2016年8月30日火曜日

食戟のソーマ 弍ノ皿(一部レビュー)その3

 少年ジャンプで連載中の料理アニメです。
 下町の定食屋の息子幸平 創真(ゆきひら そうま)の活躍が描かれています。
 本作はTV放映シリーズの2期目です。
 
 公式サイトは↓
 http://shokugekinosoma.com/

 
--- 5行で読む ここまでのあらすじ --- 第2クール7話目~9話

 ・準決勝第2試合は、黒木場リョウと葉山アキラによる「洋食のメイン一品」をお題にし
  た料理対決。インパクトのある料理を得意とする黒木場とスパイスの達人葉山アキラの
  勝負は「引き分け」なんと決勝戦は、創真を加えた3人で行われることになる。
 
 ・決勝戦のお題は「秋刀魚(サンマ)」旬の魚だけに、その素材選びの目利き(美味しい
  素材を見定める技術)も問われる。しかし、創真は魚河岸で「目利き」の時点で自分が
  黒木場・葉山に劣っていることを知る。

 ・スタートラインから大きく出遅れる形になった創真は、「目利き」をこれから磨くのか
  ある程度の秋刀魚の「旨味を引き出す」作戦をとるのか選択を迫られてしまう。創真は
  「目利き」とは何年もかけて鍛えるもので、この数日では不可能と判断する。
  
 ・そこから相馬の試行錯誤が始まる。燻製、熟成など様々な方法で秋刀魚の旨味を引き出す
  施策を繰り返し、突破口を探していく。
 
 ・そして迎えた決勝戦当日。創真は秋刀魚の糠(ぬか)漬けを素材に勝負を挑む。ライバルの
  黒木場と葉山は超一流の目利きで選んだ最高の素材(秋刀魚)を活かした料理を披露。
  一方で創真の料理は一定の評価を得たものの、黒木場と葉山には追いつけず負けが確定
  した・・・かと思われたが創真は「切り札」を隠していた!
  
--- レビュー ---

  人気料理アニメの2期目です。
   
  今回は2期目の7話目~9話目を対象に掲載したいと思います。
 
  まず、準決勝2試合目。黒木場リョウと葉山アキラによる「洋食のメイン一品対決」
  ですが、どちらの料理も審査員が満場一致で褒めまくるので、どうやって勝敗を付けるのか
  興味を見ていたところ、なんと「引き分け」という結果でした。
  
  黒木場リョウと葉山アキラは主人公の創真にとって「手ごわいライバル」なので、二人が
  対決して潰しあうのではなく、対決したうえで両者とも創真の対戦相手になるという
  なかなか捻りの効いた面白い脚本でした。
  
  二人の対決を1話に収めつつ、黒木場と葉山の料理人としての凄みを演出しなければ
  ならないお話だったので、もう脇役が喋り(もりあげ)まくりです(笑)
  
  呼ばれても居ないアリスや主人公がVIP席にいる「薙切えりな」の隣に現れて兎に角
  喋る。喋って喋ってついには黒木場リョウの生立ちだって語ってしまいます(笑)
  
  しかし、その演出の甲斐があって説得力のある「引き分け」が成立しました。モブや脇役
  を使って価値観を変更する手法は小説でも使いますが、これだけダイナミックに多用した
  作品は珍しいとおもいます。
  
  これだけ堂々と「これはこういうモノだ!」と脇役総がかりで言わせるなんて中々面白い
  脚本でした。
  そして、決勝戦。
  
  9話時点で決着はついていませんが、目利きをテーマに「目利きで劣る創真」がどうやって
  勝利するのか、見ものですね。
  
  反面、作り手視点で考えると「何話もかけて育ててきたライバルキャラ」を二人同時に
  「敗者」にしてしまうのはもったいない気がします。
  
  しかし、主人公は父親と「父親以外には負けない」と約束しているので、主人公が負けて
  しまう風にもなさそうです。
  
  これはもしや、再び「引き分け」として、秋の選抜の優勝者が複数名というオチもあるん
  じゃないかと思います。
  (管理人は原作コミックスをアニメ放送後分しか読んでいないので、当たるかどうかは
   分かりませんが…)
 
   
  
--- 総括 ---
 
  準決勝はまさかの引き分けでした。
  これは、主人公が直接対決していないからこそ出来たエピソードだと思います。 
  それは料理に限らずスポーツなどのアニメでもいえる事ですが、なかなか「引き分け」と
  いう結果は出しづらい傾向にあるからです。
  
  主人公は「勝って当然」で、基本勝たせなければなりません。
  
  主人公が負け続けたら読者のストレスがどんどん溜まってしまいます。
  
  でも「負けても」いいのです。負けから「何かを学び成長」すれば勝った時と同じように
  読者のストレスも緩和されます。
  
  しかし「引き分け」は扱いにくいのです。引き分けという名の「敗北」にして「負けた場合
  と同じルート」を通せば楽ですが、それもそれなりの伏線が必要です。
  もしくは引き分けた相手を極端に持ち上げて「主人公の生涯のライバル級」のキャラに
  育て上げて、引き分けに納得してもらう描写をしなければなりません。
  
  安易に「引き分け!次回頑張ろう!」にしてしまうと、読者に釈然としない印象を与えて
  しまう恐れがあって注意が必要です。
  ちなみに料理漫画「ミスター味っ子」でも何度か引き分けはあります。殆ど場合、相手は
  生涯のライバル「一馬」やラスボス「味皇」といった作中でも最上位に位置する対戦相手に
  引き分けています。
 

--- おまけ ---
 
  料理漫画ではありませんが、ボクシング漫画「はじ○の一歩」では主人公は一度も引き
  分けていないようです。
  
  そもそもボクシングが引き分けになりにくいスポーツというのもありますが、やはり
  勝ち負けはハッキリした方が読者に分かりやすいという一面もあるのかも知れません。
  

--- おまけのおまけ ---
  
  ~ボクシングで引き分けが起こる場合~(細かいルールは省略します)
  
  ボクシングは相手を倒すスポーツですので、相手を倒す(KO)もしくは審判がこれ以上
  戦わせるのは危険と判断した場合(TKO)で基本的に勝敗が決まります。
  
  しかし規定ラウンド戦って決着がつかないこともよくあって、その場合にのみ「引き分け」
  が発生する可能性があります。
  
  ボクシングには審判が3人います。
  
  全ラウンド終了時にそれぞれの審判がどちらの選手を支持したかによって「判定勝ち」
  「引き分け」「判定負け」が決まります。
  
  例)カッコ内は支持した審判の人数です
  
  選手A(3)VS選手B(0)引き分け支持(0)=Aの判定勝ち
  選手A(2)VS選手B(1)引き分け支持(0)=Aの判定勝ち
  選手A(2)VS選手B(0)引き分け支持(1)=Aの判定勝ち
  選手A(1)VS選手B(1)引き分け支持(1)=★引き分け★
  選手A(1)VS選手B(0)引き分け支持(2)=★引き分け★
  選手A(0)VS選手B(0)引き分け支持(3)=★引き分け★
  
  こんなルールになっているので、最低でも引き分けを支持する審判が一人以上いて、片方
  の選手を支持する審判が2人以上居ない場合でしか引き分けになりません。
  (事故などを除きます)
    

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