<あらすじ>
人類が滅び、長い年月が経った地球。
東京・銀座にあるホテル「銀河楼」では、ホテリエロボットのヤチヨと従業員ロボットたちが、オーナーの帰還と再び人類の客を迎えるその時を、ただ静かに待ち続けていた。
しかし、100年ぶりに訪れた“お客様”は、なんと地球外生命体だった――。
<レビュー>
人類不在の地球に残されたロボットたちの姿を描く、エモーショナルかつユニークな作品です。
作品の舞台となるのは、東京・銀座にぽつんと残った高級ホテル「銀河楼」。そこでは、すでに人類が絶えてしまった後も、ロボットたちがかつての役割を忠実に守り続けています。
ドアを開け続けるドアマン、定期的に環境情報を送り続けるチェックロボット。誰もそれを必要としていないと理解しつつも、彼らは「命令」を果たそうとし続けているのです。
物語は、人類滅亡から100年後から始まります。この時点で、ロボットたちの数も半分以下にまで減っており、温泉の掘削ロボットが故障し、廃棄されるシーンからも、静かに進行する“終わり”の気配が感じられます。
そんな停滞した日常に訪れる転機が、「異星人」の来訪です。
敵なのか、客なのか、正体も目的もわからないまま、ロボットたちは“お客様”として丁重に彼らをもてなします。100年ぶりに仕事ができることに喜びを見せるロボットたちの姿がどこか切なく、それでいて微笑ましくもあります。
やがて、地球人に変身できる“タヌキ星人”が登場し、物語はよりにぎやかに展開していきますが、部品が手に入らず修理できないロボットたちの“寿命”を思うと、どこか儚さも同居していて、この世界観の深みを感じさせます。
日々の営みを失った地球で、忠義と希望を捨てずに“おもてなし”を続けるロボットたち。
その姿に、観る側の心も静かに揺さぶられます。
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