2025年7月15日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑦ 救出作戦2》

神災《じんさい》から35日が経過した。


内閣シェルター内の防衛省会議室。


防衛省の制服組、秘匿兵器開発部門の責任者が大きな声が超高性能防音室の壁面に吸収されていく。


「認められるわけがないでしょう!!!」


「他国からの攻撃に備えた、ロングレンジ・レールガンを10台も東京に集めるのは不可能です!」


怒りの矛先は防衛大臣の大仲《おおなか》である。先日失敗した救出作戦の第2回の準備に

本土防衛用の射程の長いレールガン。もちろん超極秘兵器を10台も投入するというのだ。


他国に存在を知られることすら禁忌とされているものを、公に出す。

しかも10台も出してしまえば、この国の防衛力を世界に宣伝してしまうことになり、国を守るための重要なカードを

1枚どころか何枚も失うことになりかねない。


しかし大仲も引かなかった。


「前回の戦いで、通常の誘導型レールガンでは射程距離の問題で、UFBに気付かれた場合にUFBとの接触まで30秒しかなく

 多くの犠牲がでました。つまり、今、必要なものは、UFBと距離を置いて安全な後方から長い射程で攻撃できる、ロングレンジな

 レールガンだということです!」


責任者はそれでも納得していない。


「大臣。民意を得て勢いがあるのは存じています。ですが、これは国防用の秘匿兵器です。万が一、マスコミや他国のスパイに

 撮影でもされれば、辞任じゃすみませんよ!大臣の家族にも不幸があるやもしれません。その覚悟はありますか!」


大仲は即答する。


「ある。だが、だからこそ、偽装工作を依頼している。レールガンではなく、迫撃砲に偽装して出してくれと依頼しているのです。

 ロングレンジの迫撃砲なら公開された既存兵器です。問題ないでしょう!」


「ありますよ!東京に10台も集めれば国土防衛網に歪みが生じます。他国に侵略の隙を与えるおつもりか!」


「隙ですか。今、首都である東京がこの状態で隙のない国土防衛網が機能していますか?していませんよ。していたら東京をUFBに

 焼き尽くされたりしていない」


大仲は少しうつ向くと、意を決したように顔を上げて訴えた。


「あまり、こういうことは言いたくなかったのですが、今、多くの人が苦しみ、多数の死者が出ているのは防衛省の失態でしょう!

