した。


彼は人間としての人生を振り返る。理不尽と暴力、そして一片の希望さえも許されない人生だった。

彼の口から言葉が漏れる。


「人間の種族神か。ならば存分に破壊から始めるべきだろう。このクソ種族は守るべき価値から

 作り出してやろう。面白い。実に面白い。あははははは」


純粋培養された『隣の神の子』は、変わり果てた彼の深く黒い感情に震え上がり、言葉を失っていた。


人類を最も憎む人類の種族神。

「人類アンチ種族神」の誕生の瞬間だった。

2025年12月25日木曜日

活動レポート 2025年11月

管理人の緑茶です。こんばんは!

 

遅くなりましたが、今回は先月の活動レポートとなります。


【実績】

作家関連のお仕事は・・・・0(ZERO!)

今月も安定の0!(ZERO!)でした。


【雑感】

『レビューの話題』-------------------

秋アニメ終了に伴い、レビュー数は控えめとなりました。今回は日記記事を増やしすぎないよう、劇場版のレビューを掲載する方針で調整しています。日記も人気がないわけではありませんが、連続するとネタが弱くなりがちなので、趣向を変えてみました。読者の皆様に少しでも楽しんでいただければ幸いです。劇場版レビューは思った以上に伸びたので、今後も不定期で扱っていきたいと思います。


『DQXの話題』-------------------

最近はなかなかログインできていません。シナリオを始めると時間がかかることが分かっているので、どうしても未着手になりがちです。ゲーム開始から終了まで5分程度で済むコンテンツなら気軽に楽しめるのですが、そうなると日替わり・週替わり討伐くらいしかなく、プレイから遠ざかってしまっています。遊びたい気持ちは強いのですが、隙間時間が取れないのが実情です。加えて、ゲーム内ストレージ(かばんや装備枠)が常に一杯で、まず整理から始めなければならないのも腰が重くなる原因です(笑)


『YouTubeの話題』-------------------

春野菜の準備に向けて、農業系のチャンネルを色々と視聴していました。最近は真偽不明の動画が増えている印象です。たとえば、袋の側面に穴を開けて、ジャガイモを上下左右から育てて収穫量を増やすという内容の動画がありました。しかし、芽は基本的に重力と逆方向にしか伸びないため、理屈としてはかなり無理があります。浅く植えることで横から芽を出す可能性はありますが、それでは収穫量が減ってしまうため、現実的とは言い難いと感じました。


『小説の話題』-------------------

「人類アンチ種族神」を週一で更新しています。本サイトではすでに次の章に突入していますが、外部サイトでは年末前に前章がきれいに終わるよう調整できました。年末年始には「ふりかえり版」を掲載予定で、ほぼ予定通りの進行です。山場を連休に合わせたり、話が途切れないよう2日連続で更新したりと、読者に読まれやすい工夫を意識して取り組んでいます。それ自体も良い経験として楽しめています。


『その他の話題』-------------------

もう今年も終わりが近づいています。今年は本当にチャレンジの多い一年でした。うまくいったことも、そうでなかったこともありますが、実のある年だったと感じています。家庭菜園関連の活動が少し弱かったのと、リアルの多忙によりNサークルの活動に迷惑をかけてしまった点は反省です。来年もどうぞよろしくお願いいたします。



以上で、今回の活動レポートは終了です。


長文にお付き合いいただきありがとうございました!


今月も引き続き更新していきますので、ズズズイッとよろしくお願いします!



2025年12月23日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント②》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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R連隊研究室で偵察ドローンが撮影した映像を見ながら、変人研究者篠原《しのはら》涼音《すずね》の解説を防衛大臣の大仲《おおなか》晴彦《はるひこ》が聞いていたところ、一人の官僚が慌てて研究室に入ってきた。


それは、大荻山が死亡し、私有シェルターの脱出部隊が全滅してから、僅か数分後の出来事だった。


「大仲大臣!!緊急事態です!」


大仲は急いで官僚の元へ駆け寄ると、声を抑えて尋ねた。


「何があった?UFBか?」


「いえ、タラメアです!」


「タラメア?まさか核か!!」


「いえいえ、あの、舞岡議員が独断で……」


事の真相はこうだった。先ほど前触れもなくタラメアの使節団が埼玉の臨時内閣本部を訪問。しかも武装したまま暫く滞在するというのだ。そんな暴挙が許されるはずがない。国際的にも非難されるべき事案で、あり得ない話だった。


だが、使節団の言い分は「この国の舞岡議員の強い要請により、UFBと戦う同盟国の現状を視察に来た」ということだった。


舞岡議員は使節団の案内役として常に同行しており、話を聞くこともできない。国会にも「同盟国アドバイザー」という形で出席する意向で事実上、本会議の場で外交戦略についての話し合いは不可能になったというのだ。


