<あらすじ>
ひょんなことから“パラディーソ”という女性用風俗店の内勤として働くことになったアカリ(山崎紘菜さん)。最初は男性セラピストと女性客のマッチングに悪戦苦闘しながらも、「セックスレスを解消したい」「彼氏を含めて身の回りの男性に疲れてしまった」など、多様なお悩みを持つお客様に寄り添っていきます。個性豊かなセラピストたちと協力しながら、アカリ自身も少しずつ成長していくお仕事ドラマです。
<レビュー>
原作が未完のため、ドラマも完全な結末には至らず、「俺たちの戦いはこれからだ」風のエンディングとなっていました。
テーマが「女性向け風俗」ということで、地上波ドラマとしてはかなり攻めた内容ですが、アダルトビデオのような露骨な描写ではなく、ムードや言葉、心のつながりに重きを置いたシーンが多く、感情の流れに沿った丁寧な描写が印象的でした。演出は繊細で、女性視点から描かれていることもあり、官能的でありながらも安心して観ることができる作りになっています。
主演の山崎紘菜さんは、どこか新垣結衣さんを思わせる柔らかく自然な演技で、重くなりがちなテーマを明るくコミカルに包んでくれました。男性キャスト陣がイケメン揃いという中で、彼女がヒロインとしての存在感をしっかり放っていたのも見どころの一つです。
この作品は「女性向け風俗」を描いたものでありながら、むしろ男性にもおすすめしたい内容でした。というのも、基本的に女性視点で描かれているため、恋愛や接し方に不安を抱える男性にとって、異性との関係を考える一つの参考になるかもしれないからです。
特に最終話では、アカリが恋人との別れに心を病み、自らサービスを利用することで「風俗=性サービス」だけではない、心のケアとしての役割を強く印象づけました。この描写によって、女性風俗に対する偏見を和らげるきっかけにもなると思います。
また、全体を通して、「風俗に甘えすぎない」「距離感を大切にする」「ハマりすぎない」といったメッセージも込められており、利用を肯定するだけでなく啓蒙的な一面もきちんと描かれていました。
脚本は原作者のヤチナツさんの意見も反映されており、コミカルな作風です。しかし実際に女性風俗利用者への取材を重ねて制作されたこともあって、現実的かつリアルな人間ドラマとして描かれています。
タイトルから敬遠されがちな作品ですが、性に対する先入観を一度外して観てみると、「人との距離感」「心の癒やし」「働くことの意味」など、深いテーマが込められた良質なヒューマンドラマだと感じました。性別を問わず、18歳以上の方には一度観ていただきたい作品です。
※一定の性描写はありますので、18歳未満にはお勧めしません。
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