 少しでも助けられる命を、少しでも救う。その為に兵器を出すのを拒むのは、失態に失態を重ねる行為だと

 なぜわかってもらえないのですか?」



防衛省のトップが防衛相の失態を指摘する。これは正論を盾にした禁じ手である。相手が国家でもテロ組織でも、未確認の生物でも

国土を守るのが防衛相の仕事。今の東京は国土を守れているとは言えない。


責任者は強く大仲を睨む。しかし、言い返す言葉はない。失態を重ねるなと言われ、その責を問うような圧力をかけられれば

彼に残された発言は一つ「YES」だけなのだ。



◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


同日、国会



大仲は連日のように野党から救出作戦失敗の責任を追及されていた。


中心は舞岡議員だ。1日でも早く民間のシェルターへ救出に行くように執拗に攻め立てている。


「大仲大臣。あなた人の心があるんですか?だってそうでしょう。もう一か月も私有シェルターの人々は怪物に怯え、食糧や燃料の残量に怯え

 疲弊しきっていますよ。なぜ救出しないのですか?」


大仲が答えようとすると、遮って舞岡議員は発言を続ける。


「私には分かります、大仲大臣は、神奈川、千葉、埼玉方面の3シェルターに避難した

 一般の人々が助かればよい。大勢の安全のためには少数の犠牲はどうでもいい。そういうことでしょう」


そういうと、自分に正義があるといわんばかりに、質疑の書類をバンと叩いた。

その音に呼応するように、帝都復権党の議員がヤジを入れる。


「それじゃあ独裁者じゃないか!」


「命は数字じゃないんだぞ!」


「全員助けるのが仕事だろう!」


その時、大仲が手を挙げて議長から発言権を得る。


「先ほどですが、次の救出部隊の組成を行いました。詳しい内容は国防上の観点で申し上げられませんが、投入する戦力は小国なら殲滅できる程度です。

 人数も前回の少数精鋭ではなく、1連隊となります。これで必ずや取り残された人々を救出できるでしょう」


この発言に場内が大きくざわついた。


自衛隊の小隊規模の行動であれば、それは救出作戦として容認される通常の活動の範囲である。


しかし、連隊規模となると、通常の活動ではなく内戦である。自国の中で敵性勢力と戦争をするという意思表明なのだ。


大仲はたたみかけた


「兵器も、前回の機動性重視の機動部隊ではなく、各地からロングレンジ・迫撃砲を移送します。射程20㎞です。埼玉から東京23区すべてが射程に入ります」


この発言に与党も驚きを隠せない。


「馬鹿な。射程20㎞の迫撃砲?そんなものはもう短距離弾道ミサイルじゃないか」


「迫撃砲とは、そんなに射程がでるのか?」


「命中精度は大丈夫なのか?」


そこへ、あの秘匿兵器開発部門の責任者が登壇する。


「その点は私からご説明します。この兵器は25式滑空迫撃砲と言います。通常の迫撃砲との違いは弾丸に姿勢制御翼が搭載されていることで、これにより

 自由落下ではなく、あらかじめ狙ったポイントへ自立的に滑空して着弾します」


この答弁はあらかじめ大仲と握っていた嘘である。さすがに20㎞も飛翔する迫撃砲はない。本来のロングレンジ迫撃砲の射程はせいぜい10㎞前後だ。


しかし、舞岡を黙らせるのには十分な材料だった。


「この兵器は出力に比例して、かなりの大型兵器になります。移送に3日。準備に2日。作戦実行は6日後が最短です」


舞岡がすかさず、手を挙げて発言を試みるが、これを大仲が遮る。


「遅い。2日で移送。1日で準備。作戦は4日後に行う」


これも計画通りの発言だ。

そもそも、自走式のロングレンジ・レールガンは半日で埼玉に集められる。しかし、偽装に時間がかかる。これが2日。これを見越して作戦は4日後が最短だと

秘匿兵器開発部門の責任者と話がついているのだ。


こうして、2回目の救出作戦の計画は始まったのだった。


2025年7月14日月曜日

【日記】超かるい日記的なもの ~雑記~

 こんばんは!管理人の緑茶です。

急な寒暖差で風邪をひいてしまい、今日は短めの日記記事になります。(ヘックショイ)


①野菜系

・庭に植えていたゴーヤなんですが、暖かかったせいかすでに実が付き始めています。スーパーで値段をみたところ、まだ一本200円!ゴーヤが金のなる木に見えました(笑)

間もなく8月になれば98円くらいになるんでしょうねー。ゴーヤを生産しているので98円でも最盛期のゴーヤは利益が出ると思います。最盛期はゴーヤの花の独特な匂いが畑に充満し、それこそ見逃して腐らせてしまうくらいに大量にそして高速に育つのです。

②青春ブタ野郎系

・2話まで見ました。ちょっと難しいというか1クールや映画みたいに問題が明確に可視化されず「今何の話?」と聞かれると「アイドルが自分探ししている話」みたいに答えてしまう視聴者が多そうです。

やや“思春期症候群”と結びつけづらく、戸惑うかもしれませんね。読解力と想像力が問われそうな感じです。


③ドラクエ系

・劇場オープンについては活動レポートに書いたので、モンスターバトルロードについて。

毎回思うのですが、耐性が重要なレグナードとか入れないでほしいです。ブレス100にしていないライト勢がしにまくり。かなりストレスを感じているようでした。

あとは報酬系はナーフされたといいますが、あまり気になりませんでした。確かにチケットは減りましたが、だいたいカンストして捨てていることを考えると、チケットはキャンペーンに合わせた金策用になるので多すぎるとキャンペーンがナーフされそうな気がします。


以上です!

