<あらすじ>
愛川素直の身代わりとして、目立たないように日常をやり過ごす『レプリカ』のナオ。
素直が行きたくないときは代わりに学校に行き、勉強や運動を頑張るのも、すべてはオリジナルである素直を助けるため……。
それなのに――ある日、恋に落ちてしまう。
<レビュー>
※以下、アニメ序盤以降の展開に触れています。未視聴の方はご注意ください。
謎の力で愛川素直のレプリカとして呼び出される主人公の、不思議な青春を描く物語です。
前回のレビューでは、オリジナルである愛川素直と主人公ナオの関係性が、変わり始めた兆しについて書きました。
どうやら愛川素直は、ナオと共存する道を選ぶようです。
さぼりがちだった勉強にも積極的に取り組み、学校へも真面目に通うようになりました。
表面上の展開はすごく良いです。
しかし、作品としては不穏です。
まず、同じレプリカだった涼先輩は、全校生徒の前で消えました。
これは、入院中のオリジナルが死亡したためだと作中で明かされます。
全校生徒の前で突然消えたのですから、本来なら大騒ぎになります。
しかし、「魂になってお別れに来てくれた」という解釈で収まっていきます。
けれど、レプリカであるナオは違います。
涼がレプリカであること。
そして、オリジナルの死によって消えたこと。
その両方を理解しています。
ナオにとっては、先輩の死ではなく、同族の死です。
どれだけオリジナルに尽くしても、どれだけレプリカが頑張っても、越えられない壁がある。
ナオはそこを突きつけられたように見えます。
この描写は、以前ナオが電車にはねられて死んだものの、オリジナルが無事だったため復活できた、というポジティブな出来事への反証になっています。
オリジナルが無事なら、ナオは戻ってこられる。
しかし、オリジナルが死ねば、レプリカは消える。
いつ消えるか分からない。
この事実を視聴者にあえて見せる理由が、とても怖く感じました。
そして、その恐怖を補強する状況もあります。
愛川素直が、嫌なことをレプリカに任せず、自分でやるようになりました。
これは人間的な成長です。
しかし同時に、その成長こそが、ナオの存在理由を揺らしているようにも見えます。
ナオは、愛川素直が嫌なことから逃避するために呼び出されるレプリカです。
まだ精神的に不安定で幼い愛川素直の弱い部分が、ナオの存在理由でもあります。
もし愛川素直が成長し、精神的に安定し、ナオを必要としなくなったとき。
それが無自覚かもしれませんし、自覚してのことかもしれませんが、ナオはどうなってしまうのでしょうか。
涼先輩の消失は、その答えを暗示しているようにも見えました。
表面上は、素直とナオの関係が良い方向へ進んでいる。
けれど、その先に待っているものが本当に幸せなのかは、まだ分からない。
そう思わせる、怖いエピソードでした。
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