<あらすじ>(公式引用)
焦土と化した日本に、突如現れたゴジラ。
残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。
ゴジラ七〇周年記念作品となる本作
絶望の象徴が、いま令和に甦る。
<レビュー>
敗戦後の日本の東京を舞台に、ゴジラに強襲された日本人の戦いを描く映画です。
細かい考察は映画系の専門サイトが扱っているので、本サイトではアニメファンからみた映画のレビューを掲載し、大まかな魅力と解説を共有していこうと思います。
さて、面白いかどうかという点では「面白いが後味は悪い」という結論になります。以降ネタバレを含むのでご注意をお願いします。
まず今回のゴジラはテーマの一つに核の恐怖があります。ゴジラが銀座で核を放ったことで3万人が死傷し、ヒロインも命を落としてしまいます(あえて「落とす」と表現します)。
その描写は爆発の衝撃波で、瓦礫と共に銀座は一瞬で吹き飛ばされ、直後に減圧した大気が周りの空気を吸い込んですべてを破壊するというものです。
核の圧倒的な破壊力をリアルに疑似体験できます。当然被ばくもしますから、ゴジラを撃退したエンディング後の世界では多くの人物の悲惨な情景が想像できてしまいます。そういった点で後味がかなり悪いのです。
とはいえ、作品としては非常に面白いです。時代設定が戦後になっていることで日本軍にはほとんど戦力がありません。しかもGHQはソ連との関係を考えて助けてもくれません。
そんな中、戦時中の特攻隊の生き残りと、戦争を経験した多くの民間人が「貧乏くじだ」などと言いながらも奮起し、ゴジラの撃退を試みる内容は、常に緊迫感がありながら「生きる」というテーマを感じさせる素晴らしいドラマになっています。
主人公が特攻隊から逃げ出し、挫折を経てヒロインと出会い、生活を立て直していくシナリオでも十分に面白い作品に、ゴジラを巧みに融合させることで、主人公の成長や生きる意味を見つけ、また死に場所を求める心情の動機付けになっており、視聴者の共感を強く刺激する構成になっています。
リアルなドラマパートを主軸にしておきながら、ゴジラのシーンは怪獣ものとして分かりやすい表現となっているところも素晴らしいです。ただ怪獣が暴れるだけではなく、ゴジラは熱線を放つときに、しっぽからエネルギーを上昇させていくような動きを見せます。この辺は物凄く嘘くさい。これはアニメや特撮モノの「子供にも分かる危険な雰囲気」を表す手法で、リアルにゴジラを描こうとすれば不要な演出です。
しかしこの作品は「ゴジラ」であって怪獣映画なのでリアルさよりも分かりやすさを優先しているので、ゴジラに詳しくない海外の視聴者にも刺さりやすく、日本よりも海外で受けている理由の一つだろうと思います。
本作の劇場公開は終わっておりますが、配信が始まりました。残酷描写はありますが、グロテスクな描写は控えめなので親子で視聴されても面白いかもしれませんね!
0 件のコメント:
コメントを投稿