やや書きなぐり気味なのと、青春ブタ野郎の酷評がきになりますが、青春ブタ野郎に関しては基本的に面白いという前提の上で、1期目と比べてという意味なので誤解のないようにお願いします!










2025年7月11日金曜日

活動レポート 2025年6月

管理人の緑茶です。こんばんは!

今回は先月の活動レポートとなります。

【実績】

 作家関連のお仕事は・・・・0(ZERO!)

 今月も安定の0!(ZERO!)でした。

【雑感】

『レビューの話題』------------------

春アニメの最終回と夏アニメのレビューを掲載しました。

現在、文章の構成や癖を修正中のため、少々読みづらい部分があるかもしれませんが、できるだけ整理し、分かりやすい記事を目指しています。


青春ブタ野郎シリーズについては、今後〇〇編ごとにレビューしていきたいと思います。

レビューの着眼点がやや偏っていると感じつつも、それを一つの基準として残しつつ、作品ごとに魅力的な視点を加えるスタイルにしていく予定です。


『DQXの話題』------------------

今月はあまり時間が取れず、イベントや週課のみの参加でした。

グランゼドーラの劇場がオープンするそうですが、有料とのことで少し残念です。

100円程度なら試してみようかと思えますが、2200円は普通のライブ配信と同じ価格帯なので、気軽に試すには少々高額です。


個人的には、オープン記念としてドラクエのPVを無料で視聴できるようにして、そこから少額課金に移行する形が理想的だったのではと感じました。

ユーザーのニーズや端末環境を確認した上で、後に「本格配信」として通常料金へ戻す方が商業的にも良さそうです。


また、初心者向けの初心者講座の無料シアターと、有料シアターを分けてもよかったのではとも思います。


『YouTubeの話題』----------------

「鳥人間コンテスト」を視聴しました。

海外版もあるようで、海外はエンタメ要素が強く、日本は技術力重視の傾向があるなど、同じテーマでも見せ方が大きく異なるのが興味深かったです。


技術といえば、過去には「ヘリコプター部門」なるものも存在していました。

個人や団体で挑むには超高難度で、離陸の難しさや、羽の回転と本体の回転を相殺する制御技術など、個人で搭載するには難易度が高すぎたようです。

現在では部門自体が消滅しているようですが、当時の挑戦は非常に面白いものでした。


『小説の話題』----------------

「人類アンチ種族神」を週1で投稿中です。

構想から執筆まで非常に難航しており、読みやすさ、描写のわかりやすさ、キャラの魅力、シナリオの緩急など、毎回試行錯誤の連続です。


ChatGPTにも添削を頼んでいますが、誤字脱字を見逃したり、意図的な比喩表現を「誤り」と指摘したりするため、頼りすぎは禁物。

あくまで校正ツールの一つとして捉えるのが良さそうです。


『その他の話題』----------------

米の価格高騰が話題になっていましたが、大臣交代後に一気に値下がりし始めました。

急な変化には裏があるのではと少し心配になります。


近くのスーパーでは、備蓄米が通常通りに並ぶようになりましたが、一般の米と比べて値段のインパクトが大きいためか、別コーナーで販売されていました。

しかし、レジで備蓄米を持って並んでいたところ、他のお客さんが私の備蓄米を見て購入を切り替えていた場面がありました。

意外と消費者は銘柄にそこまでこだわっていないのかもしれませんね。


ちなみに備蓄米、普通に美味しかったです。ただし、夜に炊いて朝食べると味が少し落ちるので、食べきるか冷凍するのがおすすめです。

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 以上で今回の活動レポートは終わりです。
 
 それでは長文お付き合いありがとうございました!
 
 今月も引き続き更新しますのでズズズイッとよろしくお願いします!!

