2025年12月11日木曜日

【軽い日記的なもの】ケンタッキー「鳥の日パック」改悪…なのでしょうか?

 12月から、ケンタッキーの毎月28日限定メニュー「鳥の日パック」の内容が変わりました。

以前はオリジナルチキン5本で1,100円、サイドメニューは任意で割引オプションという、いわば“欲しいものだけ足せる”設計で、とても優れたメニューだと感じていました。


この考え方は、KDDIのpovoに近い発想だと思います。

「基本だけ安く買い、必要なトッピングだけを自分で足す」――選択権が購入者側にあることが大きな魅力でした。


一方、他社の一般的な値引きはスマホでいうセット割に近く、必要なもの+半ば強制的なオプションを束ね、総額を大きくしてから割引する方式が多いです。見た目はお得でも、不要品を含むため実質値引きが小さくなることがあります。

その点、旧「鳥の日パック」は主力(チキン)だけで完結でき、サイドが欲しい人だけ割安で追加できるため、納得感とお得感の両立がありました。


数字で見ると、当時は――


チキン通常価格:1本 310円

旧パック:5本 1,100円 → 1本あたり 220円

ところが今回、内容が「チキン4本+ナゲット5個 1,250円」に変更されました。

チキンが食べたい人にとっては

1,250円 ÷ 4本 = 1本あたり 312.5円(ナゲット分を無視した場合)

あるいは“チキン1本は実質192円に見える”という訴求も成立しそうですが、ナゲット(5個)が約480円と高額なため”いらない感”が一層強まってしまいます。


つまり、純粋にチキンだけ食べたい人にとっては、不要なナゲットが“抱き合わせ”に感じられ、選択権が後退した印象になります。これは、折角の個性を捨て、他社に埋もれてしまうセット割的な束ね方に近い考え方です。


私はこの変更を“改悪寄り”と受け止めました。とはいえ、ケンタッキー側にも年末の繁忙期に28日に注文が集中しないよう平準化したいといった狙いがあるのだろうと推測します。企業側の気持ちは理解できますが、毎月28日はケンタッキーを買うという定期行動の芽を、やや摘んでしまった印象もあります。一度きりの購入より継続購入のほうが長期的な価値が大きいのは言うまでもありません。


もし私が企画するなら、年末の動線は次のようにします。


12/24・25: クリスマス向けの「クリスマスパック」(セット割で客単価を上げる)


12/28〜31: 期間拡張の「ロング鳥の日パック」(旧来の“チキン5本中心”で選択権を担保)


1/1〜3: 「お正月パック」(家族・親族向けの需要に対応・お年玉クーポンを付けてリピート狙い)


こうしてセット割(客単価)と選択権(満足度・リピート)を交互に配置し、「年末年始はケンタッキーがお得」という記憶を育てつつ、28日一点集中の混雑をやわらげます。

ゲーム業界でいう「ナーフ(=意図的な弱体化)」のように、ユーザーの楽しみを削ぐ方向ではなく、“楽しみの場を増やす”方向の調整が、長期のファン形成には効くと考えます。


数字だけが売り上げではありません。未来の常連候補を増やす絶好の機会に、水を差すようでケンタッキーファンとしては残念な気持ちになりましたので、記事にしてみました。

2025年12月9日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《混乱と天才⑥_神の兵_後編》

 この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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大荻山《おおぎやま》剛三郎《ごうざぶろう》は、焦燥に駆られていた。


ここまでは、圧倒的な演算能力を誇る兵器の力で、UFBの特殊個体を蹂躙《じゅうりん》できていたはずだった。だが、直線的で読みやすかった怪物の動きが、突如として変貌したのだ。


