2025年3月6日木曜日

没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた~9話(一部レビュー)

<あらすじ>

晩酌を楽しんでいた男は、気づけば貴族の五男・リアムの肉体に乗り移っていた。

没落予定だった実家からの独立を目指して冒険者になった彼は、いつのまにか世界屈指の魔術師に成り上がっていくのだった!

最強貴族による自由気ままな魔法ファンタジー開幕!

<レビュー>

異世界転生系の成り上がりファンタジーとしてスタートした本作は、9話時点で驚くほどのスピード感で展開が進み、ついに主人公リアムが国王にまで上り詰めました。転スラなどの類似作品と比較しても、その展開の速さは際立っており、1話見逃すと大きなストーリーのギャップを感じるほどのテンポの良さが特徴的です。


しかしながら、そのハイスピード展開ゆえに、登場キャラクターの掘り下げが不十分な点も目立ちます。物語の中心となるキャラクターとして、ジャミール王国の王女スカーレット、エルフのリーダー的存在であるレイナ、リアムの理解者である兄のブルーノ、プライドが高い長男のアルブレビト、そして主人公に可能性を見出した魔竜ラードーンの5人が主要メンバーとなっています。この5人は頻繁に登場するため、自然と印象に残るキャラクターとなっています。


また、戦闘要員としてハンターのアスナやジョディも登場しますが、彼女たちは基本的に主人公の引き立て役であり、物語に深く絡むことはほとんどありません。そのため、豪華な声優陣を起用しているにもかかわらず、やや影が薄い存在になっています。


9話時点での印象

物語のスピード感は本作の大きな魅力ですが、それに伴い主人公の成長描写がやや浅くなってしまっている点が気になります。特に、リアムが国王という立場になったにもかかわらず、国政や外交に関してはほとんど関与せず、ラードーンやスカーレットの意見に従って行動を決める場面が多い点は、少し物足りなさを感じました。


転生前は成人男性だったリアムですが、その経験を生かして国の統治能力を発揮する場面はほとんどなく、魔法が大好きな天才少年という印象が強まっています。転生者としての知識や思考が活かされていないため、せっかくの設定が活かしきれていないように思えます。


とはいえ、魔法の才能に恵まれたリアムが、高難易度の魔法を圧倒的な速度で習得し、応用していく様子は見ごたえがあり、その部分だけでも十分に楽しめる作品です。転生要素があまり目立たなくなっている点は惜しいですが、魔法ファンタジーとしての魅力はしっかりと備わっています。


今後の展開に期待

9話の時点でリアムはすでに国王となっており、ここからさらに成り上がるとすれば、一体どこへ向かうのか非常に気になるところです。単なる国の支配者ではなく、世界全体を巻き込むような存在へと成長していくのか、それとも魔法の探求に集中するのか。物語のスケール感がどのように広がっていくのか、引き続き注目していきたいと思います。


今後はリアム自身が国の運営に関わるようなエピソードが増えてくると、より物語に厚みが出てくるかもしれません。現在のところ、彼は圧倒的な魔法の才能を持つものの、支配者としての器はまだ十分に描かれていないため、転生者としての知識を活かし、国を治める描写が増えてくることを期待したいです。


まとめ

「没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた」は、展開の速さが魅力の作品でありながらも、やや主人公の成長描写が薄くなっている点が気になります。しかしながら、魔法を極めていく過程は爽快で、テンポの良さが作品の強みとなっています。今後、リアムがどのようにさらなる高みへと成り上がっていくのか、引き続き楽しみにしたいと思います。



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