2025年7月8日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑥ 神の御心》

◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆

〈デスランド、神の居城の王座――神災から27日目〉

――これは、まだ誰も知らない上空の出来事。


神である俺は、居城の王座に座り少しぼんやりしていた。

何度かヴァロンから人間達の蹂躙状況を聞く。

しかし、人間としていて生きた時代に受けた悪意は、神の力で断罪した。

その結末が俺から人間達への興味を失わせる。


「暇だ。暇だぁぁぁ!」


つい声として出てしまうくらいに俺は暇を持て余している。

俺が作り出したガーゴイル。1体で人間3人分の戦力に相当する。

これが50万も放たれたのだ。東京は掌中に収めたといって過言ではない。

散発的に行われる人間の反撃も、俺やヴァロン達が手を出すほどの脅威もなく

遭遇の報告を聞いて、意識を向けてみた時には、早々に人間側は全滅していた。


その時、現場のガーゴイル達を統率する「ちょっと良いガーゴイル」正式名称は小隊長個体から報告が入った。


「創造主様。未知なる兵器を携えた自衛隊の小隊を発見」


「埼玉方面から、ポイント101の橋へ向かっています」


俺は直ぐに意識を向けた。急がないとまた全滅してしまうからだ。俺にとっては

動画サイトのショート動画程度のエンターテインメントだが、ライブで見れるものは

見て楽しみたい。


意識を向けると、自衛隊の最新鋭兵器を並べた1個小隊が荒川へ向かっていた。

兵器の中にはレールガンまである。昨年ロールアウトしたばかりの兵器を投入するなんて

自衛隊の本気を感じざるを得ない。


俺は即座に指示をだす。小隊長個体だが、知的レベルはヴァロン達とは比較にならない。

当然理解力も乏しいので、ヴァロンを使うよりも俺が直接情報を付加して言葉で命令したほうが早い。


「気づかぬふりをして、2体を荒川付近に潜ませろ。あとは出方を待て」


地図情報や潜伏方法、出方を待つ陣形など細かい部分は情報として直接小隊長の脳へ送る。



やがて、埼玉と東京を分断する荒川の手前で小隊は停止すると、ドローンを飛ばして偵察行動を開始した。


--おいおい。そんな精密機器がエーテルの充満するエリアで使えるはずがないだろう。


俺は暇をつぶしたいがゆえに、最低限だが彼らに協力してやることにした。


--エーテルの濃度を少し下げてやるか。無線が使える程度にしておけば、多少楽しめるだろう。


その後、ドローンを使った弾道誘導で最新兵器が何体かのガーゴイルを倒した。

強じんなガーゴイルも、対戦車を想定した兵器の攻撃が直撃すれば一撃で爆散してしまう。


別にガーゴイルが何体倒されようと俺は気にもとめない。

彼らは定めた規則に沿って動いている生体ロボットに過ぎないからだ。

そもそもエーテルで構成されている肉体なので「生体」と言っても「生体風」なのだが。


彼らに与えた基本概念はこうだ。


1.神の命令は絶対である

2.神への危害/予兆は即時、これを排除する。

3.1.2に反しない限りできるだけ味方を攻撃してはいけない。また可能な限り協力する。

4.1.2.3.を遵守して、人間を襲う


これだけだ。

あとは行動範囲などは神の命令として、今は東京から主体的に出ることを禁じている。


俺は小隊長個体に相手の出方で臨機応変に対応しろと命じてみた。

だが、1体、2体と倒されても指示を出す気配はない。


一方、潜んでいた2体のガーゴイルは自衛隊の発砲音に反応し、撃退を開始した。

これは恐らく「2.神への危害/予兆は即時、これを排除する。」に抵触したからだろう。


