※人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑮_5/5_神の毒》を掲載しますが
まだ、私が納得していない状態ですので、途中までとなります。
最後の最後、結末部分は納得がいくまで推敲して、改めて掲載します。
神は余裕の表情のままヴァロンに話しかけた。
「な、面白いだろ?ヴァロン。この感じだと、他にもいろいろ感づいてそうだぜ?まだ続けさせるかい?」
ヴァロンは足立と仲原を僅かに目の端でとらえると。
「いえ。これ以上は。代行者としての素質はゼロではなさそうです」
口調は穏やかだが、明らかにヴァロンの表情は厳しい。
篠原はこれを見て、神の方へ振り返り、満面の笑みのまま切り出した。
「証明は出来たようですがぁ、私が代行者になるかどうかはぁ、実はまだ迷っていますぅ」
ヴァロンが小声でうなる。
「……対立候補を潰しておいて保留?神を相手に、よくもそこまで言えたものだ。」
神は余裕のまま、優しく篠原に微笑んだ。その表情は、少なくともサーチの知る神が人間へ向けるものではなかった。サーチはこの光景に違和感と困惑を覚えヴァロンに人間側に聞こえないようにエーテル通信で尋ねた。
「ヴァロン。あの神様が、ここまで好き勝手に立ち回る彼女に激昂しないのは何故でしょう?まさか他の代行者候補が決まっているのですか?」
「いや、代行者には、神との相性適正がある。我らの神と適正のある代行者は世界レベルでも数人のはず。それはない。だが、神は彼女を代行者にするつもりだ。いや、彼女が代行者になれば他はどうでもいい。そう見えるな」
「そうですか、神様の余裕は本物のようです。交渉の状況としては悪いはずなのに……」
「サーチ、神に怒りの感情が見えたらすぐに知らせてくれ。神のために我々が人間どもを守らねば。私があの男の軍人(足立)を、サーチは女の軍人(仲原)を、ベルガンは篠原を守れ。分かったな」
3眷属が目くばせを交えて交信している姿を見て、少し嬉しそうな神。そのまま本題に入る。
「迷っている?交渉としてはイマイチだなぁ。その演出をするのならば大荻山は残すべきだった。全員脱落させたら、本気度がバレちゃうだろ。で、代行者になる条件はなんだい?人類の保護はダメだよ。試練を課して守るべき種族か引き続き観察してくれないと困るからね」
「大荻山はぁ、実はちょっと想定外でしたぁ。自滅はすると思いましたが、まさか神の情報を他人に口外して信じてもらえると思うなんてぇ、雑でもいいので、相手の反応を一手先まで想像すれば、意味のなさに気が付くと思ったのにぃ」
「予定よりも早く退場してしまったのでぇ、ちょっと焦りましたぁ」
その笑顔はスッと消えると篠原はトーンを落として神へ告げた。
「な・の・で、単刀直入に言いますねぇ。足立隊長と仲原三佐、この二人も代行者にしてください。私ってぇ人類を導いたり裁いたりするタイプじゃないんですぅ。神様ならご存じだと思いますがぁ観察とか実験が私の長所なんですぅ
ということで、足立隊長がぁ試練を作ってぇ私が観察してぇ、仲原三佐が執行する。代行者の役割を分担していいならぁ代行者になってもいいですよぉ」
この発言に反応したのは意外にもベルガンだった。
「おいおい。調子にのってるのか?神聖な代行者を、お友達と分担したいだ?てめぇ。こっちが本当に手を出せないと信じているのなら、指の1・2本折って分からせてもいいんだぜ?」
ヴァロンは表情を変えず、サーチの通信網に意識を乗せた。
「止めろベルガン。こちらの格が下がる。だがもう今さらだ。だったら脅すのなら指ではない。目だ。目を潰すと言ってみろ」
ベルガンは腕をすぅっと上げると篠原を指さした。そして
「えーっと、ああ、それとも、その大きな瞳を、潰して差し上げた方がよいかな?」
篠原は咄嗟に後ずさる。だが、何かに気が付くとヴァロンに向かって、わざと大きな声で言い返した。
「足立隊長!大発見ですぅ!三眷属は音声以外の通信手段を持ってますぅ!」
ヴァロンが思わず口を挟む。
「何を根拠に!まだ、何か駆け引きでもしたいのかな?」
篠原はヴァロンに振り向くと、ニヤリと笑って言い返した。
「特攻隊長君はプライドがあって真っすぐなんです。思考回路は感情と直列で繋がっていますぅ」
「でもぉ、今の発言は感情とぉ行動の間にぃ。観察と思考が入っていますぅ。」
「咄嗟に出る言葉は人格がでますからぁ。この中であれば、これはヴァロンさんの思考回路ですぅ」
