<あらすじ>
宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生・アマテ・ユズリハ。彼女は、ある日現れた謎の少女・ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技《クランバトル》の世界へと巻き込まれていきます。
「マチュ」というエントリーネームを名乗ったアマテは、専用機「GQuuuuuuX ジークアクス」を駆り、熾烈なバトルの日々に身を投じることになります。
<レビュー>
本作は、1stガンダムの世界とは異なる“別世界線”を描いた新しいガンダム作品です。ファーストガンダムの象徴的な要素を一部受け継ぎつつ、まったく新しいオリジナル要素を大胆に組み込むことで、独自の世界観を築いています。
第1話はオリジナルの時間軸で物語がスタートします。戦争終結後の静かな始まりから、非合法のモビルスーツバトル《クランバトル》に至るまで、段階的に世界観を紹介していく構成です。しかし、この作品の真価が発揮されるのは第2話からだと感じます。
2話では、ファーストガンダム第1話の展開を大きく改変し、アムロがまったく活躍せず、ガンダムとホワイトベースがまさかのシャアによって鹵獲(ろかく)されてしまいます。さらに、ガンダムは赤く再塗装され、赤い機体として新たに登場しますが、直後に謎の現象により焼失。以降は、緑色に再塗装された旧ホワイトベースのみが“1stの名残”として残る形になります。
このような予想外の展開は、新規ファンにとっては斬新に映り、旧作ファンにとってもインパクトのある構成だと感じました。1話で大胆なオリジナル要素を示し、2話で懐かしいキャラクターと設定を登場させるという二段構えの構成が、非常に巧みに機能している印象です。
また、1stガンダムの名物キャラたちが、令和の高精細なアニメーションで当時と変わらないキャラクターデザインのまま登場している点も魅力的です。キャラデザインに関しては、本作オリジナルのキャラクターと、1stから継承されたキャラクターが明確に描き分けられており、まるで異なるアニメ作品のキャラが1つの世界に共存しているような、不思議な視覚効果もあります。
作画や演出も非常に力が入っており、展開スピードも目を見張るものがあります。次々に新しい要素が投入されるため、「これは本当に1クールで収まるのか?」と不安になるほどの情報量と広がりを感じさせる構成です。
設定の奥深さや勢力構図の緻密さから考えると、むしろ4クール(1年放送)でも問題なく構成できるだけの下地がありそうです。それほどまでに本作の世界観は広く、しかも物語の進行が早いため、視聴者は常に集中して物語を追わなければ置いていかれてしまうほどです。
今回のレビューでは、1話・2話を中心とした「さわり」の紹介に留めておりますが、間もなく迎える最終回を経て、改めて全体を通した総合的なレビューをお届けしたいと考えています。
『Gundamジークアクス』は、ファーストガンダムの伝統を引き継ぎながらも、大胆かつスピーディーにオリジナリティを展開していく、熱量の高いガンダム作品です。
ガンダムシリーズファンはもちろん、新規のアニメファンにも強くおすすめしたい、今期注目の1作です。
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