<あらすじ>
何度でも“スキルの実”を食べることで、無限に能力を得られるというチート能力を発現した主人公。
最初は「最下位スキル」とされた《木の実マスター》の真の力が明かされ、彼の大冒険が始まる――!
<レビュー>
本作は少し珍しい構成となっており、実質的には第8話が本編の最終回。
そして第9話から第12話までは、ヒロイン視点を中心とした外伝的なエピソードで構成されていました。
7話~8話に登場する強敵は、物語的に中ボスのような位置づけではありますが、実質的には主人公のラストバトル。
そのために異常なほど強く描かれており、納得の演出でした。
本編終了後は物語がヒロイン側に切り替わり、彼女の視点から描かれる4話分の外伝が展開されます。
この外伝パートが予想外に濃密で、キャラクターの関係性や敵役の背景に至るまで、しっかりと作り込まれていました。
原作未読の筆者から見ても、この外伝はあたかも別の監督が手掛けたかのような緻密さとテンポの良さがあり、非常に見応えのある構成だったと感じます。
全体を通してみると、本編8話+外伝4話の構成で、最終話には「俺たちの戦いはこれからだ」といった雰囲気を残したまま幕を閉じました。
さらに、最後に新キャラクターが主人公パーティーに加入する描写もあり、2期を意識した伏線がうっすらと張られていたのが印象的です。
このアニメ最大の魅力である「無限にスキルを得られる」という設定は、確かに目を引く個性ではあるのですが、1話から8話までの本編では、その能力を全面的に活かしての無双展開はほとんど描かれませんでした。
スキルを得る描写はあるものの、「積極的に能力を得て無双する」とまではいかず、どこか煮え切らない印象が残りました。
ただし、その分、戦闘における緊張感や、物語の起伏はしっかり保たれていたとも言えます。
「無双系」としての爽快感を求める人には少し物足りないかもしれませんが、「バトルにドラマ性を求める視聴者」には十分楽しめる内容だったのではないでしょうか。
2期の制作はメディアの売れ行きにかかっていそうですが、個性を活かしつつも未完成な部分がある本作が、次の展開でどう進化していくのかに期待したいところです。
<総評・感想>
構成の大胆さと、外伝パートの密度が印象的な作品でした。本編がやや物足りない展開だっただけに、外伝がそれを補う形になっており、「後半に化けるタイプの作品」と言っても過言ではありません。
2期があるとすれば、本編の課題であった無双の見せ場をしっかり描いてくれることを期待したいです。
王道のファンタジーとはひと味違う構成を楽しみたい方にはおすすめの作品だと感じました。
<編集後記>
ギリギリ更新が間に合いました!よかった!
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