<あらすじ>(公式より抜粋)
世界を救うはずのヒロイン(聖女)のメロディは、なぜか能力をすべてメイド業務に捧げ、完全無欠のオールワークスメイドへと変貌を遂げていた! ルシアナを心配するあまりメイド仕事が全く手につかないメロディ。ルシアナはルーナと対峙し、ルーナの強大な魔力による攻撃を受け続けていた。
<レビュー>
単話ベースでは面白く、ついつい見ているうちに終わってしまった。そんな印象の作品です。
ただし「終わってしまった」というのは、「最後まで一気に楽しめた」という意味だけではありません。第12話を普通に視聴しながら「随分と盛り上げるな」と思っていたところ、後から最終回だったことに気づきました。
最終回として見ていなかったのです。
理由を考えると、本作には多くの伏線や未解決の設定が残っていました。そのため私の中では、「まだまだ物語は続く」という感覚のまま第12話を見ていたのだと思います。
前世が日本人である転生者のアンネマリー、クリストファー、マイカ。この3人も単話ベースではシナリオへしっかり貢献し、それぞれ魅力的なキャラクターでした。
特に後半から登場したマイカは、メロディが本来のゲームヒロインだと即座に見抜き、改変されたゲームシナリオを視聴者に整理してくれる重要な役割を担っています。最終回でも、ルシアナを心配しながら何も手につかなくなったメロディへ「自分はどうしたいのか」と問いかけ、背中を押しました。
ただ、全話を通して見ると、3人はゲーム本来の世界と現在のズレに驚き、それを解説する役割が中心でした。
「なぜこの3人が転生しているのか」
「この世界で3人は何をするのか」
といった大きな設定には、ほとんど踏み込まないまま終わります。
そして、改変されたゲーム世界そのものも今後どうなるのか分かりません。
ルシアナは大きな力を得て、魔王は犬のような姿に落ち着き、一見するとかなり平和なハッピーエンドです。
しかし、本来のゲームシナリオが崩れても、別の人物が「代役ヒロイン」や「嫉妬の魔女」の役割を担うように物語が進んできました。
ならば今後も、本来のシナリオへ寄ろうとするように別の誰かが役割を引き受けるのか。それともメロディたちの行動によって、ゲームとは完全に異なる世界へ進んでいくのか。
ここも答えは出ていません。
そして主人公のメロディ。
「世界一素敵なメイドになる」という夢についても、ひとまず、ルシアナの笑顔を守れることこそが、自分にとっての「世界一素敵なメイド」につながるのだと一つの答えを得ました。
ただ、それもこの1話を締めるには十分でも、シリーズ全体のテーマを閉じるほど大きな答えではありません。
ここが非常に惜しいところです。
本来の聖女であるメロディが、聖女にならずメイドとして生きていく物語。そして本来は「嫉妬の魔女」になるはずだったルシアナが、逆にゲームシナリオの中心人物となり、令嬢として成長していく物語。
この二つが「乙女ゲーム本来のシナリオ」という一つの骨格によってつながり、互いに影響しながら、らせん状に交差していく構造そのものはとても面白かったです。
実際、単話ベースではかなり楽しい作品でした。
ルーナとの一件も最終回できちんと解決しています。ですから、第12話という一つのエピソードだけを見れば、1クールを終える区切りとして決して悪くありません。
問題は、作品全体です。
ルーナ事件という「今起きている事件」は終わった。しかし、この世界そのものについて提示された大きな疑問はほとんど残っている。
局所的には完結しているのに、全体では未完。
これが、本作の最終回を見ても「終わった」と感じられなかった最大の理由だと思います。
最終回でも、第2期の発表もありません。
もし第2期制作決定の一言があれば、「ここは第一章の終わりなのだ」と素直に受け止められたと思います。
だからこそ、ここで一度区切るのであれば、何か一つだけでも作品全体に関わる大きな謎へ答えを出してほしかった。
転生者でもいい。ゲーム世界の仕組みでもいい。メロディの聖女としての運命でもいい。
一つ閉じるだけで、「ここまで見た」という達成感はかなり変わったと思います。
単話の面白さ、二重シナリオの構成力、キャラクター同士の掛け合いはかなり強い。それだけに、最終回でのシリーズ全体のまとめ方が弱く感じられた。
単話と構成の強さ、そして最終回の「終幕感」の弱さ。
この二つが非常に印象的な作品でした。
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