2024年10月3日木曜日

逃げ上手の若君(終)レビュー

<あらすじ>(引用)

少年は逃げて英雄となる―――。鎌倉幕府滅亡から始まる北条時行の物語。


<レビュー>

今期の注目作品として、主人公・時行の魅力を最大限に引き出した素晴らしい作品でした。シナリオ、作画、音楽のどれも高いクオリティで、視聴者を引き込む力が強く、特に深夜アニメならではの残酷な描写が、善良な時行の行動と対比して非常に効果的でした。残虐表現が物語の構成に巧みに組み込まれており、感情移入しやすいキャラクター描写が見事です。


特筆すべきは、瘴奸(しょうかん)との戦闘シーンです。敵役でありながら、彼が悪党になった背景が描かれ、彼にも共感してしまう複雑な感情が湧いてくるほど、キャラクターの深みがしっかりと描かれていました。瘴奸のような初老の男性キャラクターを魅力的に描くのは難しいですが、この作品では自然にそれを成し遂げているのが印象的です。


また、逃げるだけではなく、戦うシーンも迫力満点でした。アクションシーンでは立体的な戦闘描写が効果的に使われ、ダイナミックな展開に目を奪われます。戦闘のテンポが良く、視聴者を飽きさせない工夫が詰まっています。


一方で、シナリオとしては川中島の戦いで物語が終了し、北条家再興や鎌倉奪還は描かれなかったのが残念です。原作ストックがまだ残っているため、2期でのさらなる展開に期待が高まります。


(おまけ)

文章の中に書くスペースがなかったので、外出しで追記します。

本作は各キャラクターが魅力的に描かれているわけですが、女性や子供だけではなく、男性、しかもいわゆる「おじさん」もしっかり魅力的に描かれているところが素晴らしいと感じました。ビジュアル的に優位性もなく、子供のような分かりやすい属性特性もない大人の男性をここまでうまく描き分けて魅力的に見せてきた作品は数少ないと思います。




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