<あらすじ>
就職を目前に控えた青年・灰原夏希。
かつて高校デビューに失敗して以来、灰色の青春時代を過ごしてきた夏希は、ある日、突然大学4年生から高校入学直前にタイムリープしていた!?
果たして夏希は、憧れの青春をやり直せるのか――!?
<レビュー>
過去に戻って努力を重ね、高校デビューを成功させ、灰色の過去に色を与える。
テーマとしては既視感がありますが、面白い作品でした。
青春と言えば恋愛。
しかし本作では、恋愛もダブルヒロイン状態になったり、そのせいで一周目とは違う形で友人とギクシャクしたりと、キャラクターの感情がとてもよく出ていました。
題材は鉄板でしたが、内容は頭一つ抜けた作品だったと思います。
また、制作サイドがやりたかったことが非常に分かりやすい作品でもありました。
最終話のライブシーンに向けて、数話かけて伏線を張り、動きの良い凝ったカットを多用したライブシーンでヒロインが涙する。
この着地は、
「ああ、これがこの作品でやりたかったシーンなんだな」
と強く印象に残りました。
ただ、ここまでライブシーンにこだわるのであれば、前半で培った友人たちも参加させるべきだったのではないかと思います。
ライブ編に入ってから登場する「ドラム先輩」や「ベースの級友」、そして少し前から匂わせで出ていたボーカル。
キャラクターの心情自体はしっかり描かれています。
しかし、アニメ1クールの流れだけで見ると、前半の友人グループとのつながりが薄く、ライブ編のために登場したキャラクターという印象が強く残りました。
しかも、それぞれのキャラクターがきちんと立っているぶん、前半の友人グループを押しのけるように参加してくる印象もあります。
ここは、少し疑問の残る形でした。
ライブ編用のキャラクターを出すこと自体が悪いとは思いません。
ただ、キャラクターの分断が強く、作品全体の一体感は少し薄れてしまったように感じます。
ライブシーンが素晴らしいだけに、ここには前半の友人たちも参加してほしかったです。
色々と共に経験した友人たち。
そしてヒロインたち。
そこに「ドラム先輩」や「ベースの級友」が加わり、ライブで締める。
これなら一体感も、視聴後の爽快感も、素晴らしいライブ映像と重なって、さらに高い満足度を得られたと思います。
ここまで少し厳しい評価を書きましたが、全体として面白かったのは確かです。
アニメ以降も原作には続きがあるので、続編への匂わせも入れつつ、ライブ、告白、憧れのヒロインとの交際開始で終幕。
終わり方はとても綺麗でした。
ライブには出ていませんが、前半の友人たちの姿も描かれ、新しい人間関係を感じさせる前向きな最終回は、個人的に好きな部類です。
幼馴染による「第2期への引き」は少しあります。
それでも、『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』は、色を取り戻し、灰色ではなく色鮮やかな世界になったところで終わりました。
ちゃんと終われる。
当たり前のようですが、視聴者に一つの結末をくれる、素晴らしい作品だったと思います。
ライブシーンの作画は、クリエイターの頑張りが感じられる場面です。
その部分だけでもおすすめです。
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