<あらすじ>
ユーザーランキング1位を獲得した伝説のプレイヤー・伊良拓斗は、入院中に意識を失う。
気が付くと、彼はまるでゲームの中のような世界「イドラギィア大陸」に降り立っていた──。
<レビュー>
本作のレビューは今回で2回目です。
今回は特に第5話の展開を中心に振り返りたいと思います。
ここまで、内政を中心に比較的平和的な路線で進行してきた本作ですが、5話ではついに作品の裏の顔とも言える「残虐な描写」が表に出てきました。
導入としては、聖騎士が主人公の支配する森へ無理やり侵入しようとする、というもの。しかし、この程度の理由で即座に過激な手段に出るのは、動機としてやや薄く感じられました。
「ユーザーランキング1位」の知略を持つ主人公であれば、相手を森に誘導した上で騙して撤退させるなど、より狡猾な対応があってもよかったように思います。
実際、作中でも語られていたように、調査団を全滅させれば相手の警戒レベルは当然上がります。
これを逆手に取って、相手を欺いたり誤魔化したりできていれば、主人公の知的な魅力がより際立ち、印象的な展開になった可能性もあったでしょう。
とはいえ、作り手の視点から見れば、4話にわたって地味な内政パートが続いた後に、緩急をつけるためのバトル回を挟むという判断は非常によく理解できます。
実際、このエピソードは物語のアクセントとしてよく機能しており、ヒロインの強さや冷酷さがしっかりと表現された見応えのある回でした。
特に、聖騎士との戦いにおいて、あえて手の内を隠して戦い、
「もしかしたら勝てるかも」と思わせたうえで一気に絶望へ突き落とす──という演出は、悪役主人公としてのカタルシスが非常に強く、シリーズ随一の名シーンだったと感じます。
作画についても、相手に絶望を与える瞬間の表情やカメラワーク、演出が非常に優れており、
この作品の持つ「残虐さ」や「容赦のなさ」を映像としてしっかり成立させていました。
特に、**悪い笑みを浮かべるヒロインの邪悪な表情(誉め言葉です)**は非常に印象的でした。
バトルシーン全体も、単なる戦いというよりは一方的な蹂躙劇。
まるで遊んでいるかのように描かれつつ、戦闘開始 → 前衛崩壊 → 聖騎士の反撃 → 聖騎士敗北 → 残党敗走 → 足止め → 全滅 → 絶望、という一連の流れがテンポよく繋がっており、アニメ的な演出力が光る構成になっていたと思います。
次回は「同盟国の模索」がテーマになるようですが、まだ第6話。
今後もまた、あのような冷徹かつ衝撃的な展開が待ち受けているのではないかと思うと、思わずワクワクしてしまいます。
0 件のコメント:
コメントを投稿