<あらすじ>
とある田舎の中学校で、ある男女が永遠の友情を誓い合った。
ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す。
果たして恋を知った日葵は〈理想の友だち〉から脱却できるのか?
<レビュー>
本作は、両想いでありながら中学時代に交わしてしまった「ずっと親友でいよう」という約束に縛られ、高校生になった今も関係を進展できずにもどかしい距離感を保っている男女を描いた恋愛アニメです。
最近の男性向け恋愛作品では、肉食系女子と草食系男子の組み合わせが多い傾向にあります。本作もその流れに沿っており、SNS普及によって告白リスクが高まった現代を背景に、男性側が慎重な立場をとる設定が自然と受け入れられやすくなっているように思います。
さて本作ですが、主人公とヒロインの双方から、あふれんばかりの「好意」がこれでもかと伝わってきます。
大人の視聴者からすれば「もう早くくっついてしまえ!」と叫びたくなるほどなのですが、そこをぐっと堪えて「親友」としての関係を丁寧に描きつつ、恋愛関係への進展は徹底して牛歩戦術的に進めていきます。
さらに、ヒロインには主人公の初恋の相手という強力なライバルも登場し、日葵は自分の気持ちに気づきながらも、「ずっと一緒にいたい」「一番じゃなければいやだ!」と心の中で叫びながら、現状をなかなか打破できずにいます。
この絶妙なもどかしさと甘酸っぱさこそが、本作最大の魅力だといえるでしょう。
短気な方には少しじれったく感じるかもしれませんが、不器用な若い男女の恋模様をじっくり味わいたい方には、非常におすすめできる作品です。
また、主人公の趣味が「アクセサリー作り」である点もユニークです。
一見すると変わった趣味ですが、これがヒロインたちとの接点づくりにしっかりと生かされており、小道具の使い方にもセンスを感じる作品に仕上がっています。
恋愛系アニメがお好きな方は、ぜひ一度視聴してみてはいかがでしょうか。