AIの予測を超える機動力で「目」となるドローンを次々と破壊し、8機あった機体は残り2機まで数を減らした。


最強のAIは目を失って情報が不足、ただの箱に成り下がろうとしていた。


そしてその牙は今、大荻山の乗る装甲車(DD-24)へ向けられている。



本能的な恐怖が大荻山を突き動かした。「SUB11Fを手動に切り替えろ! 当たらなくてもいい! 直線軌道に弾幕を張れ! 特攻されれば20秒で接近されるぞ!」


度重なるAIの指示変更で右往左往していた副砲は、手動への切り替えでようやくその首振りを止めた。 といっても、狙いが定まったわけではない。高度な迎撃システムはただの『火を噴く筒』へと成り下がり、暴力的に弾丸をばら撒き始めたに過ぎなかった。


「よし、それでいい。戦車(YA-24)とのケーブル切断。我々は戦車を盾に後退する! 散開させていた一般車両も戻せ。もう囮《おとり》にもならん!」


戦車に搭載されたSUB11Fは、本来なら精密なAI制御でドローンを撃墜するシステムだ。

手動での連射など想定外であり、残弾的にも排熱的にも30秒が限界だった。


さらに、AI本体を搭載している装甲車とのケーブル切断は、AIアシストの完全放棄を意味する。AIを前提にした兵装が、AIを切る。

誰の目にも明らかだった。戦車は、捨て駒にされたのだ。


慌てて後退を始める装甲車。それを援護すべく戦車が火を噴くが、手動の乱射が怪物に当たるはずもない。弾丸は怪物の回避行動の前に虚しく空を切り、時間だけが浪費されていく。


それは、まさに「死への時間稼ぎ」でしかなかった。



◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆


戦車内では、女性リーダーの鋭い怒号が響いていた。


「もっと右! 相手の切り返しをよく見て! 気合で食らいつきなさい! 主砲、弾種換装! L2炸裂弾よ、信管設定は1秒! 急いで、あと20秒で副砲が尽きるわ!」


しかし、重量級のSUB11Fを手動旋回させ、超高速機動する物体に直撃させるなど、土台無理な話だった。照準は遅れ、焦りだけが募る。



「クソッ! せめてAIのアシストさえあれば……ッ! 換装、急ぎなさい!!」

「あの老害《ジジィ》はどうでもいい! でもね、後ろの同胞と民間人は守るのよ! 気合入れなさい!!」


悲痛な叫びも虚しく、SUB11Fは一発も命中させることなく、静かに弾切れを迎えた。弾幕が止む。

それを見透かしたように怪物は回避行動を止め、一直線に戦車へ突っ込んできた。


「今よ! 主砲、撃てェッ!」

「ズゥゥン!」


低い独特の砲撃音とともに、砲口から閃光が迸《ほとばし》る。放たれたL2炸裂弾は瞬時に起爆し、無数の子爆弾をショットガンのように撒き散らした。


ーーこの至近距離!しかも直進コース!『点』ではなく『面』で叩けば落ちるはず!


 女性リーダーの勝算は、一瞬で砕け散る。


「敵、直前で軌道変更! 上です! かわされました! ダメージなし!」


彼女の目が見開かれ、張り詰めた汗がこめかみを伝う。コンマ一秒の硬直。それを自らの怒号で無理やり断ち切った。


「回避! 全速で下がりなさい!!」


だが、その命令に車両はピクリとも反応しない。


「どうしたの、回避よッ! 上から来るわよ!!」



操縦士が、震える声で答えた。 

「操……作、不能。管理者によるコマンド介入です……コマンドは、『自爆』」


女性リーダーが怒りと絶望に顔を歪めた、その時。


戦車の上部ハッチが飴細工のようにぐにゃりと押し潰され、車内にあの化け物が降り立った。

生じた衝撃波が、搭乗員たちを一瞬で肉塊へと変える。


◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆


数秒前。装甲車(DD-24)内。


「先生! いくら何でも見捨てるなんて!」 


「うるさい! 女風情が口を出すな! それに、無駄死にはさせんよ。YA-24には機密保持機構があってな、私のコマンド一つで火薬庫を誘爆できる。……全弾薬で吹き飛ばせば、たとえ怪物だろうと無事で済むものか!」


