<あらすじ>
空気を読み、ファッションも周囲の女子学生たちに合わせて、グループに溶け込む卯月。
普段と違う様子に、咲太は彼女の「思春期症候群」を疑う。
スイートバレットが出演するお台場での合同ライブの日、
不調を抱えていた卯月を心配する咲太は、麻衣とともにライブ会場を訪れる。
そして、スイートバレットのパフォーマンス中、卯月の声が突然出なくなってしまう──。
<レビュー>
今回のヒロイン「卯月」の思春期症候群は、「空気を読めるようになる」というものでした。
この「空気」というキーワードは、第1期でもたびたび使われていた要素であり、
ある意味で原点回帰ともいえるシリーズ構成になっていたと感じました。
物語としては、芸能活動が多忙になる中で、卯月が「空気を読めない」ことに悩みを抱えるようになります。
芸能の現場は多くの人間が関わる世界。その中で空気を読めないという性質は、卯月の中で将来への不安として膨らんでいたのかもしれません。
そんな卯月が思春期症候群によって「空気を読める」ようになったことで、
彼女本来の魅力――つまり天真爛漫で周囲に流されない明るさ――を失ってしまいます。
長所を失った卯月は現実を直視しすぎてしまい、芸能活動そのものに希望を見出せなくなっていきます。
そこへ咲太が現れ、仲間たちもまた現実を理解したうえで夢を追っていることを伝えます。
卯月は自らの悩みを克服し、再びスイートバレットに戻る決意を固めます。
物語の導線は丁寧で、ラストの演出も感動的でした。
ただ一方で、思春期症候群の“非現実感”が薄れてきている点はやや気になりました。
第1期では「認識されなくなる」「同じ日を繰り返す」「人格の分裂」など、現実離れした現象が中心でした。
対して今回は「空気を読めない→読めるようになる」という、成長にも解釈できる描写です。
しかも、今回も咲太が“治してあげる”という構図ですが、
「空気が読めるようになった自分を受け入れて進む」という選択肢も物語として十分あり得たはずです。
むしろその方が、卯月にとっては長期的な意味で成長につながった可能性もあるのではないでしょうか。
そのため、感情移入しづらい印象が残ったのが正直な感想です。
ただし、シナリオ以外の要素はとても良かったです。
まずは桜島麻衣。メインヒロインとして、高校生時代よりも大人っぽい作画になっており、
性格にも少し余裕が感じられ、咲太との関係の進展も自然に伝わってきました。
運転免許を取得したことなども描かれ、出番は少なめながらも、咲太と共に“成長している”ことが強く伝わり、非常に好印象でした。
また、麻衣の異母妹である豊浜のどかの描写も素晴らしかったです。
表情や顔つきが、かつての麻衣に少しずつ似てきており、姉妹としての絆がじんわりと感じられる、感動的なシーンになっていました。
作画全体も非常に良く、そしてこの2期シリーズ全体に漂う「サンタクロースの謎」の匂わせも、
少しずつ興味を掻き立ててくる構成で、見応えがあります。
卯月編の次はどのような物語になるのか──
今後の展開がとても楽しみな作品です!
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