自衛隊の最新鋭兵器相手だが、ガーゴイルの性能は素晴らしいものだった。

急降下飛行による加速。

その速度を利用して重い兵器を空中へ持ち上げ、落下させることで破壊した。


自衛隊の二足歩行兵器のカーボン素材を使った自慢の防御性能も、高度50mからの落下は想定していない。

瞬時に近接戦では破壊が難しい相手の弱点を突いた的確な判断である。


それに加え、陣形が崩れた自衛隊の懐に飛び込んで歩兵を狙うことで、自衛隊に立て直す隙を与えない。


計算ではないだろうが、人間を狩る生体兵器としては合格点の戦術だ。


想定外だったのは、自衛隊の中に全滅と同士討ちを天秤にかけ、全滅回避のために仲間ごと機銃でガーゴイルを

薙ぎ払うことができる胆力の持ち主がいたこと。


そして増援が到着する前に、撤退を判断し速やかに撤収した判断力のある人物がいたことだ。


--面白い人間を発見した。


俺は暇つぶしの1シーンから、楽しめそうな素材を見つけてしまった。俺の知る醜悪な人間とは違うタイプの人類。

生かすに足るものか、俺の種族神としての本能が好奇心で踊っていた。


さらにもう一つ、今回の戦闘で小隊長個体の性能不足も明らかになった。

まず判断が遅い。判断しても配下への命令が曖昧で「増援に行け」としか命令せず、配下は飛行するのか歩いていくのか

そもそもどの地点に増援に行くのか混乱を極めていた。


結局、増援が到着したころには2体のガーゴイルは倒れ、自衛隊は撤退していた。


改善の余地がある。創造主としての俺も少し楽しくなってきた。

2025年7月6日日曜日

青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない 1話(新)

 <あらすじ>

大学に入学して半年。

高校時代からの友人や恋人である桜島麻衣に加え、新たな出会いも得て、

穏やかなキャンパスライフを過ごしていた梓川咲太。

しかし、授業に現れた卯月の様子に、咲太は違和感を覚える――。


<レビュー>

ついに始まりました、今期の注目作品です。


まずは楽曲面から。前期のキャッチーな印象とは異なり、今期はやや大衆向けに寄せた印象です。

オープニング・エンディングともに、何度聴いても耳に心地よく、疲れない楽曲構成となっています。

これは、制作サイドの方針が「尖った深夜アニメ」から「ヒットを狙う深夜アニメ」へと変化した結果とも言えそうです。


作画についても、SNS上では細かな意見も見られますが、全体的に非常に高いクオリティです。

特にキャラクターの動きには、制作者のこだわりが随所に感じられ、深夜アニメとは思えないレベルのアニメーションでした。

また、舞台が高校から大学へと移ったことに合わせて、登場人物たちの年齢的な成長も丁寧に描かれており、

もともと大人っぽかったヒロインたちを老けさせることなく、美しく成長させた描き分けにはアニメーターの技術力と作品への情熱を感じました。


物語的には第1話ということで、新キャラを含めた登場人物の導入と、新章の幕開けをほんの少し見せる構成となっており、

詳細なキャラ紹介こそありませんが、「サンタクロースの夢を見ない」から視聴を始めた新規層にも、

最低限の関係性が理解できるよう工夫されており、既存ファンにも新規視聴者にも配慮された構成でした。


印象的な演出として、サンタクロース姿の女性も登場し、視聴者の知的好奇心を刺激しながら第1話を終えています。

今後の展開が楽しみになる、期待値の高い導入でした。


期待を裏切らない完成度の高い作品ですので、ぜひ配信サイトなどで視聴してみてはいかがでしょうか。

非常におすすめです!



2025年7月3日木曜日

アポカリプスホテル(終)

