<あらすじ>
白魔導師のロイドは、ある日突然クビを告げられ、勇者パーティーから追放されてしまう。
途方に暮れていたロイドだったが、偶然出会ったSランク冒険者のパーティーに誘われ、彼らのクエストに同行することになる──。
<レビュー>
本作は、「有能すぎるがゆえに周囲に理解されず追放される」という、定番の追放系ストーリーです。
主人公ロイドは、修行時代から「すごい……でも実力不足」といった否定的な評価ばかりを受けて育ってきました。
それによって、自身の実力を正しく認識できないまま、自己肯定感が非常に低い状態で勇者パーティーに参加することになります。
彼は支援魔法を駆使して着実に貢献していたにもかかわらず、戦闘力の派手さがないがために「無能」と断じられ、追放されてしまいます。
この背景には、彼の師匠の存在が大きく影響しています。
過去の自身の過ちを繰り返さないようにという意識からか、ことあるごとにロイドに対して「すごい、でも実力不足」と評価し続け、過剰なまでに謙遜を植え付けてしまいます。
現実で言えば、子どもに否定的な言葉をかけ続けて自信を奪う“毒親”にも似た、指導者像として描かれており、視聴者としてはロイドの境遇に同情を禁じ得ません。
ただ、ロイドの修行は非常に順調に進んでおり、彼は“選ばれし存在”として、すでに高い実力を備えていました。
勇者パーティーから追放された後、Sランク冒険者たちとともに冒険を重ねる中で、その真の力を次第に発揮していきます。
それでも、幼少期に植え付けられた「自己否定の呪い」のような言葉の数々が、彼の行動を縛ります。
そんな彼に対して、仲間たちが「すごいよ」「自信を持っていいよ」と声をかけ、彼の心の呪縛を少しずつ解いていく過程が本作の見どころです。
ストーリー構成としてはテンプレート的な追放モノですが、キャラクター同士の心のやり取りや、
自信を取り戻していく丁寧なプロセスが描かれており、単なる無双作品ではない人間ドラマ的な味わいも持ち合わせています。
アニメーション面ではやや粗さが目立ちます。
中間フレームが少ないため動きに飛びがあり、戦闘シーンなどは音や背景で演出されるケースも多く見受けられました。
このあたりは予算的な制約も感じられますが、物語そのものの面白さで十分に補っており、視聴に大きな支障はありません。
今後の展開でも、ロイドがどのように自信をつけていくのか、仲間との関係性がどこまで深まるのかに注目したい作品です。
追放系に慣れた方にも、ちょっと違った角度から楽しめる1本としておすすめできます。
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