「先生! 戦車の上から怪物が!!」


 激しく揺れる車窓越しにも、炸裂弾の閃光を背に影を落とす怪物の姿が見えた。そいつは躊躇なく、戦車の直上から降下を始めている。


「死ね!!」


大荻山は愉悦に顔を歪め、自爆命令を確定させた。


数秒後。


直上から貫かれた戦車が、一拍も置かずに爆縮し、弾け飛んだ。逃げ場のない爆圧が分厚い装甲を内側から押し上げ、鋼鉄の巨体が粘土のように歪む。


裂けた装甲の隙間から紅蓮の炎が噴き上がると、それは驚くほど美しく、そして残酷に、すべてを粉々に爆散させて黒煙に変えた。


「がはははは! サルがぁ! 自ら檻に飛び込んで自殺しおったぁぁ!」


黒煙が風に巻かれ、燃え盛る残骸の中から「白いもの」が揺らめく。


「先生! ああ……あ、あれ!!!」

同乗していた愛人が、引きつった悲鳴と共に指さした。



大荻山は我が目を疑った。


あろうことか、怪物は上空で「女王」と呼ばれる個体と合流し、二人掛かりで戦車へ突入していたのだ。

当然、女王型はあの白いシールドを全方位に展開している。


やがて、傷一つないシールドをすり抜けるようにして、王と呼ばれる怪物が、ゆらりとその姿を現した。



大荻山が、裏返った声で絶叫した。


「全速で逃げろ!! 一般車両は私の盾になれ!! 生き残ったら何でもくれてやる! 死んでも家族に金を出す! とにかく守れ!!」



装甲車(DD-24)は、最高速度こそ戦車を上回るが、唯一の欠点はその初速の鈍さにあった。

重量級の装甲車がトップスピードに乗るまでには、相応の助走距離を要するのだ。


YA-24に自爆コマンドを確実に送るために減速していたことが、ここに来て致命的な仇《あだ》となる。再加速には、絶対的な時間が足りない。


さらに、追い打ちをかけるような事態が発生した。


大荻山の命令に反し、装甲車が急ブレーキをかけて停車してしまったのだ。


「な、な、何をやっている! 速度を上げろ、死にたいのか!! 一般車両も早く盾になれ!! もたもたするな! 私が死ねば恩賞もないのだぞ!」


だが、装甲車はピクリとも動かない。操縦兵が悲鳴に近い報告を上げる。 


「先生! い、一般車両が……前方に停車して進路を塞いでいます……」

「ばかな! 何をやっている!!!」


バス、トラック、乗用車。それらが示し合わせたように、装甲車の進路を塞ぐ形でバリケードを作っていた。人々は次々と車両を放棄し、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。