<あらすじ>

人類がいなくなり、長い年月が流れた地球。

日本の首都・東京の銀座にあるホテル『銀河楼』では、

ホテリエロボットのヤチヨと従業員ロボットたちが、

オーナーの帰還と、再び人類のお客様を迎える日を待っていた。


そしてついに、人類が帰還する。


<レビュー>

地球に取り残された職業ロボットたちの、ほぼ永遠にも思える日常を描いた作品です。

地球外生命体との接触をきっかけに、止まっていた時間が動き出し、次第に活気が戻ってきます。


その様子を、ヤチヨの視点からコミカルに描いた物語でした。

派手なバトルはありませんが、ホテル業務を愚直に繰り返すヤチヨが、

少しずつ人間のような感情を持ち始め、ロボットでありながら悩んだり喜んだりする姿には、

コミカルな作風の中にも深い感動がありました。


最終話直前までは「人類滅亡ルートか?」と思わせる展開でしたが、

実は人類は惑星間航行船で生き延びており、健在でした。


しかも、それなりの人数と文明も維持していることが判明します。

しかし、長年地球を離れ、整備された船内で生活していたことから、

人類は汚染耐性を大きく失っていました。

現在の地球は徹底的に浄化され、かつてないほどきれいな大気が充満しているにもかかわらず、

人類が宇宙服を脱いだ瞬間、アレルギー反応により倒れてしまうのです。


それでも、宇宙服を着用すれば滞在できることが証明され、

ヤチヨたちは「母星としての地球」ではなく「宿泊先=ホテルとしての地球」を提案し、

人類との新たな関係性を築くことになります。


視聴者としては、「人類が戻らなければロボットの修理もできない」という前提がある中で、

観光客という形でも人類との接点が生まれたことで、ヤチヨたちの“未来の安心”が担保されたように感じられ、

とても心地よい読後感を残す作品でした。


派手な展開はありませんが、どのエピソードもテーマ性に富んでおり、興味深く視聴できました。

配信などで視聴してみてはいかがでしょうか。




2025年7月1日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑤ 代償と推論》

神災《じんさい》から30日が経過した。


埼玉側シェルター内の救出部隊待機室。


部下を15人も失った隊長の足立《あだち》 昭介《しょうすけ》は、あの日のガーゴイルとの戦いの映像を寝る間もなく凝視していた。

そこへ副隊長の仲原《なかばら》香《かおり》三佐がやってきた。


仲原は純粋に驚いた。足立の一人反省会は24時間、不眠のはずなのに、いまだ続いていた。



「隊長。まだ見てるんですか?交戦時間はたったの180秒ですよ。そんなに見直しても死んだ隊員は返ってきませんよ」


「わかってる。だが15人も失ったんだ。この180秒からできる限りヤツらの情報を入手するんだ」


目が座って、クマができた足立の表情。だが目の奥には怒りにも似た何か執念のようなものが輝いていた。


「しかし、180秒の映像ではほとんど何も分からないと分析チームも言ってますが……」


足立は仲原の方を振り返るとモニターを指さした。

足立の分析はこうだ。


1.ガーゴイルの敵認識の能力


 「では三佐。ガーゴイルは対岸いた。我々の発砲音に気が付いて上空に上がって視認したあと、一直線に襲っている。これをどう見る?」


 「音に反応して、飛び上がり、即座に我々を認識する視力を持っている。つまり、音が聞こえる。離陸能力が高い。視力もよい。こんなところでしょうか?」


 足立はため息をつくと、慣れた手つきでガーゴイルの映像を拡大した。


 「まず、敵は未知の生物だ。そこから弱点を探さねばならない。このシーンで分かるやつらの弱点は、目視しないと敵の位置を把握できないということだ。

  当たり前のようだが、コウモリのように視覚以外の空間把握器官がないことがわかる」


 ⇒【つまり、ヤツラも目に頼っている】


2.ガーゴイルの飛行性能


 「それだけではない。飛び上がった時の高度にも疑問がある。荒川の周囲一帯を見渡すために上昇したとしても高度が高すぎる。高度を上げすぎれば我々からも発見しやすく

  我々との直線距離も伸びてしまう。なのになぜ、ここまで上昇した?」


 「知性がないからですか?」


 「かもしれん、三佐はタカを知っているか?タカという鳥は、高速で獲物を狩るイメージがあるが、じつは水平飛行は80km/hくらいなんだ。だが、急降下飛行になると

