2026年4月7日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑬_1/3_逆鱗》

 ⑬は長編のため3分割で掲載します。

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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ついに人間の感情が神を完全に飲み込み、神は怒りに満たされる。


眼下に横たわる3体の体を宙に浮かせる。瞬く間に再生させる。だがそれでは終わらない。


神から生成され大量のエーテルが洪水のように3体のコアに流れ込む。


やがて三体は黒・赤・白のエーテルの巨大な球体に包まれた。


球体は5mほどの大きな卵のような形になる。神は卵を指でひと叩きする。


その瞬間、球体がメキメキと嫌な音を立てる。骨が砕ける音、肉が引き裂かれるような音である。

同時に肉の焦げる独特な異臭があたりを覆う。


神は怒り燃えた眼光でそれを凝視する。


変化はすぐに形になり、3体は鋭い牙、硬質な角、強大な翼、太く長い尾をもつ生物へと姿を変えたのだ。


ヴァロンから変化した竜。ベルガンから変化した赤い竜。そしてサーチから変化した白い竜。


「ヴアァァァァ」


雄たけびを上げる姿に理性や知能は感じない。


神は短く彼らに告げる。


「皆殺しだ」


白い竜はデスランドを飛び降りて防雷へ向かう。赤い竜は埼玉方面へ、黒い竜は千葉方面へ飛び去った。


「人間どもは、俺の大切なものをいつも傷つける。ならば、ならばいっそ、もう。消えてしまえ」


神は空に向かって小さく呟くと、荒れた庭園を引き返し、玉座へ戻っていった。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


同時刻 防雷


観測班から、緊急連絡が入る。


「UFB上空から、大型の未確認飛行物体接近中!主砲の射線を避けています!」


防雷とデスランドの距離は僅か数キロである、この至近距離で戦艦の砲弾を避けるなどあり得る話ではない。


篠原は艦長に詰め寄る。


「少しでいい!直接見れるようにして!」


緊迫した口調。取りついているUFBはもういない。艦長は即座にシャッターを開ける。


篠原は待ちきれない様子でしゃがみこみ、開きつつあるシャッターの隙間から、未確認飛行物体をさがす。


それはすぐに見つかった。防雷の砲撃を回転するようにかわしながら真っすぐ向かってきていた。


白く輝く優雅な姿に一瞬目を奪われる。


「はっ、これは、これはだめ……竜!竜です!!急いで転進!退却です!」


そういうと、すぐに通信機を取った。


「……死にたくなければ我に続け!」


乱暴に通信機を叩きつけ、クシャルボコスへ告げた篠原は、その足で足立にしがみつくと

まるで子供のように震えて動かなくなってしまった。


艦長・足立・仲原はこの様子をみて、即座に行動に移す。


「こちら艦長。防雷180度転進!機関最大! 足立隊長!足止めできるか?」


「主砲は当たらないねえ!あのデカさだ。対空機関砲でも減速しないんじゃないか?」


「転進する!主砲は接近する竜を狙え!使用可能な対空機関砲は竜へ最大連射!」


既に満身創痍の防雷は大きな波をあげて退避を試みる。


その瞬間、この戦闘でも経験したことのない大きな衝撃が防雷を襲う。艦長の目に信じられない光景が映る。

防雷の主砲が竜の爪でもぎ取られ、まるでおもちゃのように海中へ投げ捨てられた。


ーー逃げ切れなかった。その絶望は確信にも近い。


「主砲1番、通信途絶!」


その報告を聞いている最中に、再び衝撃が走る。主砲2番がもぎ取られ、宙を舞っていた。


「主砲2番も、通信途絶です!」


射撃管制にいた足立が篠原を振りほどき、駆け寄った。


「艦長、これはもうダメでしょ」


「ああ、こんな隠し玉、反則ですなぁ」


白い竜と足立の目線が合う。


足立がぼそりとこぼす。


「俺だけで済ませてもらえないかねー。なんてな…」


竜は口を開けブレスの態勢に入る。艦長と足立は握手を交わし死に際とは思えない優しい笑みを浮かべる。

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