大荻山は慌ててバスの運転手に無線を飛ばした。

「何事だ! 邪魔だ! バスをどかせ!」


無線から、冷え切った、それでいて怒りに震える返答が返る。


『先生! もううんざりだ! 盾になれだと? あんたは、これまで何人殺した! 盾になって死ぬくらいなら、先生を盾にして俺たちは逃げさせてもらう!』


「なっ……きさまら!!」


それを聞いた装甲車の操縦兵が叫ぶ。

「ダメです先生! DD-24はあくまで後続車、戦車ほどのトルクはありません! バスやトラックを無理やり押しのけるには時間がかかります!」


その間にも、怪物の王は確実に距離を詰めてくる。


距離はすでに5mを切っていた。



「いやぁぁ、たすけてぇええ!」


愛人の女がパニックを起こし、その恐怖は同乗する他の要人にも伝播する。


「先生! 何とかしたまえ!」

「これはどういうことですか! ミスター大荻山!」



装甲車はバスの側面に直角に接触すると、エンジンを唸らせて全力で押しのけようとした。焦った操縦兵が、アクセルを床まで踏み込む。


怪物が目前に迫る極限の恐怖。


だが、その状況でも大荻山は、アクセルをベタ踏みする操縦兵のミスを見逃さなかった。


ーー空転するエンジン音

大荻山は操縦兵に具体的な指示をまくし立てた。


「馬鹿者! コイツはタラメア式オートギア制御だぞ! アクセルを一気に踏むな! 回転数に合わせてゆっくり踏み込め! 空転して動かんぞ!!」


その不毛なやり取りの間に、怪物はDD-24へとたどり着いた。



大荻山は、震える声で虚勢を張った。


「狼狽《うろた》えるな! この装甲車はYA-24の主砲すら弾き返す! 耐衝撃、耐熱、最強のシェルターだ。落ち着いてバスをどかせばいい!」


その言葉が終わるか終わらないかの時だった。


装甲車の後方ハッチ、そのロック部分が赤熱し、まるで水飴のようにドロリと溶解し始めた。


「きゃあああああああ!」

愛人の悲鳴が鼓膜を裂く。


直後、溶けた装甲の隙間から怪物の手がねじ込まれた。


「グギィ」


嫌な金属音が響き、分厚いハッチが紙屑のようにこじ開けられる。


大荻山、愛人、要人、そして私兵たちが凍りつく中、怪物は不敵な笑みを浮かべてそこに立っていた。


驚くことに、怪物は流暢な日本語で問いかけた。


「……お前らが指揮官か。俺をここまで無様に追い詰めた人間の顔を拝むために、丁寧におもちゃを壊してみたんだが……どいつが大将だ?」


「この人よ!!」

愛人が即座に叫び、大荻山の背後へ飛び退く。


「この、バカ女ぁぁぁ!!!」

大荻山が激昂するが、他の乗客もこれに乗じた。

こともあろうか、彼が金で雇った私兵たちまでもが、大荻山の背中を怪物の前へと押し出していく。


「やめろ! おまえら!! 私を誰だと思っている! 大荻山だぞ! お前らごときとは命の重さが違うのだ! なぜわからん!!」

「やめろ!! 押すな! こんなことをしてタラメアが黙っていると思うか! おい、お前の今の地位は私があってこそだろう!」

「頼む、やめろ!! なぁ、愛し合った仲だろう! やめてくれ、ああ、おい! 誰か、金ならやる! 助けろぉぉぉ!」


大荻山の必死の訴えに耳を貸す者は、誰一人としていなかった。


怪物の鼻先へ突き出された大荻山は、引きつった顔で怪物にすがった。


「に、日本語が分かるのか! 私は大荻山。この国でもっとも尊い人間だ! 私を殺さずに上手く使えば、この国、いや大国タラメアさえも簡単に占領できる! どうだ! 私を助けてもらえないか!」


怪物は、氷のように冷たい目で大荻山を見下ろした。 

「どんな切れ者かと思えば。はぁ。……時間の無駄だったな」


吐き捨てるように言うと、怪物は装甲車の車内へ向けて、深紅のブレスを解き放った。

超高温の吐息は一瞬ですべての酸素を奪い、肺を焼き、車内の人間は全員、断末魔の一言も発することなく灰となった。



◆◆◆   ◆◆◆  ◆◆◆



ベルガンは自分の無能さを悔いていた。

気高い敵の指揮官に押されていたと思っていたが、顔を拝んでみれば保身しか能のないクズだった。

そんなものに後れを取った自分が、情けなくてたまらない。


だが、感傷に浸る時間はない。神の命令は絶対だ。

『一人でも逃がせば負け』——その勝利条件を満たさねばならない。


ベルガンは冷徹な思考に切り替えると、サーチの追跡能力を借り、散り散りに逃げた人々を一人残らず捕捉し、始末していく。

慈悲も、愉悦もない。ただの作業として、すべての命を刈り取った。



静寂が戻ると、ベルガンはサーチの元へ戻った。


「サーチ、お前大丈夫か?」


サーチは少しだけ勝気な笑みを浮かべる。


「何? 私がこれくらいで、どうにかなると思ったわけ? ふっ。おやさしいこと!」


ベルガンは元気そうなサーチに安堵を覚えつつ、ヴァロンに報告した。


「任務完了。逃亡者なし。……おかげで完全勝利だ。帰還する」




だが、その一部始終をじっと見つめる「目」があった。

超高性能赤外線カメラを搭載した、一機の自衛隊偵察ドローン。


その眼差しの主は、天才——篠原《しのはら》涼音《すずね》であった。

2025年12月7日日曜日

素材採取家の異世界旅行記 #1~#9( 一部レビュー )

