2025年4月1日火曜日

聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました(終)(一部レビュー)

<あらすじ>

聖女リーシャは、婚約者であるバーズーデン国の国王に追放され、隣国メートポリスへと送られた。

聖女の加護を失ったバーズーデン国では、やがて不穏な変化が現れ始める――。


<レビュー>

本作は「アニコミ」と呼ばれる、アニメと漫画の要素が融合したようなスタイルで制作された作品です。アニメとして見るとやや簡素な印象を受ける一方で、漫画としては非常に丁寧に描かれており、独特なビジュアル体験を提供してくれました。


ただ、この形式は地上波で放送するにはやや馴染みにくいと感じました。テレビで流すと、ぱっと見では漫画のCMのように見えてしまい、視聴者の興味を引くには難しい面があったように思います。むしろ、YouTubeやアプリ配信など、短尺でテンポよく視聴できる媒体の方が相性が良かったのではないでしょうか。


作品の内容自体は非常に王道の「追放系×聖女もの」として安定感がありました。

二人目の聖女の登場や、偽聖女といったスパイスも加えられ、シナリオに深みを持たせていた点は好印象です。


ただし、構成面ではやや物足りなさを感じました。特に物語の焦点が、リーシャが受け入れられたメートポリス側の環境改善に偏っていたため、追放元であるバーズーデン側の状況が十分に描かれないまま終わってしまった点は残念でした。

最終話でわずかに触れられ、「詳しくは漫画で!」というような締め方だったため、ややCM的な印象を拭えませんでした。


アニコミという新しいスタイルに不慣れな視聴者にとって、せっかく楽しんでいた作品の終わり方が「これは漫画の宣伝でした」と突き放されたように感じられる構成は、やや不親切だったように思います。


全体としてはテンポも良く、キャラクターも魅力的で楽しく視聴できるシリーズでしたが、終わり方の演出次第でもう一段視聴者の満足度を高められたのではないかと感じました。


個人的には、もしこの作品が通常のTVアニメ形式で展開されていたら、もっと多くの視聴者に受け入れられていたのではないかと想像してしまいます。できれば、改めて通常のアニメとして再構成された続編を見てみたいと思わせる、そんな作品でした。




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