大仲は愕然とするとともに、あまりにも節操のないタラメアに怒りが沸き上がった。


「同盟国でも武装して内閣本部に滞在するなどあり得ない!防衛大臣として即座に退去を要請する!!この非常時にタラメアまで相手にしていられるか!!」


つい、声が大きくなる。すると研究室の吊り下げ式のモニターにAI画像の男が現れた。AI男は無機質な合成音声で話し始めた。


「篠原です。大臣、まずは冷静に。舞岡議員の独断とはいえ、建前上はお招きした客人です。対処を誤れば代償は大きい。彼らの狙いは明白です。自衛隊の監視です。まずは情報の秘匿です。この研究所の場所を悟られてはいけません。ここには多くの秘匿情報が……」


プツン


突然映像が切れた。


入れ替わるように、入り口の方に、信じられない光景が現れた。


「ミチニ マヨッテイタラ ナニヤラ スゴイ トコロニ ツキマシタ。コンニチハ ミスター大仲」


官僚は座り込み、その人物の名前を口にした。


「タラメア使節団のリーク大佐ッ」


その様子を見て、リーク大佐は親しげに声をかけた。


「ココハ ドコデスカ?」


大仲がすぐに矢面に立った。


「リーク大佐。あなたはタラメア合衆国の情報部配属のはず。見当はついているのでしょう。そもそも入り口や通路に多くの警備兵がいたはずですが、道に迷うなんて不思議ですね」


リーク大佐は悪びれる様子もない。


「オー! キョウダーイ ココハ ドコデスカ?」


明確な煽りに大仲は乗らなかった。


「どうやって、というのはやめましょう。ここには外に出せない情報があります。つまり秘匿施設なのです。同盟国とはいえ、防衛大臣として立ち入りを許可できません!」


リーク大佐は退く気配もなく話を続けた。


「ハーン? キョウダーイ ココハ ドコデスカ?」


「大佐。そのウソくさい日本語もやめていただきたい。私は防衛大臣です。あなたのことは存じております」


リーク大佐の声のトーンが変わった。


「なら話は早いですね。何度要求しても怪物の情報を出さない!あんたは、いやこの国は合衆国の友人だろう?ならば情報を共有すべきだ。今すぐに。これはタラメア大統領の言葉だと思ってもらって構わない」



大統領の言葉。つまり断れば同盟に亀裂が入る。大仲の一存ではさすがに判断できない事案であった。だが、リーク大佐は「今見せろ」と譲る気配はなかった。


1分… 大仲は言葉に言葉を重ね、この場をしのごうと脳をフル稼働させていた。沈黙が続いた。


しびれを切らした大佐が沈黙を破った。


「大臣。この国にはあなたの家族もいる。”同盟国”として、居場所も把握している。大丈夫、怪物の情報をくれれば”友人として”我が国が安全を保障しよう」


「さぁ友人よ。情報を今すぐ開示してくれ」


大仲の顔がこわばった。


「ぬうう」


つくろう言葉は見つからず、絞り出した声は感情だけが前に出た絞りカスのような声だった。


そこへ篠原が現れた。胸には「山口」と書かれたプレート。どうやら状況を察して偽装したようだ。


そして、わざとらしく大声で叫んだ。


「きゃぁぁ!こんなところに外人さんが!オラこわいだぁぁ!」


そういうと、手元にあった資料を取ってはバラバラに裂いてリーク大佐に投げつけた。

そばにいた、R連隊隊長、足立《あだち》昭介《しょうすけ》は仲原《なかばら》香《かおり》三佐にアイコンタクトを送った。


すると、仲原も暴れだした。


「こら!山口!山口さん!落ち着いて!!こちらは使節団のリーク大佐よ!怖くないわ!」


そう言いながら、手元にあったUSBメモリーなどの記録媒体を破壊しては投げつけ始めた。


足立も黙って見ているようで、足元に転がってきたSSD記録機器などを踏みつぶした。


大仲も気が付いた。


ーーこれは整理された情報を乱雑に混ぜることで時間を稼ぐ作戦だと。


そして同調した。


「仲原!山口!何をしている!今すぐヤメタマエ!」


当然止まることはなかった。


だが、茶番は長くは続かなかった。リーク大佐は胸元につけた銃のホルダーを見せ、大きな声で場を制した。


「小細工はやめろ!山口とかいう女!室長の篠原を連れてこい!」


山口(篠原)はぺたんと尻もちをついた。


その瞬間、再びモニターが映り、AI画像の男が現れた。


「室長の篠原です。初めまして。私は秘匿扱いのためこの姿で失礼する。情報はすぐにお渡しします。その代わり、この研究室のことは内密にお願いしたい。できないときは私が全て消去し、私も死にます」