<あらすじ>

異世界へ転生した、ごく普通のサラリーマン・神城タケル。

剣と魔法の世界『マデウス』で新たな人生をスタートすることになった彼には、数々の能力が備わっていました。

身体能力の強化にとんでもない魔力、そして価値のあるものを見つけ出せる探査能力。

与えられたチート級の力を駆使して、タケルの異世界大旅行が幕を開けます。


<レビュー>

本作は、シナリオに軸足を置いた異世界チート系のアニメです。序盤こそ能力が物語を引っ張っていましたが、話数を重ねるにつれ、主人公の万能ぶりそのものを楽しむ作りになってきたと感じます。


マスコット的存在に加え、不足していたヒロイン枠にも仲間が加わり、パーティが賑やかになっていく様子は、王道ながらやはり楽しい見どころです。

一方で本作のヒロイン像は、いわゆる“人間的な可憐さ”に寄せず、人外要素の強いキャラクター(例:「いつも汚いエルフ」「馬の姿の女神さま」など)で構成されています。台詞や振る舞いも含めてギャグ寄りの造形が多く、たとえば語尾が「ひひーん」になるようなシーンもあります。

この設計から、作者が積極的にラブコメ的な絡みを抑え、世界観と探索要素を前面に置いている意図が伝わってきます。恋愛を足すと要素が渋滞しやすいタイプの作品だからこそ、あえて“外す”判断をしているのだと思います。


とはいえ、キャラクターデザインはもう一歩洗練できたのでは、という印象もわずかにあります。ヒロインの女性的な魅力を控えた結果、モノノケ感が前面に出すぎるシーンがあり、そこを魅力として楽しめる一方で、ヒロインが少しかわいそうに映る瞬間もありました。


進行テンポは非常によく、1話で1エピソードがまとまり、次のエピソードの導入まで進むことも多いです。裏を返せば、1話見逃すと展開の把握が難しくなる場合がありますので、見逃してしまった際は各配信サービスで追いついておくと、次の回をより楽しめます。


まもなく最終回ということで、かなり序盤から伏線が張られていたヒロイン・ブロライトにスポットが当たるエピソードに突入しました。どのような着地で締めくくるのか、非常に楽しみにしています。




2025年12月5日金曜日

【軽い日記的なもの】日々雑記

こんばんは。管理人の緑茶です。


12月になり、秋アニメ(10月スタート)の最終回ラッシュの時期がやって来ました。毎回日記でもお伝えしていますが、この時期はレビューを書くタイミングが難しく、いま書いてしまうと最終回直後にまた書くことになってしまいます。そのため、どうしても日記が増えがちになります。


ということで、本日は近況の雑記をいくつか書いていきます。


・Nサークルの話題です


私はゲーム制作サークルの Nサークル に所属しています。メンバーの多くが社会人のため、年末年始は例年どおり多忙です。私自身も「年末までにお願いします!」という作業が重なり、コミュニティツールを眺める時間はあるものの、ほとんど参加できていません。ふだんは活発なサークルも、この時期は「シーン」と静まり返っています。


制作進行のあいさんが進捗や成果物の話題を投げてくれているのですが、ほぼ全員が既読スルーの状態が続いており、申し訳なく感じています。私もすぐに良い返事ができていないので、もどかしい気持ちです。


そんな中、ふだんはゲームをイチから作らないイラストレーターのもこもこさんが、RPGツクールMZで試作版のゲームを披露してくれました。手探り感が画面全体から伝わってきたのがかえって印象的で、繁忙期が明けたら私も腰を据えてがんばろう、と良い刺激をもらいました。



