趣味と言えば節約。無駄なものには一円も
払いたくないという徹底した倹約家でございます。
「ねえ太一。休日だからって家でゴロゴロ
してていいの?」
と茜が声を掛けます。
「外に出たら、やれ茶店だコンビニだって
金がかかるじゃねえか。家で寝てれば
安心安全で金もかからない。最高だろ」
茜も倹約家ではありますが、太一が家でゴロゴロ
しているのは不健康で気に入らない様子。
「だったら散歩でもいいから外へ出なさいな。
太一がいなければ、テレビもゲームも
パソコンも全部コンセントから抜けるもの。
居るだけで電気代かかってるの」
説得に節約を出されては無視することもできず
太一は重い腰をあげました。
「言ってくれるじゃねえか、だったら茜は
家にいても一切電気を使わねえのかい?」
太一が意地の悪そうな顔で茜に問いかけました。
茜はここぞとばかりに反撃します。
「アタシは丈夫だからね。エアコンなんか
使わないよ」
「食事は毎朝スーパーに買い出しに行ってる
からね。冷蔵庫だって止めて構わないよ」
「洗濯も手洗いでいいし、掃除だってホウキと
塵取りで十分」
「スマホもフリースポットで充電してるので
充電器も使わないわね」
「太一がいないときは電気もつけてないから
いっそのこと家のブレーカーを落としたって
困らないわよ!」
太一はニヤリと笑って、勝ち誇ります。
「ああ、そうだろうさ。茜(オマエ)はロボット
だからな!本当は知ってるだろ、一番
電気代のかかる「家電」が何かって!」
太一は茜と茜の背後にある「ロボット用充電器」を
指さして笑いました。
茜は人間のような笑みをこぼすと
「あたし、この前のアップデートで人間の体温から
電力を補えるようになったの。だからお嫁さんの
ように毎日抱きしめてね!」
嬉しそうに身を寄せる茜に太一は恋人といるような
不思議な感覚に包まれるのでした。
その行為が「充電」とは気づかずに。
0 件のコメント:
コメントを投稿