<あらすじ>
星間国家アルグランド帝国の辺境を治める伯爵家に生まれ、幼くして当主となった転生者リアム。
善良さゆえに奪われ続けた前世を悔い、今度の人生では「悪徳領主」となり、民を虐げる側になることを決意する――。
<レビュー>
本作は「異世界転生×成り上がり×ロボットアニメ」という、非常に個性の強いジャンル要素が詰め込まれた作品です。一歩間違えば設定過多によって破綻しかねない構成にもかかわらず、SFやファンタジーの設定をバランス良く使い、ひとつの物語としてしっかり成立させている点から、作者の手腕の確かさがうかがえます。
現在(第3話時点)では、「現在のリアムによる無双展開」「転生前に虐げられた男としての記憶」「幼少期の準備期間を過ごすリアム」という3つの時間軸が描かれています。おそらく、幼少期のリアムから物語が進み、現在のリアムに繋がり、未来を描いていくという構成が予想されます。しかし第3話を終えても、リアムはまだ貧乏領主のままであり、ラストは「俺たちの戦いはこれからだ」系の締めくくりになる可能性が高そうです。
とはいえ、物語自体は非常に面白く、SF好きにも異世界ファンタジー好きにも刺さる作品に仕上がっています。ロボットの操縦スキルだけでは勝てないという設定から、ファンタジー要素である修行の必要性をしっかり描き込むなど、要素の融合にも説得力があります。
さらに秀逸なのは、丁寧に描くべきポイントと、省略すべき要素の取捨選択がとても巧みなところです。例えば、リアムの学習シーンはSF設定を活かしてAIによる機械的訓練に任せ、領地統治もメイドAIに丸投げしているため、無駄な描写を避けテンポが非常に良いです。これにより、視聴者が注目すべきシーンへ集中できる構造が成り立っています。
特に、領地経済がAIの手で瞬く間に改善される展開には説得力と快感があり、まさに「AI的な合理性」がうまく表現されていました。
あえて一点挙げるなら、シーンの切り替わりがやや唐突で、時系列のジャンプに一瞬戸惑うことがある点です。倍速視聴やながら見をしていると、いつの間にか時間軸が変わっている可能性があるため、視聴には多少の集中力を要します。ただし、しっかり画面を見ていれば混乱するほどではありません。
本作はTVerでも見逃し配信されています。第1話~第3話はそれぞれある程度の区切りがついているため、気軽に試し見するにはちょうど良いと思います。少しでも気になった方は、まずは最新話から視聴してみてはいかがでしょうか。
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