ヴァロンの顔が一層険しくなった。
その瞬間、神が声をあげて笑った。
「あはははは。一本取られたな。さて、本題だ。代行者の分割は不可能だ。複数の代行者が対立した場合、神の戦争が始まってしまう。それは世界の終焉だ」
「だが、足立、仲原両名の寿命を代行者とリンクすることは可能だ。本人の同意があれば……だけどな」
篠原が笑顔のまま神の方に振り返る
「同意ですかぁ。そこはぁ強制的にぃできませんかぁー?」
神もまた笑顔で返す。
「出来る。だが、あまたの生命が等しく持つ権利を同意なく奪うことは、その人物に死ぬこと以上の苦しみを課すことになるが、よいのかな?」
篠原は、足立と仲原にゆっくりと視線を送りその表情を観察した。
「隊長はぁ、右の口角が下がってますぅ。仲原さんはぁ、まぁ説明するまでもなく、怒ってますねぇ。はぁ」
視線を天井に向ける篠原、誰に向けるわけでもない言葉が漏れた。
「まぁ、死ねないというのは、普通に嫌ですよね。私ですら孤独な200年は正直さびしい。でもこの瞬間が人類のターニングポイント。間違えるわけにはいかない…かぁ」
覚悟を決めた篠原は神に向けて答えた。
「いいですよ。代行者を引き受けましょう。神様相手に交渉してみましたがぁ、今回は負けを認めますぅ!」
こうして翌日「人神融合の儀」と呼ばれる代行者への権能付与の儀式が行われた。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
デスランドの入り口で待つ三眷属に、篠原そして足立と仲原が招かれた。
足立はその地に足を踏み入れると、一言漏らす
「こんな建造物が空中に浮いていたのか…。中世の城?いや砦?のような構造だな…」
仲原は目を見開いて周囲を警戒しながら呼応する。
「はい。外見は破損していましたが、内部は無傷でした。そんな報告を、津田さんに伝えるのが恐ろしいです」
篠原は興奮しているものの、一人でブツブツと何かを考えていた。
「城は浮いている。でもぉ私たちは城の床を歩いている。装飾品や建造様式も重力を前提とした形状ですぅ。ニュートンもここでは閉口してしまいますねぇ」
3眷属に先導され、儀式の前へ入る。
教会のチャペルのように、並んだ椅子と、1段高い舞台がある空間だ。最前列にはすでに大種族神が座っていた。
篠原はサーチに呼び止められ、足立と仲原は三列目の中央から左側に座るようヴァロンに促される。
ヴァロンとベルガンは三列目の右側に座った。
すると空いていた、席に様々な形の光の塊がポポポッと現れる。塊は次第に人の形に変化し、全ての座席を埋め尽くした。
すると舞台袖から神が現れて、中央で一礼すると。こう宣言した。
「私は罰を受け200年の間、眠ります。その間の代行者をこれより誕生させましょう。人神融合の儀を執り行います。候補者前へ」
その言葉を合図に、儀式の間の照明は落ち、篠原にスポットライトが当たる。いつの間にか篠原の服は白いドレスに変えられており、純白のドレスがキラキラと光を反射した。
サーチは戸惑う篠原の手を取って、中央の通路を歩き、篠原を神の前へとゆっくりと誘う。
参列客の表情は読み取れないが、篠原の顔、姿を記憶するように視線は一か所に集まっていた。
そして、前から3列目まで篠原を連れてきたサーチも神に一礼をするとベルガンの隣に座った。
篠原の脳にサーチの声が聞こえる。
「そこから先はご自分の足でお進みください。中央のステップを登ってください。その後は、振り返り神々に一礼。そして神と向き合い一礼。それだけです」
ヴァロンの声も聞こえてくる。
「振り返った際に参列客を観察することは不敬に当たる。お気を付けください。お知り合いがいるだろう。そこだけを見るといい」
篠原は小さくうなずくと、ゆっくりと歩を進め、ステップを登りきる。そして後ろを振り返った。
彼女への強い視線がさらに強くなる。篠原は足立を見つめ、一礼すると、逃げるように神へと振り返る。
そのまま一礼すると、口から言葉が無意識に飛び出す。
「私、篠原涼音は、代行者となるべく人神融合の儀をお受けします」
にこりと笑う神に篠原は小声で抗議する。
「あれだけぇ意志とか同意とか言ってたのにぃ、宣言は強制なんですねぇ」
すると神は小声で答える。
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