こんばんわ!管理人の緑茶です。
本日の記事は毎月恒例になりつつある、月末休載のお知らせです。
<お知らせ>
・9月30日の更新は「休載」となります。
もう毎月毎月終わりの見えない作業の渦にのみこまれる訳ですが、いつも
罵倒しながらも徹夜に付き合ってくれたり、終わりそうにない作業を肩代わり
してくれる同僚に改めて感謝です。
毎月のように「これ、緑茶終わらないでしょ?やっとくから。言っとくけど
貸だからね」と貸POINTが増え続けているので、いつか「返済」を求められ
そうで恐怖を覚えます。(そこからヒントを得た小話です)
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では小話でも掲載します。(即興ですのでクオリティーはお察しです)
えー。昭和20年ごろのお話です。
この頃、この地方には見回り衆というのがおりました。村を回って野盗や
泥棒・いわゆる悪人を退治して回るっていうと聞こえは良いのですが
まぁ村人に言いがかりをつけて食料や金を巻き上げてるというのが実態で
ございました。
特に「倍返しの与太郎」は「やられたら必ず倍にしてやりかえす」という
ふれこみで、お役人ですら手の付けられない乱暴者でした。
あるとき、痺れを切らした村長が、与太郎に石を投げつけて「2度と来るな」
と啖呵を切りました。
すると翌日、同じくらいの石をもった与太郎が現れてその丸太のような剛腕を
弓のようにしならせて村長めがけて2つの石を投げました。
石のサイズは同じでも、投げた力は天と地と。大怪我をした村長を見下して
「倍返し。お忘れなく」と決め台詞を吐いていきました。
それを見ていた村長の息子。何とか村長の仇を取ろうと考えましてお役人に
相談に行きました。
ところが、お役人は「気持ちは良くわかるが、自分も妻子を持つ身。倍返しは
恐ろしい」と取り合えってはもらえません。
そこで考えた末。一つ策を考えました。
実はこの「見回り衆」には掟がございます。昭和の初めでも警察は存在します
ので「罪人」となれば彼らに投獄されてしまいます。
それを避けるためにあくまでも「正義の自警団」として活動せねばなりません。
その為に「嘘はご法度」なのです。つまり「嘘はつかない=悪人ではない」と
半ば強引な設定で黙認された組織なのです。
そのご法度を与太郎に破らせれば、如何にお役人とはいえ警察へ連絡し大きな町
から屈強な警官がやってくると考えたのです。
翌日、息子は与太郎に向かって小さな石を投げつけました。当然のように
与太郎はその翌日現れて、小さな石を2つ息子に投げつけて「倍返し。お忘れなく」
と去ろうとします。
すかさず息子が「これ与太郎。お前は倍にして返すと言った。だが、この石。
私が投げた石に似ているが、そのものではない。お前は嘘をついたのか?」と
呼びとめました。
嘘をついたと言われて見過ごすわけにはいきません。しかも与太郎は見回り衆
としての経験も豊富なので「言葉遊び」には乗りません。
「この世に同じ石が2つあるのならば、嘘かもしれん。だが存在しないものを
どうして投げる。小僧が難癖をつけるのであれば容赦はせぬぞ」と脅して
かかります。
息子は少し微笑むと「ならば、存在するものなら倍にする。嘘はないな?」
与太郎は高笑いをすると「ああよかろう、だが倍にして返すからな?怪我で
済むとは限らんぞ!」
その言葉をしっかり聞いた息子は突然、懐から100円券の札束を取り出しまし
て与太郎にぴしゃりと投げつけます。
枚数にして200枚。金額的には20000円ですが、当時の価値では150万
円くらいです。それを投げつけて「倍にして返せ」と与太郎に迫ります。
翌日、顔を真っ赤に染めた与太郎が、工面を重ねて用意した100円券400枚
を力いっぱい息子に投げつけ「倍返し。お忘れなく」と面子を守ろうとします。
ところが400枚でも所詮は紙。息子はなんとか起き上がり、その400枚を
再び与太郎に投げ返します。そして「倍返し。お忘れなく」とかすれる声で
念を押しました。
暫くして、800枚の金を工面できなかった与太郎は「見回り衆ではない」と
宣告を受けまして、お縄となり一件落着となりました。
息子はと言うと、もし800枚用意していたら、その金で用心棒を雇うつもり
であったと村長に自慢していたそうです。
金の投げ合いになった時点で、常に倍にしなければならない与太郎の負けは
確定していた。というお話でございます。
ー 完 -
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