  300km/hを超える。奴らは並行飛行が苦手で急降下したかったというのが私の仮説だ」


 「確かに……こうしてみると上昇時の映像がなく、憶測にはなりますが我々を視認してから急降下しているように見えます。この速度が異常に早く我々の陣形を崩しました」


 ⇒【水平飛行は苦手。急降下することで速度を得る】


3.ガーゴイルの陣形


 「このシーンではまだわかることがあるぞ」


 「まだあるんですか?」


 「ああ、これは偵察の情報との合わせ技なんだが、ヤツラは荒川の対岸付近にいた。そして作戦前の偵察情報をもとにした観測地点の地図がこれだ」


 「!!見事に荒川を挟んで埼玉側に1匹もいませんね」


 「そうだ。人間の軍隊なら渡河《とか》の問題があるだろうが、飛行できるヤツらがなぜ荒川を超えない?」


 「縄張りですかね?」


 「かもしれん。だが我々を発見したら躊躇なく超えてきた。これは縄張りというより防衛線。つまり指揮系統が存在すると見て取れないか?」


 ⇒【荒川を境界線とした防衛陣形】


4.ガーゴイルの知的レベル


 「そうなると、ヤツラの知性は相当高いことになりますよ?」

 

 「そうだ、でだ、次に我々が強襲されているシーンだ。2体のガーゴイルに蹂躙された形だが、二体の位置取りと向きを見て何か感じないか?」


 「……これは、互いに背中を守りながら機動的に、連携して戦っている???」


 「ああ、訓練されたものではないが、味方を認識し背後を互いにカバーしている。少なくとも霊長類クラス。もしくはライオンのような高度な集団戦闘技術が必要だ。」


 「加えて、この戦闘でヤツラは一度も炎を吐いていない。これも同士討ちを警戒したとみれば妥当な行動だと思わないか?」


 「そうですね。私も格闘技の経験がありますが、味方との協力戦闘は瞬発的な判断能力や相手の行動予測などの知性が問われます」


 ⇒【霊長類クラスの知性。もしくは集団戦に長けた戦闘技術を持っている】


5.導き出した答え


 「だとすれば、どうだ。指揮官、もしくは群れのリーダーがどこかにいて、これを叩けばーー」


 「そうだ。統制を失い瓦解する可能性もある!」


 仲原は興奮した面持ちで、立ち上がる。


 「すぐにこの情報を大仲大臣に!」


 だが、足立はそれを静止した。


 「まだだ、まだ情報が得られるはずだ。もっと決定的な何かを探すんだ!」


二人の分析は明け方まで続くのであった。



◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆  


その頃、帝都復権党本部。


極秘に引かれた光ファイバーを使用し私設のシェルターと党本部で話し合いが行われた。


帝都復権党からは舞岡氏。シェルター側の代表は、日本有数の実力者、大荻山《おおぎやま》 剛三郎《ごうざぶろう》である。


大荻山は、淡々と話を進めた。


「昨日の救出作戦。これはどういうことですか?池袋に最短でくるルートと聞いていますが、荒川も渡れず撤退したそうですが?」


大荻山は帝都復権党の資金源として、大きな影響力があり、舞岡の議員バッジを取り上げることなど簡単にできる。

それゆえに、舞岡は対応に苦しんでいる。


「そのことですが、防衛省の大仲議員が一般の避難民の安全を優先するので、救出部隊の規模が小さく、この件は本日の国会で追及いたします」


「一般人ねぇ。その一般人の生活を支えているのは誰ですか?経済を回して衣食住を提供しているのは誰ですか?守るべき対象を間違えていると思わないかね?」


「そうなんです!あの、大仲議員は大衆ウケばかりで、救うべき人々を間違っている。私は何度も国会で提言しましたが、全く聞く耳を持たず。ですから救出作戦の失敗も大仲議員の失策でして、私は帝都復権党として大荻山さんを一番に助けられるように計画を作っているのですが、大仲議員が邪魔をするので進まないのです!」


大荻山はやや低いトーンで舞岡に迫る。


「1日に3億だ。私が動かしていたカネだ。このカネが動かせない状況を賢い君ならわかるだろう。舞岡君。きみが最優先にすべきことは何かね?」


怯えた様子の舞岡は苦し紛れに答えを返す。


「ですが、自衛隊は防衛大臣の管轄です。せめて防衛大臣が大仲でなければ……!!!!」


数秒の沈黙が重鎮の思考を感じさせる。


「大仲か。ふむ嫌いではなかったが」