大佐は初めて表情から余裕が消えた。


篠原の噂は大佐も知っていた。タラメアの分析結果としても常識がない人物である。全データを本当に消しかねない。その不安が思考を鈍らせる。


答えを聞かず、AI篠原は進めた。


「あなたを信頼しましょう。後ろの大型モニターに我々の解析結果を表示します。ご自由に撮影してお持ち帰りください。カメラは山口がお渡しします」


すると山口(篠原)がポケットからデジタルカメラを取り出すと、大佐に手渡した。


大佐は山口を睨みつけるとーー


「この女、やはり冷静じゃないか。このリークに馬鹿な芝居をするなんて、いい胆力だ。お前、タラメアに来るか?」


その言葉に、後ずさりし、また座り込む山口(篠原)。


それをみて上機嫌な大佐はデジカメの電源を入れる。すると、大型モニターにUFBの情報が映し出された。


AI篠原が補足した。


「そのデジカメは研究所用のものです。記録画像は3時間で自動消去されます。モニター情報を撮影したら、手早く本国へ送信されるとよいでしょう」


映し出されたUFBの情報を見て大仲は驚いた。


2025年12月21日日曜日

年末年始のお知らせ

本日は当サイトの年末年始のスケジュールをお知らせします。

今年も年末の休暇日が長いので、里帰りのため変則的になります。


外部サイトと同期をとって、小説の作者再編集版を休載日を中心に更新します。

数万文字の内容をギュッと圧縮して「これまでのあらすじ」的な内容になります。

この機会に、本作の序章などに触れて頂ければ幸いです。

最初のころの文章は凝りすぎて読みにくい部分もあったので、再編集版では読みやすくなっていると思います。(一部のミスも修正しています)


28日までは通常通りの更新となります。


28日(日曜日) 掲載日 → 小説】人類アンチ種族神(振り返り:序章①)

29日(月曜日) 休載日 → 【小説】人類アンチ種族神(振り返り:序章②)

30日(火曜日) 掲載日 → 休載日

31日(水曜日) 休載日 → 休載日

01日(木曜日) 掲載日 → 掲載日(新年のご挨拶)

02日(金曜日) 休載日 → 【小説】人類アンチ種族神(振り返り:対決①)

03日(土曜日) 休載日 → 【小説】人類アンチ種族神(振り返り:対決②)

04日(日曜日) 掲載日 → 休載日

05日(月曜日) 休載日 → 休載日

06日(火曜日) 掲載日 → 掲載日

…⇒ 以降通常通り


以降、通常スケジュールとなります。30日は休載になってしますが、申し訳ございません。ご容赦頂ければと思います。

記事に関するDMやコメントに関しては5日以降に確認する形になりますので、ご了承お願い致します。


では、今年もあとわずかですが、本年も最後までよろしくお願いします!

2025年12月18日木曜日

機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム(レビュー)〔Netflix独占配信〕

 <あらすじ>

一年戦争期の東ヨーロッパ戦線を舞台に、新兵器モビルスーツの投入でジオン優勢だった戦局が大きく揺らぐ中、物語は進みます。

ジオン軍の宇宙降下部隊「レッド・ウルフ隊」は、地球連邦軍の最新鋭モビルスーツ「ガンダム」に追撃されながらも、生き残りを図ります。


<レビュー>

本作は、地上にいるジオン側の視点で初代『機動戦士ガンダム』の世界を描いたシリーズです。最終話とそれ以外のエピソードの色合いが大きく異なり、最終話以外は“怪獣映画的”な演出が強い印象でした。“ガンダムらしさ”が最も濃いのは最終話だったと思います。


とはいえ、エンタメとしての推進力は非常に高いです。映画ではなく連続ものにもかかわらず、中だるみなく視聴を引っ張る構成で、毎話しっかり次を見たくなる作りでした。


とりわけ印象的なのは、ガンダムを“無敵の怪獣”として描く視点です。ガンダム登場前には圧倒的だったザクでさえ歯が立たず、逃げても逃げても追ってくる“鉄の怪獣”としての脅威が、ジオン側の恐怖体験としてよく伝わります。「連邦の切り札」を“未知の天災”として提示する手法は、既存ファンにも新鮮に映りました。


一方で、人物や背景のCG表現はやや気になります。メカには十分なリソースが投下されている反面、人間キャラクターのモーションやリップシンク(発話と口の動きの同期)、視線や表情芝居がやや旧世代的に見えるカットが散見されました。メカは抜群に格好いいだけに、このギャップは少し惜しいところです。


演出面では“強襲”展開の頻度が高く、数回重なると先読みが効いてしまう点も気になりました。緊張感維持のための演出であることは理解しますが、強襲以外の揺さぶり(人的ドラマや状況戦術の駆け引き)をもう一手増やすと、恐怖の質にバリエーションが出たはずです。たとえば、モビルスーツ戦だけでなく、生身の人間の判断が勝敗を左右する“地上戦の息づかい”を強調すれば、違ったドキドキ感を提供できたように感じます。


細かな指摘はあるものの、結局は一気見してしまう面白さが勝りました。年末年始に腰を据えて楽しむのにぴったりの一本だと思います。