<あらすじ>
舞踏会の最中、公爵令嬢スカーレットは、婚約者である第二王子カイルから突如婚約破棄を告げられます。しかも、理由はまったくの言いがかりであり、すでに新しい婚約者がいるとまで宣言されてしまいます。耐えがたい屈辱と怒りにスカーレットは「最後のお願い」として、自らに濡れ衣を着せた令嬢を殴らせてほしいと申し出るのでした。それは、彼女の“断罪”が始まる合図に過ぎなかったのです。
<レビュー>
本作は、悪役令嬢もののテンプレートを一度踏襲しつつも、序盤からその枠を破壊するような展開で始まります。主人公スカーレットが「令嬢らしからぬ」暴力で不正を正していくスタイルは非常にインパクトがあり、視聴者を強く引き込みます。
この作品の最大の特徴は、見た目が少女漫画風でありながら、アクション描写が非常にハードでリアルであるという点です。殴打のシーンでは血の描写や顔面の歪み、返り血までもが丁寧に描かれ、ただのギャグや演出ではなく、キャラクターの意思や背景を支える強さとして描かれています。
スカーレットは全員に暴力を振るっているわけではなく、相手の背景や状況に応じて、眠らせるなどの対応もしています。このバランスが、彼女をただの暴力令嬢にせず、正義感と判断力を併せ持つ主人公として成立させている点が非常に巧みです。
さらに、第二王子との婚約破棄によって、第一王子のお気に入りとして迎えられる展開も含まれており、いわゆる“追放”の末により高い地位に昇るという点では、近年の流行である「ざまぁ系」や「逆転劇」の要素も感じさせます。ストーリー構造においても、権力構造が変化することでスカーレットの行動の自由度が増し、それが彼女の持つ正義と行動力をより活かす形になっています。
現在3話時点で物語は最初のボス戦へと進もうとしており、今後どのような悪役が登場し、それをどう成敗していくのかという期待が高まります。作画、演出、キャラ描写、いずれも丁寧で完成度の高い導入でした。
悪役令嬢ジャンルに新風を吹き込む作品として、強烈な第一印象を残すシリーズの始まりでした。暴力系令嬢という異色の切り口に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
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