・小説の話題です


『人類アンチ種族神』〈混乱と天才〉を書き終えました!(拍手) このサイトでも、外部サイトでも年内に当章は完結させます。かなり手の込んだシナリオで、設定資料とにらめっこしながら書き上げました。大筋は前章の〈対決〉で固まっていたのですが、頭の中の物語を具体的な文字に落とし込むまでに思った以上の時間がかかりました。


当サイトでは、年末年始ごろに総集編として、〈序章〉〈対決〉〈混乱と天才〉の作者再編集版を掲載する予定です。〈序章〉は〈対決〉以前の第1話~〈復讐〉をまとめたものです。連載開始当初は長期連載にするか悩んでいたため、『人類アンチ種族神 I』『II』という短編寄りの形式で公開していましたが、今回あらためて再編集・再構成します。


年末年始の読み物として楽しんでいただけましたら幸いです。〈混乱と天才〉から読み始めた方は、導入部である〈序章〉もぜひ手に取ってみてください。





もちろん物語はこの先も続きます。次章の伏線はすでに張ってありますので、順次回収していきます。骨格だけは書き出してあり、かなり刺激の強い章になりそうです。



・その他の雑記です


ここ最近は物価の上昇が続いており、特に食費のコントロールが難しく感じます。私は少し足を延ばして、地元で有名な安売り店に通うようになりました。このお店は今でも数量限定の告知なし特売があり、キャベツ98円、白菜98円、卵98円といった価格に遭遇できることがあります。うまく当たると本当に助かります。


一方で、ペットボトル飲料の「綾鷹」が220円になるという話を耳にしました(情報源は未確認です)。さすがにお茶に200円を超えて支払うくらいなら、まずは食材を買うべきか……と、家計のバランスを考えてしまいます。需要があるのかもしれませんが、しばらくは様子見になりそうです。


気になる話題は多いのですが、まずは目の前の繁忙期と小説執筆、そして「これはそれ」。に全力で取り組もうと思います。


本日はこんな日記でした。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

2025年12月2日火曜日

人類アンチ種族神Ⅴ《混乱と天才⑥_神の兵_中編》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

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大荻山《おおぎやま》剛三郎《ごうざぶろう》は、焦燥に駆られていた。


ここまでは、圧倒的な演算能力を誇る兵器の力で、UFBの特殊個体を蹂躙《じゅうりん》できていたはずだった。だが、直線的で読みやすかった怪物の動きが、突如として変貌したのだ。


AIの予測を超える機動力で「目」となるドローンを次々と破壊し、8機あった機体は残り2機まで数を減らした。


最強のAIは目を失って情報が不足、ただの箱に成り下がろうとしていた。


そしてその牙は今、大荻山の乗る装甲車(DD-24)へ向けられている。



本能的な恐怖が大荻山を突き動かした。「SUB11Fを手動に切り替えろ! 当たらなくてもいい! 直線軌道に弾幕を張れ! 特攻されれば20秒で接近されるぞ!」


度重なるAIの指示変更で右往左往していた副砲は、手動への切り替えでようやくその首振りを止めた。 といっても、狙いが定まったわけではない。高度な迎撃システムはただの『火を噴く筒』へと成り下がり、暴力的に弾丸をばら撒き始めたに過ぎなかった。


「よし、それでいい。戦車(YA-24)とのケーブル切断。我々は戦車を盾に後退する! 散開させていた一般車両も戻せ。もう囮《おとり》にもならん!」


戦車に搭載されたSUB11Fは、本来なら精密なAI制御でドローンを撃墜するシステムだ。

手動での連射など想定外であり、残弾的にも排熱的にも30秒が限界だった。


さらに、AI本体を搭載している装甲車とのケーブル切断は、AIアシストの完全放棄を意味する。AIを前提にした兵装が、AIを切る。

誰の目にも明らかだった。戦車は、捨て駒にされたのだ。


慌てて後退を始める装甲車。それを援護すべく戦車が火を噴くが、手動の乱射が怪物に当たるはずもない。弾丸は怪物の回避行動の前に虚しく空を切り、時間だけが浪費されていく。


それは、まさに「死への時間稼ぎ」でしかなかった。



◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆


戦車内では、女性リーダーの鋭い怒号が響いていた。


「もっと右! 相手の切り返しをよく見て! 気合で食らいつきなさい! 主砲、弾種換装! L2炸裂弾よ、信管設定は1秒! 急いで、あと20秒で副砲が尽きるわ!」


しかし、重量級のSUB11Fを手動旋回させ、超高速機動する物体に直撃させるなど、土台無理な話だった。照準は遅れ、焦りだけが募る。



「クソッ! せめてAIのアシストさえあれば……ッ! 換装、急ぎなさい!!」

「あの老害《ジジィ》はどうでもいい! でもね、後ろの同胞と民間人は守るのよ! 気合入れなさい!!」


悲痛な叫びも虚しく、SUB11Fは一発も命中させることなく、静かに弾切れを迎えた。弾幕が止む。

それを見透かしたように怪物は回避行動を止め、一直線に戦車へ突っ込んできた。


「今よ! 主砲、撃てェッ!」

「ズゥゥン!」


低い独特の砲撃音とともに、砲口から閃光が迸《ほとばし》る。放たれたL2炸裂弾は瞬時に起爆し、無数の子爆弾をショットガンのように撒き散らした。


ーーこの至近距離!しかも直進コース!『点』ではなく『面』で叩けば落ちるはず!


 女性リーダーの勝算は、一瞬で砕け散る。


「敵、直前で軌道変更! 上です! かわされました! ダメージなし!」


彼女の目が見開かれ、張り詰めた汗がこめかみを伝う。コンマ一秒の硬直。それを自らの怒号で無理やり断ち切った。


「回避! 全速で下がりなさい!!」


だが、その命令に車両はピクリとも反応しない。


「どうしたの、回避よッ! 上から来るわよ!!」



操縦士が、震える声で答えた。 

「操……作、不能。管理者によるコマンド介入です……コマンドは、『自爆』」


女性リーダーが怒りと絶望に顔を歪めた、その時。


戦車の上部ハッチが飴細工のようにぐにゃりと押し潰され、車内にあの化け物が降り立った。

生じた衝撃波が、搭乗員たちを一瞬で肉塊へと変える。


◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆


数秒前。装甲車(DD-24)内。


「先生! いくら何でも見捨てるなんて!」 


「うるさい! 女風情が口を出すな! それに、無駄死にはさせんよ。YA-24には機密保持機構があってな、私のコマンド一つで火薬庫を誘爆できる。……全弾薬で吹き飛ばせば、たとえ怪物だろうと無事で済むものか!」


「先生! 戦車の上から怪物が!!」


 激しく揺れる車窓越しにも、炸裂弾の閃光を背に影を落とす怪物の姿が見えた。そいつは躊躇なく、戦車の直上から降下を始めている。


「死ね!!」


大荻山は愉悦に顔を歪め、自爆命令を確定させた。


数秒後。


直上から貫かれた戦車が、一拍も置かずに爆縮し、弾け飛んだ。逃げ場のない爆圧が分厚い装甲を内側から押し上げ、鋼鉄の巨体が粘土のように歪む。


裂けた装甲の隙間から紅蓮の炎が噴き上がると、それは驚くほど美しく、そして残酷に、すべてを粉々に爆散させて黒煙に変えた。


「がはははは! サルがぁ! 自ら檻に飛び込んで自殺しおったぁぁ!」


黒煙が風に巻かれ、燃え盛る残骸の中から「白いもの」が揺らめく。


「先生! ああ……あ、あれ!!!」

同乗していた愛人が、引きつった悲鳴と共に指さした。


大荻山は我が目を疑った。


あろうことか、怪物は上空で「女王」と呼ばれる個体と合流し、二人掛かりで戦車へ突入していたのだ。

当然、女王型はあの白いシールドを全方位に展開している。


やがて、傷一つないシールドをすり抜けるようにして、王と呼ばれる怪物が、ゆらりとその姿を現した。